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自己発信力を高める英文法。第73回「仮定法①」(前半)

「みんなの英語道場8」から毎回5問出題します。各英文をSTEP1からSTEP3へと少しずつ難易度を上げながら学習します。最終的にはその英文を書ける・言えるようになるよう、よく理解し・音声を何度も聞き・繰り返し声に出しましょう。

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本編に入る前に、仮定法とは何かを確認します。
話し手は①②の太字部分を 現実 or 非現実 のどちらに感じているでしょう。

① I hope you get well soon
「早く元気になるといいね」
② I wish I had a yacht
「ヨットがあればなあ」

話し手は①の太字部分を現実味があると感じ、②の太字部分は非現実だと感じています。では、次の③④の太字部分はどうでしょうか。

③ If I have time, I’ll post more videos.  
「時間があったら、もっと動画を投稿しますね」
④ If I had more money, I would travel the world. 
「もっとお金があったら、世界を旅して周るのになあ」

話し手は③の太字部分を現実味があると感じ、④の太字部分は非現実だと感じています。では、何によって現実と非現実の違いが生まれるのでしょう。

それは動詞が現在形過去形かの違いです。②④のように物事を空想(仮の話)という認識で述べるときの動詞の使い方を仮定法といいます。仮定法は多くの場合「事実と異なる」とか「ありそうもない」と感じて仮想するときに用います。そして話し手は仮想であることを、動詞の過去形を用いることによって表します。

それでは、過去時制とはどのようなものでしょうか。現在時制と比べてみましょう。
●現在時制:リアルな(今、目の前に存在しているような)世界。
※present tense「現在時制」の present「現在の」の語源は「目の前に存在する」です。
●過去時制:現在時制のリアルな(今、目の前に存在しているような)世界から遠く離れた世界。このリアルな世界から時間的に離れたものが過去であり、心理的に離れたものが仮想(非現実)の世界です。

もう一度、冒頭の仮定法の文を見てみましょう。
② I wish I had a yacht. 
「ヨットがあればなあ」
④ If I had more money, I would travel the world. 
「もっとお金があったら、世界を旅して周るのになあ」
過去形によって、リアルな世界から遠く離れた仮想の世界をぼーっと眺めているような感覚になりますね。そして④の would も過去形であるということは、現実から距離を置いて空想しているということです。

ではもう一度、現在形を用いた文を見てみましょう。
① I hope you get well soon.
 「早く元気になるといいね」
③ If I have time, I’ll post more videos. 
「時間があったら、もっと動画を投稿しますね」
⑤ The opening ceremony starts at 8:30 AM on Friday.
「開会式は金曜日の午前8:30に開始予定」
⑥ Shohei Ohtani hits a walk-off grand slam!(新聞の見出し)
「大谷翔平サヨナラ満塁ホームランを放つ!」

①③⑤⑥の動詞は全て現在形で、リアル感があります。①の get は未来のことですが「実際によくなる」ようにという気持ちで現在形を用いています。③の have も未来のことですが「実際に時間があれば」というつもりで現在形です。will post は現在における意志を表します。⑤の starts は現在、開始が確定していることを表します。⑥の hits も現在形です。ホームランを打ったのは過去ですが、新聞の見出しなので現在形にすることでリアル感を出し、読み手を引き付けようとしています。現在形について語り過ぎましたが、現在時制が過去から未来まで時間に関係なくリアルな世界を表すことがご理解いただけたのではないでしょうか。これに対して、過去時制とはこのリアルな世界から遠く離れた、ぼんやりとした世界であり、ある時は過去を表し、またある時は非現実の空想の世界を表すのです。

この後は、仮定法を単純に説明します。
仮定法を用いて「…だったら、…だろうに」と言う場合:
条件節の動詞は、現実から引き離すために
(A) 現在(未来)のこと ➡ 過去形(仮定法過去)
(B) 過去のこと ➡ 過去完了(仮定法過去完了)

帰結節の動詞は、
(A)' 現在(未来)のこと ➡ 助動詞の過去形+動詞の原形
(B)' 過去のこと ➡ 助動詞の過去形+have 過去分詞
助動詞は意味に応じて would「だろう」could「できるだろう」might「かもしれない」を使い分ける。過去形を用いるのは現実から距離を置くため。

<補足>
欧米の文法書では、条件節の動詞と帰結節の動詞の組み合わせ方によって以下のように分類しています。
⓪ zero conditional:現在形・現在形(普遍的真理を表す)
① first conditional:現在形・will ~など(可能性のある条件文)
② second conditional:過去形・would ~ など(現在・未来の仮想)
③ third conditional:過去完了・would have 過去分詞(過去の仮想)
④ mixed conditional:②③のミックス型


仮定法①(前半C001~C005)

STEP1では、ごく基本的なことを確認します。まずは自分なりに問題の答えを考えてください。答え合わせはリスニングによって行います。音声の下の解答・解説などはその後で見てください。

C001 私だったら、この車は買わないでしょうね。
If I (         e) you, I wouldn't buy this car. (空所補充)





<解答>
私だったら、この車は買わないでしょうね。
If I ( were ) you, I wouldn't buy this car.

<解説>
条件節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (were) を用いる(仮定法過去)

帰結節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (would) + 動詞の原形 (buy)

仮定法の文は事実ではなく仮の話です。問題文は仮の話だからこそ、相手への助言が間接的で穏やかに感じられます。

<語句>
If I were you「私だったら」
were を用いるのが普通。くだけた言い方では was も可。



C002 もっと時間があったら、本をもっとたくさん読むのになあ。
If I (          ) more time, I would read more books. (空所補充)





<解答>
もっと時間があったら、本をもっとたくさん読むのになあ。
If I ( had ) more time, I would read more books.

<解説>
条件節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (had) を用いる(仮定法過去)

帰結節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (would)  + 動詞の原形 (read)

「時間に余裕がなくて、好きなように本を読めない」という内容。



C003 俺ってやれば、もっとできるのに。
I think I could do better if I (          ). (空所補充)





<解答>
俺ってやれば、もっとできるのに。
I think I could do better if I ( tried ).

<解説>
条件節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (tried) を用いる(仮定法過去)

帰結節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (could) + 動詞の原形 (do)

「もっとできる」と仮定法で言っても現実味がありません。上司に対する発言なら説得力に欠けるかもしれません。

<語句>
do better「よりうまくやる」➡「(成績や仕事ぶりが)向上する」



C004 もしも宝くじに当たったら、あなたはどうしますか。
What would you do if you (          ) the lottery? (空所補充)





<解答>
もしも宝くじに当たったら、あなたはどうしますか。
What would you do if you ( won ) the lottery?

<解説>
条件節の動詞:
未来(現在)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (won) を用いる(仮定法過去)

帰結節の動詞:
未来(現在)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (would)  + 動詞の原形 (do)

「当たることはないと思うが、もし仮に当たったらどうする?」と尋ねています。仮の話なので、答えるときも仮の話として I would ~ で答えます。

<語句>
win the lottery「宝くじに当たる」
win の活用は win - won - won



C005 どこにでも行けるとしたら、あなたはどこに行きますか。
If you (          ) go anywhere, where would you go? (空所補充)





<解答>
どこにでも行けるとしたら、あなたはどこに行きますか。
If you ( could ) go anywhere, where would you go?

<解説>
条件節の動詞:
未来(現在)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (could go) を用いる(仮定法過去)

帰結節の動詞:
未来(現在)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (would)  + 動詞の原形 (do)

「どこでも行けるなんてあり得ないけど、もし仮に行けるとしたらどこへ行く?」と尋ねています。

<語句>
anywhere「どこでも、どこかに」(この文では前者の意味)



STEP2の英文は上の5問と同じですが、ほんの少し難しくします。STEP1でもSTEP2でも、英文をよく理解して、リスニングと音読を十分に行うことが大切です。

C001 私だったら、この車は買わないでしょうね。
If I (         e) (          ), I wouldn't buy this car. (空所補充)





<解答>
私だったら、この車は買わないでしょうね。
If I ( were ) ( you ), I wouldn't buy this car.

<解説>
条件節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (were) を用いる(仮定法過去)

帰結節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (would) + 動詞の原形 (buy)

仮定法の文は事実ではなく仮の話です。問題文は仮の話だからこそ、相手への助言が間接的で穏やかに感じられるという効果があります。

<語句>
If I were you「私だったら」
were を用いるのが普通。くだけた言い方では was も可。



C002 もっと時間があったら、本をもっとたくさん読むのになあ。
If I (          ) (          ) time, I would read more books. (空所補充)





<解答>
もっと時間があったら、本をもっとたくさん読むのになあ。
If I ( had ) ( more ) time, I would read more books.

<解説>
条件節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (had) を用いる(仮定法過去)

帰結節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (would)  + 動詞の原形 (read)

「時間に余裕がなくて、好きなように本を読めない」という嘆きに近い内容。



C003 俺ってやれば、もっとできるのに。
I think I could do better if (          ) (          ). (空所補充)





<解答>
俺ってやれば、もっとできるのに。
I think I could do better if ( I ) ( tried ).

<解説>
条件節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (tried) を用いる(仮定法過去)

帰結節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (could) + 動詞の原形 (do)

「もっとできる」と仮定法で言っても現実味がありません。上司に対する発言なら説得力に欠けるかもしれません。

<語句>
do better「よりうまくやる」➡「(成績や仕事ぶりが)向上する」



C004 もしも宝くじに当たったら、あなたはどうしますか。
What would you do if (          ) (          ) the lottery? (空所補充)





<解答>
もしも宝くじに当たったら、あなたはどうしますか。
What would you do if ( you ) ( won ) the lottery?

<解説>
条件節の動詞:
未来(現在)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (won) を用いる(仮定法過去)

帰結節の動詞:
未来(現在)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (would)  + 動詞の原形 (do)

「当たることはないと思うが、もし仮に当たったらどうする?」と尋ねています。仮の話なので、答えるときも仮の話として I would (I'd) ~ で答えます。

<語句>
win the lottery「宝くじに当たる」
win の活用は win - won - won



C005 どこにでも行けるとしたら、あなたはどこに行きますか。
If you (          ) (          ) anywhere, where would you go? (空所補充)





<解答>
どこにでも行けるとしたら、あなたはどこに行きますか。
If you ( could ) ( go ) anywhere, where would you go?

<解説>
条件節の動詞:
未来(現在)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (could go) を用いる(仮定法過去)

帰結節の動詞:
未来(現在)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (would)  + 動詞の原形 (do)

「どこでも行けるなんてあり得ないけど、もし仮に行けるとしたらどこへ行く?」と尋ねています。

<語句>
anywhere「どこでも、どこかに」(この文では前者の意味)



STEP3では、さらに難易度を上げます。日本文を見たら即座に英文を書ける・言えるのが目標です。リスニングを十分に行い、内容を相手に伝えるつもりで音読をすると効果的です。

C001 私だったら、この車は買わないでしょうね。
If I (         e) (          ), I (          ) buy this car. (空所補充)





<解答>
私だったら、この車は買わないでしょうね。
If I ( were ) ( you ), I ( wouldn't ) buy this car.

<解説>
条件節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (were) を用いる(仮定法過去)

帰結節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (would) + 動詞の原形 (buy)

仮定法の文は事実ではなく仮の話です。問題文は仮の話だからこそ、相手への助言が間接的で穏やかに感じられるという効果があります。

<語句>
If I were you「私だったら」
were を用いるのが普通。くだけた言い方では was も可。



C002 もっと時間があったら、本をもっとたくさん読むのになあ。
If I (          ) (          ) time, I (          ) read more books. (空所補充)





<解答>
もっと時間があったら、本をもっとたくさん読むのになあ。
If I ( had ) ( more ) time, I ( would ) read more books.

<解説>
条件節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (had) を用いる(仮定法過去)

帰結節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (would)  + 動詞の原形 (read)

「時間に余裕がなくて、好きなように本を読めない」という嘆きに近い内容。



C003 俺ってやれば、もっとできるのに。
I think I (          ) do better if (          ) (          ). (空所補充)





<解答>
俺ってやれば、もっとできるのに。
I think I ( could ) do better if ( I ) ( tried ).

<解説>
条件節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (tried) を用いる(仮定法過去)

帰結節:
現在(未来)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (could) + 動詞の原形 (do)

「もっとできる」と仮定法で言っても現実味がありません。上司に対する発言なら説得力に欠けるかもしれません。

<語句>
do better「よりうまくやる」➡「(成績や仕事ぶりが)向上する」



C004 もしも宝くじに当たったら、あなたはどうしますか。
What (          ) you do if (          ) (          ) the lottery? (空所補充)






<解答>
もしも宝くじに当たったら、あなたはどうしますか。
What ( would ) you do if ( you ) ( won ) the lottery?

<解説>
条件節の動詞:
未来(現在)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (won) を用いる(仮定法過去)

帰結節の動詞:
未来(現在)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (would)  + 動詞の原形 (do)

「当たることはないと思うが、もし仮に当たったらどうする?」と尋ねています。仮の話なので、答えるときも仮の話として I would (I'd) ~ で答えます。

<語句>
win the lottery「宝くじに当たる」
win の活用は win - won - won



C005 どこにでも行けるとしたら、あなたはどこに行きますか。
If you (          ) go anywhere, where (          ) (          ) go? (空所補充)





<解答>
どこにでも行けるとしたら、あなたはどこに行きますか。
If you ( could ) go anywhere, where ( would ) ( you ) go?

<解説>
条件節の動詞:
未来(現在)に関する仮想なので、
➡ 過去形 (could go) を用いる(仮定法過去)

帰結節の動詞:
未来(現在)に関する仮想なので、
➡ 助動詞の過去形 (would)  + 動詞の原形 (do)

「どこでも行けるなんてあり得ないけど、もし仮に行けるとしたらどこへ行く?」と尋ねています。

<語句>
anywhere「どこでも、どこかに」(この文では前者の意味)


<空所内の文字について>
空所内に文字が記されている場合は、正解が他にもあり得ることを示します。しかし、ここでは「みんなの英語道場8」の英文を学ぶことを目的とするため、左寄せの文字がある場合はその文字で始まる単語を正解とします。同様に、右寄せの文字がある場合はその文字で終わる単語を正解とします。

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