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『世界のブックデザイン2023-24(印刷博物館)』〜触れるアートとしての本――中国と日本、ブックデザインの現在地

世界のブックデザインをテーマにした展示が行われていると聞き、江戸川橋にある印刷博物館に足を運びました。
展示には約100冊もの本が並び、どれも手に取って自由に読むことができました。椅子に座ってゆっくり鑑賞できる環境もあり、居心地の良い空間でした。特に、工夫を凝らしたデザインや新しい発想が感じられる本に惹かれました。イラストやタイポグラフィを駆使したもの、子供向けの絵本やイラスト集などが特に印象的でした。
個人的に、じっくり座って本を鑑賞するのが好きなのですが、中国の本は特に複雑な作りのものが多く、その場でしっかり腰を据えて細かな点まで見ることが出来ました。
中国の本はタイポグラフィや装丁で挑戦的な試みが多く、細部まで手間がかけられていました。例えば、紐で和綴じされたもの、1枚1枚の写真を手作業で貼り付けたもの、凝った箱入りの本や豆本、ポストカードサイズの紙が束になったものなど、そのバリエーションと精巧さに驚かされました。経済的な余裕や労働コストの低さが背景にあるのかもしれませんが、その手間のかけ方からは国の勢いや文化的な意欲を感じました。かつての日本も、バブル期にはこうした挑戦的な本が数多く作られていたことを思い出しました。

日本の本としては、湊かなえの『告白』の限定特装版が目を引きました。表紙にはビニールが貼られ、中に液体が入っているという凝ったデザインで、水が作品の重いテーマを象徴していました。本を開くたびに鳥肌が立つような感覚を覚えました。
また、本の中央に鍵が刺さっていて、それを抜かないと読めない仕掛けの本もあり、古いメディアである「本」が新しい価値を生み出せることを実感しました。

さらに海外のもので印象に残ったのは、愛猫と死別した少年を描いた絵本です。左ページにはひとりぼっちの少年、間に挟まれたトレーシングペーパーには猫のイラストが印刷されており、それを重ねると少年と猫が魂の上で一緒にいることが表現される仕組みになっていました。不在と存在を同時に感じさせる演出が素晴らしく、本というメディアの可能性を改めて感じさせてくれる一冊でした。

1時間半以上をかけて丁寧に鑑賞しましたが、リアルな本の手触りや細部に刺激を受け、さまざまなアイデアが湧いてきました。

https://www.printing-museum.org/collection/exhibition/g20241214.php

世界のブックデザインをテーマにした展示が行われていると聞き、江戸川橋にある印刷博物館に足を運びました。
展示には約100冊もの本が並び、どれも手に取って自由に読むことができました。椅子に座ってゆっくり鑑賞できる環境もあり、居心地の良い空間でした。特に、工夫を凝らしたデザインや新しい発想が感じられる本に惹かれました。イラストやタイポグラフィを駆使したもの、子供向けの絵本やイラスト集などが特に印象的でした。
個人的に、じっくり座って本を鑑賞するのが好きなのですが、中国の本は特に複雑な作りのものが多く、その場でしっかり腰を据えて細かな点まで見ることが出来ました。
中国の本はタイポグラフィや装丁で挑戦的な試みが多く、細部まで手間がかけられていました。例えば、紐で和綴じされたもの、1枚1枚の写真を手作業で貼り付けたもの、凝った箱入りの本や豆本、ポストカードサイズの紙が束になったものなど、そのバリエーションと精巧さに驚かされました。経済的な余裕や労働コストの低さが背景にあるのかもしれませんが、その手間のかけ方からは国の勢いや文化的な意欲を感じました。かつての日本も、バブル期にはこうした挑戦的な本が数多く作られていたことを思い出しました。

日本の本としては、湊かなえの『告白』の限定特装版が目を引きました。表紙にはビニールが貼られ、中に液体が入っているという凝ったデザインで、水が作品の重いテーマを象徴していました。本を開くたびに鳥肌が立つような感覚を覚えました。
また、本の中央に鍵が刺さっていて、それを抜かないと読めない仕掛けの本もあり、古いメディアである「本」が新しい価値を生み出せることを実感しました。

さらに海外のもので印象に残ったのは、愛猫と死別した少年を描いた絵本です。左ページにはひとりぼっちの少年、間に挟まれたトレーシングペーパーには猫のイラストが印刷されており、それを重ねると少年と猫が魂の上で一緒にいることが表現される仕組みになっていました。不在と存在を同時に感じさせる演出が素晴らしく、本というメディアの可能性を改めて感じさせてくれる一冊でした。

1時間半以上をかけて丁寧に鑑賞しましたが、リアルな本の手触りや細部に刺激を受け、さまざまなアイデアが湧いてきました。

https://www.printing-museum.org/collection/exhibition/g20241214.php



【おまけ】
帰りに江戸川橋駅近くの台湾料理店『フジ・コミュニケーション』でランチを食べました。ネットで評判が良いと聞いて行ったのですが、到着時にはすでに6人ほど並んでいました。味はそれなりに美味しかったものの、スマホで注文するシステムに戸惑い、ランチメニューもなく量もそれ程でもなく、カウンター席の落ち着かない雰囲気であまりゆっくり楽しめなかったのが少し残念でした。

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