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帯締の房の位置を巡り、右往左往した話
着物を始めてから、ずっと、気になっていたことがあった。帯締めの、房の位置がわからない。
正面から鏡で見ると、私の帯締めの房は結び目と横並びにある。ねぇ。これって、違くない? もしも、間違っているとしたら、帯締めをアクセントカラーにした時に、房だって、目立っちゃうんじゃないの?
どうしても気になって、偶然に通りかかった呉服屋さんに飛び込んで、「帯締めの房は、どこにあるのが正解ですか」と問うてみた。
「袖の下にあるんですよ。ほら」と、ご主人は店の奥から『美しいキモノ』を出して見せてくれた。
「結び目が帯の中に隠れてイイですよ」と薦めてくれたのは、組み紐に大小の玉を金具で繋いだ「組み出し」というタイプの帯締めで、欲しかったけど、お三味線の発表会では使えそうにないかったので、我慢した。
そんな出来事があって、オンラインで購入したばかりの「冠組み(ゆるぎぐみ)」の帯締めが気になって仕方がない。ついにメールでお願いして、長尺に組んで貰った。神対応、恐るべし。さすがは京都の老舗。一緒に買った半衿もすごく良くて、「小物をケチらない」という教えは本物だった。
Lサイズの帯締めは百七十センチ。房は袖の下に隠れて、見えない。
後で着付け教室の先生に聞くと、コツは、帯締めを結んだ時に、ギュッと胴体を締め上げる。それで終わりにしないで、中心の結び目から房の先までをビシーッと引っ張って、テンションかけたまま、房の根本を親指の先でクッと挟む。私は胴に巻くときもユルイし、なんとなくで挟んでいるので、挟んだ房が帯締めから飛び出し、ブラブラしてしまうのだ。
ネットで帯締めを買えるお店は百五十センチ代がほとんどだけれど、写真の井澤屋の冠組は百七十センチだし、浅草の桐生堂さんのサイトには、並尺の他に、百八十センチのLL寸を扱っていた。
小デブになった私は、来店を誓うのであった。