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『英一蝶展(サントリー美術館)』〜島流しの太鼓持ち画家が見た江戸。筆の冴える現代のイラストのようなフレッシュ日本画

【内容】
吉原で遊び、俳諧を楽しみ、型破りな生き方をした江戸時代の画家、英一蝶。40代で島流しを経験するなど、波乱万丈な生涯を送った彼ですが、庶民の生活を生き生きと描き出し、人気を博しました。そんな一蝶の作品が一堂に会する展覧会。

【感想】
導入として、まず、この展示から遡ること数ヶ月前の話になるのですが…
先日、江戸の吉原をテーマとした『大吉原展』を訪れました。そこでは、英一蝶の作品がひときわ目を引きました。その展覧会の解説では、英一蝶は吉原で太鼓持ちをしながら、セミプロの画家として活動していたと紹介されていました。しかし、展示されていた作品は、正直なところあまり完成度が高く感じられず、変わった画家がいるものだ、という程度の印象しかありませんでした。

その後、偶然にも英一蝶が晩年を過ごした一蝶寺で開催されたトークイベントに参加する機会を得ました。そこで、英一蝶の生涯や作品について深く知ることができ、これまでの印象が大きく変わりました。特に、会場にわりと雑に置かれた幅の作品は、予想外に巧みで魅力があり、認識を新たにしました。

ここから、ようやく今回の展覧会の話になります。
今回の展示では、英一蝶が狩野派で修行していたことを知りました。彼の作品の魅力は、何と言っても人物描写の生き生きとしたところにあります。遊郭を訪れる客の表情は、実際に見聞きしたものを思い浮かべながら描きた温かみのある眼差しやユーモラスな表現だと感じました。線の力強さや色彩の繊細さから、彼の軽やかで洒脱な性格が感じられます。まさに「絵は人なり」という言葉がぴったりの画家だと感じました。
特に興味深かったのは、60代になってから描いた狩野派風の作品です。晩年になってもなお、彼は新たな技法に挑戦し、高いレベルで作品を作り上げていました。
展覧会には、世界各国から訪れた人々もいました。会場の片隅で、授乳する欧米圏の女性がいて、英一蝶的な情景だなあと感じつつ、自分の小さい頃に見たこうした情景は、日本では見なくなったなあと感じたりしました。英一蝶の絵画を通して、江戸時代の庶民の暮らしに触れな気持ちになった鑑賞体験となりました。
というか、この画家の作品は現代的な感覚があるので、これから人気が出てくるような気がします。生涯も興味深いし、伊藤若冲的なフックアップのされ方されかたしたら、これから物凄い人気出るのではないかと思いました。

https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2024_4/

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