店舗兼住宅に住むということ
今回自分達が建てる建物は店舗兼住宅。店舗併用住宅とも言いますが、要は住む場所と働く場所を一緒にした建物です。今回はそちらについて今思うことをつらつらと書いてみようと思います。
きっかけはシンプルに「もったいない」
飲食店を営む場所を作る場合、大体は自分がいいなと思える場所を借りてお店を作ると思います。テナントを借りる訳ですが、やっぱり一般的なオフィスや事務所等と比べると「飲食店可」としている物件は同じ地域の中でも高くつく場合が殆どです。
火を使い、水を使い、人の出入りも多い。建物に与える影響は一般的な事務所と比べるまでもないことを考えると、貸す側の視点で見たら「そりゃそうだよね。」とは思います。だって何かあったらお金かけて直さなくちゃいけないし、火を使うということはそれだけでリスクもありますから。
決して安くはないテナント料を支払いつつ、当然住む場所も別で賃料を支払って。単純に言えば2軒分を支払い続けている状況で、しかもそれは資産でもなく基本的にはただ手元から離れていくだけのお金です。事業の運営において固定費は少なければ少ないほどメリットがありますから、これはとてももったいない。
長時間労働と隙間時間が多い飲食店
飲食店の運営はお客様にお店を開いている営業時間以外に、事前に仕込む作業と終わったら片付けやその日の売上の締め作業、そして次の日を見越しての仕込みなど…どうしても長時間労働になりがちです。(それぞれに人を雇って分業したらもっとスマートにできると思いますが、そんな規模感でもありませんので……。そうしたい野望はありますけど。)
また、飲食店は営業時間中でもちょっとした隙間の時間だったり、仕込みなら仕込みでどうしても時間を開けないといけなかったり。微妙に手が空く時間もあるんですよね。お店にいる間はそういう時間もどうにかしてやることを見つけたりする訳なんですが、お店の中だけではどうしても限界があります。こういう時に少しでもしっかり休めたら大分変わるのに。ってずっと思ってました。
物が多い問題
飲食店は作るのに使うもの、お客さん向けに使うもの、店内で使うもの、テイクアウトで使うもの、通販で使うもの、その他細々としたもの。と幅が広くそしてある程度ストックしておかないといけない物が多いんですよね。
ストックまでお店に全て置いとくにはスペースが足りない場合、自宅などで保管したりもする訳ですが、その辺の在庫の把握とかいちいち持ってくるとか。すんごい手間なんですよ。
一つ一つは大したことなくても、あれ?今あれはどっちにあるんだっけ?とか、やべぇ思ったりよりもストック無いじゃん……とかあるあるです。(ちゃんと管理しとけよって話なんですが)
固定費もストレスも減らす店舗兼住宅
思いつくままに今までの不満をぶちまけてみましたが、こういうお金でもメンタルでも「お店の運営に不必要な負担」はなるべく減らそう。というのが大きな目的です。
シンプルに暮らす。シンプルに働く。なるべくスマートに生きたいものです。
生活と仕事が混じり合うスタイル
お店を借りている時からなんですが、上記に書いた様々な問題によって住まいと仕事が時間的にもスペース的にもメンタル的にも渾然一体となった生活スタイルになっていくんですよね。そして食べ物って私生活にも当然深く根付いているものなので、切り離して考えるのも逆に難しかったりします。普通に家族で外食していても「あっこれ美味しい!」となるとスイッチ入ったりしますから。
だったらいちいち切り離さず一緒にした方が良いよね、と思った訳です。
生活の3大要素、衣食住。飲食店というお仕事は勿論「食」に100%寄り添ったもので、飲食店の店舗兼住宅は衣食住の枠にぴったり収まります。その全て(食だけではなく職も)が渾然となった場所であり生活を、そして自分達を表現するのに一番適した形なのではないかと。
新しい場所は、そんな純度100%で表現できる場所にしたいと思っています。
変化を受け入れ、そこでいきづく場所
店舗兼住宅で自分達のお店をやる。というのが一番の目的ではありますが、未来永劫そのお店が存続するかは分かりません。歳を取って身体が動かなくなったり、怪我や病気だってしないとも言えません。したくありませんが。
そうなった時に人に貸し出せるような場所として中はしっかり区切れるような仕組みはずっと念頭に置いて考えています。お店部分だけでも成り立つように、そして開口部はしっかり鍵を閉めたり後で塞げば良いように、と。
自分達がやりたいことをやる場所として。また、それに固執せず、柔軟な心持ちでいられる場所であることが、これからずっとそこに生きていく(であろう)自分達と建物、そして生活との関係性であります。
また、光熱費などもしっかりチェックできる機能を盛り込んだ家になる予定です。まだ実物や実地でチェックできていないので記事には書けないのですが、この辺は詳細が明確になったらご紹介できたらなぁと思っています。
新型コロナウィルス発生後の住まい
飲食に限らず、新型コロナウィルスの関係でテレワークなどをする方も激増し「家で働く」というスタイルが根付く(根付かざるを得ないという方が正しいのかもしれません)のかなぁという気がしています。みんながお家の時間をより大切に、そして生活の中でのウェイトを大きく占めてくるであろうということは新しく作るお店でも念頭に置いております。
今まさに世界的な建設ラッシュで、どこもそんな新しい生活に向けた動きが活発なようなのもその一例です。(それは喜ばしいことですが、資材不足なのが……。ウッドショック貴様は許さん。)
住まい、働き方。ワークライフバランス。色んな点で今まさにパラダイムシフトが起きているのしょう。今更起きたことを嘆いていてもしょうがないので、その変化をしっかり感じて、自分の中で咀嚼して。楽しみながら場所を、仕事を、生活を作っていきたいと思います。
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