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9月「先を見る」
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台風一過の晴天。9月のスタートは本土から。京都研修へ。
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【卒業の先】
料理が好き。発酵調味料作り、季節の手仕事、保存食作りが好き。自然が好き。畑が好き。
旬のものを使う。できるだけ自然のもので、体にいい素材を選ぶ。農家さんなどの生産者さんと食べる人を繋げる。自分も菜園をもつ。自然を楽しむ生活をする。古くから続く暮らしの知恵を大切にする。
好きなこと、やりたいこと、夢と理想はたくさんあるけれど、具体的なステップは…。
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4月に書いた「始めの一歩」の文字。今も教室に飾られている。1年後、自信をもって始めの一歩を踏み出せるように願って書いた言葉。
気付けば折り返し。あと半年が過ぎれば、島を出る。私はどんな一歩を踏み出すのだろう。
そんなことを切実に考えるようになったのは、食の現場で働く卒業生との交流。そして京料理店「鳥米」さんと「辰巳屋」さんでの厨房見学と食事、卸売市場に仕入れの同行をした京都研修。
「鳥米」のご主人田中さんも、「辰巳屋」のご主人左さんも、妥協のないこだわりをもっていた。それが、自分や店の強みになる。
塩は6種類を使い分ける。米は10種類以上仕入れて食べ比べ、オリジナルのブレンド米を作り、炊く釜もオリジナル。お客様に同じ料理を出さないようにデータ化している。市場に足を運び、自分で見て触って時には味わって確かめたものを仕入れる。他の人には任せない、自分だけが仕込む料理がある。
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「自分のスペシャリティーをもつことは必要」という「鳥米」田中さんの言葉。そのためには、自分の好きや得意を見つけることから。
私のスペシャリティーは何になるのだろう。食と農を繋げることか、発酵か、それともこれから見つけるものか。様々な経験をさせてもらえる寺子屋。一つ一つを大切に、自分の心が動くものをしっかりキャッチしていきたい。
自分が夢中になっていることを仕事にできたら、どんなに楽しいだろうと思う。左さんも田中さんも、自分の店のことや料理のこと、食材のことを話すとき、目が輝いていてとても楽しそうだった。私もそんな風に仕事をする人になりたい。
食の仕事を生で見せていただいたり、お話しさせていただいたりしたことは大きな刺激になった。この先どうしようか、ずっとぼんやり考えてはいたものの、卒業後のことをもっと具体的に考えなくては!動かなくては!と思うように。そして、「今」をもっとこの先に繋がるものにしたい!と強く思うようになった。
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【料理の先】
「これを食べてもらいたい」そう思って料理する。それだけではなく、お客様にどうなってほしいか、どう感じてほしいかを考える。「辰巳屋」左さんの言葉。
食べてくれる人に伝えるメッセージ。それはどんな料理を作るか、ということ。料理を通して、自分が何をしたいか、どんな風に社会的役割を果たしたいか、ということだと思う。
先日、サステナブル・シーフードを使ったレシピを考える授業があった。私は未利用魚である「ホシザメ」を使い「おこげ鮫煎餅 鮫そぼろと季節の野菜餡」を考えた。おこげ煎餅には、精米時に砕けてしまった捨てられる米を使用した。捨てられる命(食品ロス)を減らすこと、廃棄されるものに価値を見出して生産者さんの利益を上げることに繋げたいという願いを込めた。
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私は、季節ごとに旬を味わえることが四季のある日本ならではの豊かさだと感じている。四季折々の恵みがずっと続いてほしいと思う。それを脅かす地球環境の問題は大きなことだけれど、料理を通して自分にできることをしていきたい。
・食材を使い切ることや保存することの知恵と技術をもちたい。そしてそれを次の世代に繋げたい。
・環境に優しい農法(有機農業)をしている農家さんの野菜を広めたい。それを選ぶよさやおいしさを伝えたい。
・自分で野菜を育てることや、食べるものを手作りすることの楽しさを多くの人と共有したい。
・商品にならない農作物や水産物を、料理をすることで価値のあるものにしたい。形が揃っていること、傷がないこと、虫がいないことなどが良いという価値観を変えたい。
料理の先にあるもの。食べる人に自然や季節の移ろいを感じさせ、お腹も心も満たす。また、生産する人も幸せになる。豊かな自然環境が続く。
料理を通して、そうできる自分になりたい。
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(文:島食の寺子屋生徒 小松)