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どこにも辿り着かなくたっていい #11

フォートナイトにはスポーツのように大会がある。もちろん、ゲームも反射神経が物言う世界だから、若い人のが強いのだけれど、社会人のための大会も多くある。
僕は一度、社会人大会で常に上位にいる選手と話したことがある。
彼は日夜、スクリムという大会に向けた練習試合に参加し、海外選手のプレイを研究をしているという。
正直な話、社会人大会で上位を獲っても賞金はないし、社会人にはプロリーグなどもない。僕にとって、その情熱はどこにも辿り着かない類のものであるように思えた。
たまたま同じ歳だったということもあり、僕は彼に不躾な質問をしてみた。
「そんなに練習して、何目指してるんですか?」
彼の答えはこうだった。
「うーん、わかんない。俺って何目指してるんだろ?」
やっぱりどこにも辿りつかない。
その時はそう思ったけれど、最近になって、そもそも、どこかとはどこのことなんだ?と考えるようになった。
最近読んだ本に、新自由主義がすべての物事をビジネスと結びつけてしまったと書いてあった。みんなコスパだのタイパだの気にしながらせかせかと生きているのはそのせいらしい。つまり、僕が思うどこかというのは結局それでお金を稼ぐとか、それでメシを食っていくということだった。
僕は自分を顧みてみる。こんなエッセイを書いてはいるが、いまのところ一銭も稼げてはいない。でも、稼げなかったら意味ないとか、プロになれなかったら意味ないとか、そういう価値観でまわってる世界って、虚無じゃん。
小説を書きたい人は書けばいいし、ゲームをしたい人は気の済むまですればいいし、絵を描きたい人は好きなだけ描いたらいい。
別にどこにも辿り着けなくたっていいのだ。


~毎週日曜夜に更新~
自主連載企画『27歳で死ぬと思ってた』
文:寺田功夫
絵:タチカワ(https://linktr.ee/kyotaro071)

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寺田カンフー
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