投資マンションの繰り上げ返済はした方が良いか?
投資マンションの購入を考える際、ローンを組むことがほとんどです。そのため、毎月の返済や金利の負担が長期にわたる大きな課題になります。このような状況で「繰り上げ返済をすべきか」という悩みは、多くの投資家に共通するものです。今回は、その選択がどのような影響をもたらすのか、繰り上げ返済のメリット・デメリット、そして金利変動の影響を考慮しながら解説していきます。
繰り上げ返済とは?
まず、繰り上げ返済とは、予定された毎月の返済額に加えて、追加で元金を返済することです。これにより、ローンの総返済額を減らすことができ、また返済期間を短縮することが可能です。繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。
期間短縮型:元金を一括で返済し、残りの返済期間を短くする方法。
返済額軽減型:元金を一部返済し、毎月の返済額を減少させる方法。
どちらを選ぶかは投資家のライフプランや資金計画に依存しますが、それぞれ異なる効果をもたらします。期間短縮型は利息負担を大幅に減少させ、結果的に総返済額の削減につながります。一方、返済額軽減型は、毎月のキャッシュフローを改善するため、手元資金を確保しつつ投資を続けたい場合に有効です。金利の少ないのは期間短縮型の方です。
金利の影響を考える
さて、投資用マンションのローン金利が低い場合、繰り上げ返済のメリットは一体どの程度あるのでしょうか。例えば、現在の借入金利が1.6%の場合、3,000万円の借入を35年間で返済する場合、月額返済額は約93,331円となり、その内訳は元金が約53,332円、利息が約39,999円です。この利息は、返済期間が進むにつれて減少していくものの、35年の間に支払う総利息は約920万円にもなります。
一方で、仮に金利が1.6%から0.1%上昇し1.7%となった場合、月額返済額は94,882円に増加し、支払う総利息は約980万円になります。金利がわずか0.1%上がるだけでも、返済額が約1,500円増加し、総利息も60万円程度増えることになります。さらに、金利が1%上昇すると、月額返済額は約15,510円増え、総返済額の負担が大きくなることが分かります。
繰り上げ返済のメリット
繰り上げ返済の最大のメリットは、利息負担を軽減できる点です。特に期間短縮型を選ぶことで、毎月の返済額が変わらず、返済期間が短くなります。たとえば、35年ローンを30年に短縮すれば、その分の利息を支払わずに済むため、トータルで数百万円の利息削減につながる可能性があります。
また、もう一つのメリットは、返済を早めることで金利リスクを軽減できる点です。今後金利が上昇する可能性がある場合、ローン残高が大きいままだと、金利が上がった時の負担も増えます。しかし、繰り上げ返済によって元金を減らしておけば、金利上昇の影響を最小限に抑えることができます。
繰り上げ返済のデメリット
一方で、繰り上げ返済にはデメリットも存在します。まず、手元資金をローン返済に充てるため、他の投資機会を失う可能性があるという点です。現在の低金利環境では、他の資産運用に回せば、ローンの利息以上のリターンを得られるかもしれません。例えば、株式や投資信託、あるいは他の不動産への再投資が、その選択肢に該当します。
また、繰り上げ返済によって手元資金が減少すると、予期せぬ支出が発生した際に対応しにくくなります。緊急時に備えて、一定の流動資産を手元に残しておくことが重要です。
実際1.6%の金利で繰り上げ返済をしたのに手持ち資金が足りなくなり15%で借入をしてしまいましたら意味ありません。
金融商品の活用と繰り上げ返済のバランス
投資用マンションのローン返済において、繰り上げ返済を検討する際には、他の金融商品とのバランスも考慮する必要があります。たとえば、団体信用生命保険(団信)によって、ローン残高が保険でカバーされている場合、繰り上げ返済を行わずとも、最悪の事態(死亡や高度障害)が発生した際にはローン残高がゼロになるという保証があります。
また、現代の不動産市場は、金利だけでなく土地の価格や建築費、人件費の影響を受けており、これらが将来の不動産価格に与える影響を予測するのは困難です。現時点では、土地価格や資材費の高騰が続いており、不動産価格が下落する要因が少ないため、金利上昇による価格低下のリスクは必ずしも大きくありません。
また1000万円繰上返済できるとしましょう。投資マンションの金利は1.6%としますが投資信託や不動産リートで約5%利回りが取れるとしましたらどうでしょう。基準価格の概念はありますが約5%で回せば1,000万円につき年間16万円と50万円と差が出来るためどちらが有利か(税金も考慮する事)を考えたら有利な選択をした方がよいです。
まとめ
投資マンションの繰り上げ返済をすべきかどうかは、状況に応じて判断することが重要です。金利の動向や手元資金の状況、将来的な投資の計画などを総合的に考慮し、最適な選択をすることが求められます。
繰り上げ返済には利息負担の軽減や金利上昇リスクの低減といったメリットがある一方で、手元資金の減少や他の投資機会を逃すリスクも伴います。どちらの選択が自分にとって最適かをしっかりと見極め、計画的な資産運用を心がけましょう。
お客様達を見ておりますと人生の節目で繰り上げ返済をしている方が多い気がします。