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【日本の冠婚葬祭~葬儀①~】

このブログでは、日本の儀式を見直し、少しでも後世に継承していきたいという想いで様々な行事や儀式をご紹介しています。これまで全3回と1回の番外編にて『婚礼』についてのご紹介をさせていただきました。今回からは「冠婚葬祭」の中の葬儀について書いていきたいと思います。 

前回のブログはこちら

葬儀とは、お亡くなりになった方を見送り、お別れをする儀式であり、正式には「葬送儀礼」といいます。葬儀については、悲しい体験や思い出がおありの方もいらっしゃるでしょうから、あまりリアルな説明はせずにおこうと思いますが、せっかくなので人間の死生観や葬儀の変遷などについて触れてみたいと思います。

はっきりとした年代は定かではありませんが、長年の発掘調査などから推察されることとして、日本ではすでに縄文時代には原始的な葬儀の風習があったようです。

古代において、「死は自然の一部」と捉えられ、自然界に帰すために遺体埋葬が行われました。仏教の伝来後は、死後の救済や輪廻転生が重視され、火葬や戒名などの仏教儀礼が定着し始めます。江戸時代になると、家制度の影響で先祖供養が重視され、地域や家族単位での葬儀が行われました。明治以降は西洋文化の影響も加わり、葬儀の多様化が進みます。

戦後は都市化や核家族化により簡略化が進み、現代では家族葬や直葬が一般化する傾向がある一方、終活やエンディングノートの普及により、葬儀に際して個人の意思を尊重する動きが広がっています。このように、日本の葬儀は社会構造や価値観の変化を反映しながら、伝統と現代性を併せ持つ形へと変遷してきました。

いずれにしても、生きている限り、いつかはその生命活動は終わりをむかえます。それは人生の長さに差はあれ、誰にでも平等にやってきます。葬儀や死について、単に「縁起が悪い」とか「忌み嫌うもの」として「知ること」を避けていると、突然やってくる現実を受け入れられないまま、心残りを抱く見送り方をしてしまうかもしれません。

故人の生きてきた年数に関係なく、それまでの人生を全うしたことに敬意を表し、労い、見送ることが葬儀の本来の意味なのではないかと思います。
次回も引き続き、葬儀についてご紹介していきますので、よろしかったらご覧ください。


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