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東京は芝神明、浜松町あたりのものがたり

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昭和30年代、東京は芝神明、浜松町あたりをぶらぶらしていた少年によって、浜松町という土地とそこで暮らしたひとたちとのあいだに紡がれた交情の断片(かけら)がものがたれる。 And …
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2020年4月の記事一覧

「小林亜郎」という漢の思い出
            【東京は芝神明、浜松町あたりのものがたり】

「小林亜郎」という漢の思い出 【東京は芝神明、浜松町あたりのものがたり】

1999年2月のとても寒い日だった。
大陸からきた大きな寒気が東京の上空にあり、そこからの冷気が夕暮れとともに下りてきて、背に冷たい荷物を徐々に背負わされてゆくような家路だった。

その夜には、ローリングストーンズの3度目の来日公演の後に行われたヨーロッパツアーのブレーメンでのコンサートがテレビで放映される予定だった。ストーンズフリークの末席を汚している自分としては、その情報が入ったときからワクワ

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『港区立神明小6年2組白雲会、現在欠員4名!』(抄)         【東京は芝神明、浜松町あたりのものがたり】

『港区立神明小6年2組白雲会、現在欠員4名!』(抄) 【東京は芝神明、浜松町あたりのものがたり】

東京の芝神明といえば、神明神社と将軍家の菩提寺の増上寺で江戸の昔から有名なところで、歌舞伎の「め組の喧嘩」をはじめ、講談浪曲落語を問わずにしばしば耳にする地名。その芝神明の、増上寺の大門あたりから江戸湾までの町並みは浜松町といわれる界隈。

平成の現在はといえば、バブル期の土地買占めにより古くからの住民の多くが去り、東京のビジネス街の一画としか見えなくなってしまっている。今では、浜松町に住んでいる

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