見出し画像

備忘録

栄養士として転職しようか、調理専門学校に通って料理人を目指そうか、興味がある農業の方に進もうか…。自分の好きな"食"に携わる仕事はしていたいなと思いつつ、次のステップを探していた中、SNSの広告で島食の寺子屋を知り、自分のやってみたいことが盛りだくさんだ!と行動を起こし始めたのが去年の今頃。ここに来ようと思い立ってから、早いことに1年が経った。

授業で食材調達にあちこち出向いたり、休みの日に都合が合えば、個人的にも農家さんのお手伝いをさせてもらえたり、キッチンを飛び出すフィールドワークも豊富だ。食材が食事に至るまでの過程を見ることができて、ここに来た意義を感じている。
今月は、さつまいも・崎みかん・零余子(むかご)・銀杏・マコモダケなどを収穫に行った。

↑原木椎茸農家・福井さんのさつまいも畑にて
海士町の干し芋(芋かんぺ)用
↑丹後さんの育てる由良早生みかん
甘いだけでなく、酸味とのバランスが絶妙
↑零余子 地味だけど滋味深く美味しい食材
みかん畑や隠岐神社の参道脇にもひっそりと
↑隠岐神社周辺の銀杏の木の下で
完熟前なら、そこまで強烈な香りなく( ˘ω˘ )
↑真菰竹
虫も食べたくなる程美味しい、自然の優しい甘さ

調理の面では、一つひとつの動作の丁寧さと手早さの両立や、食材に関する知識、包丁の技術力、適した調理法や器具の選択、温度(火の通り)の見極めと加減、味付けのバランス、献立や作業工程の組み立て、食べ易さと彩り・形を意識した盛り付け(美的センス)、仲間同士の連携や接客で必要な対人能力などなど、寺子屋で実践を重ねていくにつれ、それぞれの項目全てが奥深く、一朝一夕ではいかない難しさを感じている。

食材を活かす為の手間暇を惜しまず、季節や想いをこめた、繊細で美しい日本料理。そんなイメージで安易に憧れていたけれど、この先極めようと思えば、果てしなく長い道になるんだろうなと感じる…どんな事でもそうだけれど。
寺子屋の離島キッチンで、調理からホールまで日本料理店で働く模擬体験ができてはいるが、本当にお店に勤めたら調理(味付けなど)に辿り着くまでには、何年も修行が必要なわけで…。人生100年時代。歳をとっても生涯美味しく食べられるものを作れるようになって、自分のお店を持てたら良いなと思って今ここに来たけれど、この先自分がどこで何に時間を使って、経験を重ねていくのがベストなのか…正直悩ましい。

悩んでいても時は流れ、寺子屋で過ごす一年も折り返しとなり、実践のピークを迎えている現在、より今後のことを考えて動がなければと感じる。どこに行ったとしても、手早くクオリティの高い仕事ができるようになる事が今の目標。正確で丁寧であることを大前提に、仕込みから当日の動きに至るまで、効率良く時間内にこなせる作業量を増やせるように努めていきたい。また、ここでの学びから自分がどういう料理を作りたいのか、何ができるのか、この先のきっかけを見つける為にも能動的に動いていきたいと思う。
生徒全体としては、実践での練度を上げて連携をとり、ちゃんと時間内に作業を終えられるようにしたい。

栗仕事をしたり、運動会があったり…秋の風物詩を楽しみながらも、ここ最近グッと気温が下がって、冬の気配を感じる。3月末に来た時と似た、ひんやりとした空気に身も引き締まる。自分らしく、伸び伸びとやりたい事をやる為に、覚悟を決める時が近づいている。

(文:島食の寺子屋生徒 小澤)