私という男 #最終章
「私という男」もいよいよ完結する時が来た。
9日間に渡って書き残してきた幼少期から学生時代、そしてプロになって数々のチームを渡り歩いてきた私の物語もいよいよ今日で終わりとなる。
2022年5月8日
今日は茨城ロボッツの2021-2022シーズン最後のホームゲームである。
そんな私は今、ロッカールームにいる。
ちょうど今、試合前の最後のチームミーティングを終えたところである。
これからコートに出てレイアップをしたら、いよいよ今シーズン最後の試合が始まるわけだが、
試合中にもしかしたら私は泣いているかもしれない。
何故なら、
私は今季をもって「引退」するからである。
この事はファンの方々にはもちろん、チームメイトの仲間にもまだ言っていない。
この試合が終わり、みんなが一人一人マイクを持って挨拶をする時に私は初めてチームメイトに告げることになるであろう。
その時のみんなの反応が驚いている顔だったら私は満足である。
引退すると決めたのは今年の2月頃。
それから今日に至るまで、私は西村社長に秘密にして欲しいとお願いをした。
何故なら私はみんなに気を遣われたくなかったのである。
チームメイトの仲間にも最後まで「選手」として接して欲しかった。
「天翼はこれが最後だから」
良くも悪くもそういう目で見られたくなかったのである。
ファンの方々もそう。
シーズン途中で引退を表明してしまったら、まだ終わってもいないのにどこかで「過去」の人になるような、そんな気がして......。
だからどうかお願いである。
せめて試合が終わるまではいつも通りの私で居させて欲しい。
今日が最後だからといって特別なことはせず、いつも通りアップをしていつも通りコートに立っていつも通り私はプレーをするから、みんなには只々、私が選手を終えるまでの瞬間を見届けて欲しい。
私が「遥天翼」のままで終われるように。
こんな私のワガママを最後まで聞いてくれてありがとう。
そして改めてこの場を借りて謝罪する。
最後の最後まで引退することを言わなかった私をどうか許して欲しい。
私からの手紙
最終章に何を書くか最後の最後まで悩んだ。
最初は茨城ロボッツに移籍して今に至るまでの軌跡を書き残そうと考えていたが、途中まで書いて私は消した。
それを書いても私の気持ちは"仲間"や"ファン"には届かないと思ったからである。
だから気持ちを込めて手紙を書くことにした。
それが私に出来る最後の"ありがとう"だから。
福ちゃんへ
思えばいつも丁寧にLINEの返事を返してくれる福ちゃん。会話の最後は必ず福ちゃんで終わるし、文の返しも凄く律儀でほんとよく出来た後輩だなといつも感心させられていた。
俺がヘアスタイルを変えた時も、どのワックスがいいか相談した時に家から2〜3個持ってきて貸してくれたり、あの節は本当にお世話になりました。
福ちゃんの3Pで何回チームが助けられたか数え切れないぐらい助けてもらったよね。
でもそれも全部福ちゃんが今まで積み上げてきた努力のおかげだって俺は思ってるよ。
毎日のように黙々とシュートを打ち込んで、自分が納得するまで練習してたよね。
試合中「僕のマークマンがスイッチしたらポストアップして下さい」っていつも俺が有利になるように考えてくれてて、俺にとってはそれが凄い嬉しかった。
その言葉がいつも俺に自信を与えてくれてたんだよね。
本当にありがとう。
朝飛へ
4年間一緒にやってきた朝飛とまさかまた同じチームになれるとは思ってなかったから朝飛がロボッツに来るってなった時、本当に嬉しかったよ。
そして遠征の時は乗り合わせの為にいつも家まで迎えに来てくれてありがとう。練習から集合場所まで時間がない移動日には2人でよく丸亀製麺でうどん食べて集合場所へ向かう車の中で色んな話をしたよね。あれからお互いに歳もとってまたこうして肩を並べて話をする時に大学時代とは違った視点で話ができることが何より誇らしかったよ。
そして朝飛にも試合当日になるまで俺が引退することを隠しててごめん。何度も何度も一緒にいる時に言おうとしたんだけど一番身近におる存在だっからこそ最後まで俺を天翼として見て欲しくて言えなかった。
今日で俺はバスケ選手を辞めるけど、朝飛がどこまで現役を続けるかずっと見守っとくね。怪我だけはしないようにね。
今までありがとう。
シェイへ
シェイの人柄にいつも救われたよ。
いつもいつもシュートに迷う俺にエリックと2人で背中を押してくれたね。その言葉にどれだけ救われたことか。
マークが怪我で離脱した後、シェイとエリックがロボッツを支えてくれたんだよ。
ツルが北海道戦で膝を怪我したあの日、足首が拳ぐらい腫れ上がっていたよね。それなのにその3日後の秋田戦でコートに出るって聞いた時、正直、そんな無理しなくていいよ。。。って思った。
でもよかった。シェイが居なかったら俺たちは秋田に勝てていなかったから。
シェイのその笑顔と温かさと強さが俺は大好きだよ。シーズンが終わったら戦い抜いたその身体をゆっくり休めてあげてね。
本当にお疲れ様。
コーヘーへ
いつも驚かしてごめんね。でもコーヘーの反応が良すぎるからついつい驚かしたくなるんだよね。
この前のホテルのエレベーターも笑ったよ。先に降りる福ちゃんは微動だにしてなかったのに後ろにいたコーヘーが何故か大声あげてびっくりしてたよね。
あとごめんね。
今日で引退するから来シーズンコーヘーが復帰しても、いっつも一緒にしてたシューティング勝負ももう出来んくなるね。
だから俺の勝ち逃げってことで許してね。
そして肩も早く治せよー!
ロボッツの新時代はツルとコーヘーがいないと始まらないから。
みんなが期待してるよ。
顔晴れ。
祐二へ
鼻の骨折痛かったよね。あの時担架に運ばれていったけどその日の夜にはホテルに帰って来てて安心したよ。パンパンに腫れてたけど。
アツも悪いよねー。人がこんなに痛い思いしているのに腫れた鼻を見て爆笑してて。でもごめん、腫れてた時の祐二はほんとぱっと見じゃ誰かわからなかったし、電気治療でパッドをほっぺに貼ってた時は俺も腹抱えて笑ったよ。まぁそれも良い思い出だったってことで。
移籍した当初から今でもずっと「良い子」っていうイメージが変わらないぐらい性格が真面目で優しくて普段の何気ない会話がいつも居心地良かったよ。「俺レベ」っていう漫画で毎週盛り上がってたのも懐かしいよね。
同じ白チームでよく一緒にプレーしたし試合後のワークアウトも沢山したね。だから祐二の気持ちが痛いぐらいわかるんだよね。
だからねほんと応援してる。
まだまだこれからも選手生活は続くと思うから悔いがないように顔晴ってね。
負けるな!祐二!
マークへ
元気にしてるかなー?膝の調子はどうかな?
順調に回復してることを願ってるよ。
カナダから俺たちの試合を見てると思うから分かってるとは思うんだけどマークが居なくなってエリックもシェイも本当に頑張ったんだよ。
何回、ここにマークが居たらって思ったことか。
でもほら見てよ。
noteで書いたようにロボッツは大丈夫だったでしょ?怪我人が何人出ようがプレーできる選手が何人になろうが俺たちは戦えたよ。負けの方が多かったけどアツと同じように俺もこのチームを誇りに思ってる。
最後まで一緒に戦えなかったのは残念だったけどロボッツは確実にBUILD UPしてるから安心して。
ほんと来季が楽しみだね。マーク。
膝の怪我が無事に完治してまたマークのプレーが見れますように。
Good luck,bro.
エリックへ
ライジンゼファー時代を経てまた一緒にプレーできて本当に嬉しかったし、エリックがロボッツに来るってなった時はワクワクしたよ。
久しぶりに会った時から全然変わってなくてエリックの人柄ってこんな感じだったなって練習の初日から懐かしく思えた。
いやー。ほんとによく頑張ったねエリック。
最後の最後まで大きな怪我もなくコートに立ってチームを支えてくれたことにありがとうと伝えたい。
こんな状況になったら普通はプレーしないって言ってもおかしくないのに文句一つも吐かずに戦ってくれてありがとう。
もういいよ。ってこっちが思ってしまうぐらい献身的で身体張って戦う姿を見て心が痛くなったのは初めてだよ。
そしていつも俺に「テンがシュートを打ってくれたら俺はハッピーになるんだ。だから自信持って打て」って言ってくれてありがとう。
逆に悪いプレーをした時は本気でぶつかってきてくれてありがとう。
ほんとにいい相棒だよ。
愛してるぜ。
ハビへ
シーズン始まってからほんと数え切れないぐらい1on1したよね。
楽しかったなー。
でもシュート勝負も1on1も俺が余裕で勝ち越してるからハビとの勝負も俺の勝ち逃げでいいよね?
日本は慣れたかな?
今では「テンさん!」って普通に名前を呼んでくるところが何だか可愛くて笑っちゃうんだけど、素直に嬉しいよ。
今シーズンを振り返るとハビにとっては辛いシーズンになったね。
それでもよく最後まで我慢して腐らずに頑張ったと思う。試合後はいつも残ってワークアウトして常に準備してたのを知ってるよ。
いつかの練習後に2人でロッカールームに居た時ハビは俺に話してくれたよね。「俺はベンチに座るために日本に来たんじゃない」って。あれを聞いた時胸がぎゅーってなったよ。
ハビはシュート力もあるしフィジカルも強いし絶対に良い選手だと思うからこれからも努力することを諦めずに頑張って欲しい。
俺はハビが来季は飛躍することを心から願ってるよ。貴方にはそれができる力があると思ってるから。
短い間だったけどハビに出会えて良かった。
ありがとう。
ツルへ
シーズン最後まで戦えなかったのが俺としては残念だった。と言うのもツルのディフェンスやドライブ、リバウンドもそうあの躍動感あるプレーにベンチに居ながらいつもワクワクしていたし、見ていて楽しかった。
ツルの事を思い返すと俺が移籍してきた最初らへんの練習でドリブルジグザグの1on1でマークに吹っ飛ばされたのが今でも頭に残ってるんだよね。懐かしいよね。あのシーズンからメキメキと頭角を現して今ではロボッツになくてはならない存在にまでなって。何故か親目線になってしまうんだけどツルがコート上で活躍してる姿が嬉しくて堪らないんだよね。
いつも寝癖でウエイトに来るツル。
いつもちょっとダルそうにしてるツル。
練習でバチバチにやり合ってよく俺にキレてたツル。(怖かったからマジでやめて欲しかった)
でも笑った顔が可愛いツル。
どれも好きだよ。
手術が無事に終わって松葉杖で体育館に来た時はその手術跡が痛々しくてほんとに心が痛かったけどみんな待ってるから。
ツルのプレーをみんなが楽しみにしてるから。
またチームを救ってあげて欲しい。
ロボッツを頼んだね、みんなのヒーロー。
大智へ
いつもチームの雰囲気を明るくしてくれてありがとう。誰にでも出来ることじゃないからこそチームの雰囲気が悪くなった時は特に助けられたよ。いつもポジティブにチームを支えてくれてありがとう。
大智の迷いのない3Pを見る度に胸が躍ったよ。
要らないお世話かもしれないけどこれからも迷わずにシュートを打ってね。あれが大智の良さだし武器だから。
今シーズンは4番やりながらたまに3番やったりと色々苦労することが多かったと思うけど、これもなかなか出来ることじゃないし戸惑いながらもその時その時に出せる100%でプレーする大智に勇気をもらった。
大智の子供たちにも沢山癒されたよ。俺の息子と同い年で同じぐらいよく喋るからこれからの成長が楽しみだよ。これから先も大智と大智の家族が笑顔いっぱいに過ごせるように願ってるね。
後輩ばっかりご飯誘って1回も誘ってくれなかったのが寂しいけど引退しても連絡待ってるから。ご飯誘ってね。
1シーズンという短い時間だったけど大智に出会えてよかった。
ありがとう。
アツへ
アツがキャプテンでよかったって心から思える。
このチームがブレなかったのも、ここまで戦えたのも俺は全部アツが居たからだと思ってる。
普段はおちゃらけてフザケまくってるけどバスケになるといつも背中で魅せてくれたよね。
アツが試合中やロッカールームでみんなに声を掛ける言葉がいつもチームを一つにしてくれた。
昇格を決めたあの日、キャプテンとしてそれまでどれだけのプレッシャーを抱えてプレーしてたかは想像できないけどアツのあの安堵した顔はこれからもずっと忘れない。
昨シーズン抱き合って一緒に泣いた時の顔も、今シーズン人数が減って負担が増えた時の疲れ切ったあの背中も、最後まで見届けることができてよかった。
満身創痍になりながら最後まで戦ってくれた我らのキャプテンを俺は誇りに思う。
オフシーズンは家族と一緒に過ごすだろうけど、いつも疲れているのに子供たちのために身体に鞭打って遊んでくれる優しいパパだから、身体を休めることも優先できたらしてね。もうアツも若くないんだから。
今までありがとう。
そして本当にお疲れ様。
佳太へ
いつもワークアウトに付き合ってくれてありがとう。時には汗だくになりながら時にはヘロヘロになりながらそれでも嫌な顔一つせずに付き合ってくれる佳太が俺は大好きだった。
佳太は頭が良いからいつも色んな角度からバスケットボールを見てて凄い人だなーって尊敬しつつ同期として同じ目線でバスケットボールを語る時が一番俺はワクワクしたよ。
俺の足りないところも俺の強みも冷静に分析してフィードバックしてくれるから凄く自分の為になった。言葉じゃ上手く伝えきれないけど佳太のその一つ一つの言葉がいつも俺の心を響かせていたんだよね。
人一番熱くて選手に歩み寄ってくれる佳太と一緒にバスケができて本当によかった。
ありがとう。
将吾さんへ
短い間でしたが大変お世話になりました。
マークが居なくなって千葉にボロ負けした土曜日、将吾さんが言う言葉に心が震えたのを今でも忘れません。そして北海道戦で負けた後に満身創痍の僕達にかけてくれた言葉も忘れません。
それだけ将吾さんの言葉で何度も立ち上がる事ができました。本当にありがとうございました。
言われた事が出来なかった時には感情をあらわにして選手に怒り、誰かが上手く行かず落ち込んだ時には話を聞いてフォローをしてくれる。
そんな時には厳しく、時には優しい将吾さんを選手たちは頼りにしてました。
リッチの冗談を通訳する時のネタにも笑ったし一緒にクラン対戦したのも今となっては良い思い出です。
これからも将吾さんらしく顔晴ってください。
あとタウンホールが僕より上になったので援軍の方宜しくお願いします。
翔さん、神ちゃんへ
練習やホームゲームの時はもちろん遠征でも夜遅くまで、何人も何人も身体を触り疲れを次の日に残さないようケアをしてくれてありがとう。
選手の体調も徹底して管理してくれて怪我明けやコロナ明けにはリッチとプレータイムの相談をしてまた怪我を再発させないよう選手たちを守ってくれてありがとう。
シーズンの終わりに続いた9日間の遠征も7〜8人で最後まで戦えたのは2人の存在があったからこそです。
心から感謝。
落合さん、大和へ
いつもチームを裏から支えてくれてありがとう。
2人がいないと絶対にチームは回らないから大変な仕事だと思うけどいつもミスなくこなして捌いているところを見ると本当に尊敬する。
チームのスケジュールを纏めたり体育館の予約をしたり遠征の段取りもしなきゃいけないのにコーチ陣や選手からの要望もあって一口に"マネージャー"で片付ける程簡単な仕事じゃないのに嫌な顔一つもせずに引き受けてくれる2人には感謝しかない。
「遠征先のホテルに温泉があると選手も疲れが取れやすいよ」って言うと優先して探してくれたり、試合前にコートを使いたいって言ったら体育館の時間を押さえてくれて、そしてリバウンドまで取ってくれる。
あげたらキリがないぐらいチームの為に沢山の事をありがとう。
チームの裏の大黒柱は間違いなく貴方たち2人です。
健吾さんへ
いやー1シーズンしか一緒にやれなかったけどここまで濃くぶつかれたのは健吾さんのおかげだね。
うどん屋さんはどこが好き?という討論から始まり、トレーニングの方法論やラントレの理論、そして専門外の"栄養"にまで意見交換したりと色んな事で語ったね。
途中お互い熱くなって口論みたいになるのも今では笑える話だね。
"俺と健吾さん"って言ったらやっぱり試合後にしたワークアウトでの喧嘩だね。笑
多分これは今後何年経っても忘れる事のないエピソードだよね。でもその時も言ったけどそんな健吾さんが俺は大好きよ。
いつも一緒に横で走ってくれてありがとね。
この歳になっても最後の最後までパフォーマンスを維持できたのは健吾さんのおかげだよ。
シーズンが終わったらすぐ夏になるけどその間は天然の紫外線で黒くなれるからよかったね。
今年の夏もどれぐらい黒くなったか勝負しようぜ。
1.2.3......筋肉!!!
リッチへ
リッチと最初に出会った時よく選手とコミュニケーションとってくれるなーって感心したよ。
ロボッツに来た当初なんて一人一人の所に行って話しかけてたよね。「あー早く選手のこと知りたいんだなー」って遠くでその様子を見て思ったのが懐かしいよ。
リッチが試合中に怒るのは大嫌いだったし「ボディーランゲージを大事にしろ!」って自分で言ってるのに"一番雰囲気悪くするじゃん!"ってツッコミを入れたくなるぐらい悪くて、頭抱えたり地面蹴ったり酷い時には物に当たったりしてさ、ベンチでその雰囲気を払拭するのがほんと大変だったんだからね。笑
でもそんなリッチの嫌なところもあるけどそれ以上に好きなところも沢山あった。
悪い時には名指しで言えるその強さも好きだし、その後に「でも◯◯選手だけじゃないからね」とか「◯◯選手をあくまで例に挙げただけだけどね」とかちゃんとフォローも入れてて人としてちゃんとしてるなーって思ったし
たまに出る冗談も俺は好きだった。
7人で試合した北海道戦の試合。
途中で時間が止まってる時に、大きな声でまた叫んでるって思ったら「水を選手にあげてくれ!!」ってベンチに言ってたのが凄く印象的だったなー。
そのリッチの姿を見て「あーこの人は本当に熱くて選手想いなんだな」って感動したのを今でも覚えてるよ。
選手に怒るのもそう、負けたくないんだよね。
人一番負けず嫌いなHCだからもしかしたらロボッツはここまで来れたのかもしれないって思うよ。
こんな俺を最後まで使ってくれてありがとう。
妻へ
今まで側で支えてくれてありがとう。
俺が「スープにして」と言ったらスープにしてくれて俺が「鶏胸肉にして」と言ったら鶏胸肉にしてくれた。そんな俺の我儘に付き合いながらサポートしてくれて本当にありがとう。
ここまで1回の大怪我も無しに現役生活を終えることができたのは間違いなく貴女のおかげです。
俺が遠征で長い間、家を空ける時も一人で子供たちを守ってくれてありがとう。
一緒に笑って一緒に泣いて一緒に悩んでここまで乗り越えてきたね。色んな場所にも行ったし色んな人にも出会えた。バスケットボールを通して夫婦で成長できたよね。
そんなバスケットボール選手としての人生はこれで終わりになるけどこれからもまだまだ人生続くし子供たちの成長を見ながらまた顔晴っていこうね。
今までありがとう。
そしてこれからも宜しく。
息子へ
パパが練習や試合に行く時にいつも「怪我しないでね、敵にボール取られないでね」と応援してくれる姿が健気でいつもパパは泣きそうになるんだよね。
まだまだ幼いから全部のことを理解するのは難しいけどそれでも貴方が生まれてきて、日々成長していく姿を見るとパパも頑張らなきゃなって思わせてくれたんだよ。
いつもパワーをパパに与えてくれてありがとう。
本当はね。
「パパのお仕事はバスケットボール選手なんだよ」って貴方が胸張れるぐらい大きくなるまで現役として続けたかったのが唯一の心残りなんだよね。
でもパパの仕事がバスケットボールってのはわかってくれてるみたいでそれだけでパパは嬉しかったよ。
これからも妹と一緒に周りを晴れやかに彩ってくれることを楽しみにしているよ。
心から愛してる。
私に関わる全てのファンの方々へ
バスケットボールを始めて24年、
選手になって11年。
私が書いてきたどの時代にも沢山の人が私を応援してくれた。
名古屋に帰ればドルフィンズのファンの方達が、
熊本に帰ればヴォルターズのファンの方達が、
新潟に帰ればアルビのファンの方達が、
福岡に帰ればライジングのファンの方達が、
そこのコートに立てばみんなが拍手を送ってくれる。それが何よりも温かくて嬉しくて私はいつも感動してしまう。
そして今、私にはロボッツのファンがいる。
ドルフィンズ時代、
出待ちで沢山の方と色んな話をしたことを私は忘れない。差し入れに入っている手紙も沢山もらった。誕生日も祝ってもらった。あの頃が懐かしい。
ヴォルターズ時代、
シーズン通して6勝しかできなかった私たち選手に「それでも応援するよ」と言ってくれた言葉を私は忘れない。
アルビ時代、
"0"と書かれたユニホームを着て応援してくれたことを私は忘れない。移籍する年に「ずっとアルビに居てね」と言ってくれた言葉が嬉しかった。
ありがとう。
ライジング時代、
故郷である福岡に帰った私に「おかえり」と言ってくれた言葉を私は忘れない。私が育った地でいつかまた会える日を楽しみにしている。
サンレーヴス時代、
人の入れ替わりも激しく会場も点々としたホーム開催でも毎試合応援に駆けつけてくれたサンレーヴスのファンを私は忘れない。
ロボッツ時代、
昇格を決めるプレーオフで「待ってろB1」と書かれた横断幕に添えてあるメッセージを私は忘れない。
会話もできない、写真も一緒に撮れない、そんな状況が今も続くなか「遥天翼」と書かれたタオルを観客席から精一杯振ってくれる人がいる、それだけで私は嬉しかった。
そして今日、
4000人に見守られながら引退を宣言できる私はこの上なく幸せである。
バスケットボールと出会って今日に至るまで、私は沢山の人に支えられてここまで来た。
寂しさはあるけど、一切の"悔い"はない。
何故なら
沢山の人に「遥天翼」を応援して貰えたから。
そんな私は
本当に幸せでした。
「私という男」、完結。
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