『テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする展 Terence Conran:Making Modern Britain(東京ステーションギャラリー)』〜ユニクロも影響を受けた?当たり前すぎて気づかない、コンランが生んだ普遍デザインの秘密
【内容】
イギリスの家具・インテリア・デザイナー、雑貨店・レストラン経営者のテレンス・コンランの回顧展。
【感想】
「物を売るんじゃなく、生活スタイルを売る」
「いいデザインとは、98%の常識と2%の美学から生まれる!」
これはテレンス・コンランが生前語った言葉だそうです。
家具やインテリアデザイナーとしてキャリアをスタートした彼は、その後ライフスタイルショップやレストランを経営し、どの分野でも成功し、デザインした商品は作られ続け、ビジネスは継続しています。
展示されていたのは、50年ほど前の商品にも関わらず、今の雑貨店にそのまま置いても売れそうな、というか実際に販売されたりもしているデザインばかり。当時のカタログも展示されていましたが、シンプルに商品を引き立てる構成で、まさに現代のカタログの先駆け。このクオリティなら、今でもオシャレな商品カタログとして十分通用すると思いました。
コンランが開いたセレクトショップ「ハビタ」開店当時の店内再現も印象的でした。商品を天井近くまで積み上げるスタイルは、後にUNIQLOや雑貨店でも定番となった陳列法で、これもコンランが広めたそうです。カタログのフォーマットや陳列方法に著作権がないため、世界中で真似され、普及していったとのこと。
展示の解説も分かりやすかったですが、展示前に聴いたコンランの日本支社長のラジオ解説が、展示内容を理解するうえでとても役立ちました。
コンランのデザインは、北欧家具にも通じるモダンさがありつつ、イギリス風に再解釈されたアーツ&クラフト運動の要素も感じました。カタログには60〜70年代のサイケデリックなイラストセンスも見られ、印象に残りました。
プロダクトデザインに詳しくない私でも、コンランのデザインした商品や陳列棚は雑誌などで見かけたことがありました。もはや当たり前になりすぎて記憶に残らなかったのかもしれません。優れて普遍的なデザインほど、その価値が見えにくくなるのだと改めて感じました。
また、煉瓦壁の東京ステーションギャラリーでの展示は、コンランのスタイルにとてもよく映え、ここで開催された意味を感じました。
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202410_conran.html