テイラースイフトのもつ普遍性と不完全性
テイラースイフトの卓越したビジネスセンスは今日は置いておこう。
アーティストとしての彼女の持つ普遍性は、彼女のが常にこの世界との接点をきっちり持っていることと、マイナスの面を含めて自分に正直に向き合っていることから、生まれているのではないか。
世界ときっちりとした接点を持つことで作品は常に地に足がついた物になり、リスナーをどこにも置いていかず、同じ意味圏の中で、彼女の歌とpresenceは存在している。セレブでありフレンズであるという、多くの人から愛される重要なファクターを彼女は持っているのだ。
特に彼女の音楽から感じとれるのは、彼女が自身の不完全性を恥じることなく表現していることである。個人の不完全性というのは、換言すると、個人の特殊性ともいえる。アーティストとしては、欠かせないのは独自のシグネチャーである。彼女の表現は、唯一無二であり、しかし彼女のメッセージは、多くの人無名の人間と共有できる不完全性と普遍性をうたっている。
21世紀は、前世紀とはまた異なる世界であり、明瞭なテーマも曖昧であり、そして多くの課題を抱えている。人々の心はその散漫な世界の中で、腰をすえて生きることが難しくなっている。テイラースイフトの音楽は、不完全な世界に生きる特に若者達
の、不完全性を讃えてくれているように聞こえるのではないか。