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危機一髪で感じたこと

 日常業務をこなしている中で、予期せぬ出来事が起こることがあります。特に、不動産管理という仕事では、様々な問題が生じることがあるため、対応力が試される場面が多いです。今回お伝えするのは、そんな危機一髪の経験を通じて感じたこと、そしてその経験がもたらした教訓についてです。

予期せぬ事態の発端

 ある日、関連会社から「最近、ある入居者の姿を見かけない」という連絡を受けました。ポストには郵便物が溜まり、家賃の支払いも滞っているとのことでした。この状況から、入居者が夜逃げした可能性もあるとの話がありました。管理物件では時折こういったことが起こりますが、行ってみないとわかりません。

現地での確認作業

 状況を確認するため、私と関連会社のスタッフは東京から車で2時間かけて現地に向かいました。現地に到着し、建物の外から様子を確認したものの、応答はありませんでした。管理会社として勝手に部屋に入ることはできませんので、役所の職員と警察の立ち会いを待ちました。

ドアの向こうにある不安

 まず警察官と役所の職員さんが来る前に合いカギを確認しドアノブを見ますと蜘蛛の巣が張ってあり少なくとも数日は誰も触れていないであろう感じでした。
 インターフォンを何度も押しましたが反応がなく、ただ電気が通っている様子でした。集合ポストには公共料金の請求書が積み重なっており、状況はますます怪しくなっていきます。ほどなくして役所の職員と警察が到着し、身元の確認や状況のヒアリングが行われました。警察官はドアポストから鼻を近づけて、「何か臭いがするかもしれない」と言いました。外からはっきりとは分からなかったものの、不安が広がる瞬間でした。
 確かに何か臭うのです。

ドアを開けて見た光景

 鍵を開けて部屋に入った瞬間、私たちの心は張り詰めました。電気はついており、そして、そこには人影が…。警察官が「足が見える!」と声を上げ、私の心臓は一瞬止まるような感覚でした。しかし、その直後に「動いている!」という声が聞こえ、安堵の息を漏らしました。入居者は、衰弱しきって声も出せないほどでした。自力で動くことができず、命の危機に瀕していたのです。

迅速な対応と感謝

 すぐに警察が119番通報し、救急車が到着するまでの約20分間、緊張の連続でした。救急隊員は手際よく対応し、搬送の準備が進められました。狭いマンションのため、廊下を担架で運ぶことができず、一定の場所まで慎重に移動させました。入居者の姿を見たとき、彼の痩せ細った体がこの事態の深刻さを物語っていました。

安堵とその後

 幸いなことに、総合病院への搬送が決まり、命に別状はないことが確認されました。しかし、高齢のため回復には時間がかかるとのことです。退院後の対応については、役所と入居者の間で進められることになりました。

管理の責任と限界

 この一件を通じて、私は管理者としての責任の重さを再認識しました。一部の入居者からは「管理人を常駐させるべきだ」との指摘もありましたが、普通の賃貸アパートやマンションでは、そこまでの管理体制を整えることは現実的ではありません。それでも、今回のように早期発見できたことで、命を救えたことには感謝しかありません。

採算を超えた人間らしさ

 この経験を通じて、私は不動産管理の仕事が単なる「物件管理」ではないことを痛感しました。私たちの仕事には、時折、命に関わる責任が伴います。普段は業務の効率や採算性に焦点を当てがちですが、このような事態に直面すると、人間らしさや社会的な責任感が何よりも大切だと感じます。
 皆様は賃貸管理会社とはどのような収益構成かご存じでしょうか?家賃の約5%を頂きそれを積み上げながら行動しているのです。10件程度では成り立たないのがわかりますよね。
 家賃5万円ならば手数料は月額2500円です。2時間かけていくなんて給料を払う側の考えではなかなか行けたもんではありませんが毎月あるわけでは無いため確認の必要があると判断した場合は現地に行きしかも今回は3時間位でしたが万が一のことになると6時間以上拘束されてしまうのです。
 命に関わったらと思う使命感で関連会社は判断したのだと思います。
 さすが経験に基づくと過去数回経験している担当でしたので尚更良かったのかもしれません。

最後に

 警察、消防、救急、そして役所の方々が連携してくれたおかげで、今回の事態は最悪の結末を避けることができました。彼らの迅速で的確な対応には感謝の気持ちでいっぱいです。また、私自身も、このような危機的状況に立ち会ったことで、改めて「人を守る」という責任を感じました。普段は気づかないことですが、日々の業務の中にも、こうした大切な要素が含まれていることを忘れてはならないと思います。

 とにかく無事でよかったと思いました。
 管理会社の方に話を伺うと3年に一回くらいあるという会社もあれば年に数回このようなことが夜逃げも含めありますよと現場の声は重みがありました。

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