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円居(着付け教室)に通って三ヶ月。捨松の帯がすっかり、欲しくなってしまった

円居に通い始めて三ヶ月。三味線の先生の演奏会に着物デビューした。この日、着用したのは黒の角通しの江戸小紋で、こちらは人間国宝の型染めと違って布地が硬めなので、胸周りがよれない。同じ江戸小紋でも、人間国宝の型染めは座った時に太腿へかかる着物の圧がトロントロンして、心地良い。着心地にも、一長一短があるようだ。

この日は着付け教室を受講して、講師の先生に着付けてもらった。大事なところを大幅にはしょって話を進めると、円居の企画展で「帯屋捨松」をやっていたので、そちらも見せてもらった。季節柄、夏帯が並んでいてバリエーションが多く、混乱してしまった。初心者の私には、どの時期のどんな雰囲気の帯なのか、パッと見で判別できないのだ。帯は帯でなく、美しい反物として並んでいるので、自然と一番高い帯(綴)に目がいってしまう。小声で先生に打ち明けると「去年、買ったのよ」という方を呼んできてくれた。カタクリの花が一輪、意表を突くバランスでお太鼓の曲線の上に咲いている。まるで、絵画のよう。捨松の帯は専業の図案屋さんではなく、自社で図案を起こしていて、色も柄も個性的。私が薦めて貰ったのは(時期を選ばない)大胆なマチス風の八寸や(着用期間の長い)透け感のある染めの九寸だったが、古典文様だって、独特の配色だ。説明が拙いので、いろはに着物さんのYouTubeを見てください。八代目、曰く…

「一色に見える部分に二色以上の糸を使っているので、着物と合わせた時、近い方の色が前に出てくる。着物との馴染みが良くなる」との説明に、どれどれと、捨松さんのインスタを見てみると、無彩色・黄色・水色の着物で帯の色がまったく、違うのに驚かされる。田中敦子さんの本にあった「隠れた色が見えるようになる」というのは、このことを言ってるんじゃないのかと合点がいく。できないことも沢山あるけれど、こんな帯を買える(買ってないじゃん!)ところまで、きたのかなぁ。大人の演奏会に着物で来られるところまではきたのかなぁと、ちょっぴり、誇らしい日になった。

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