文章添削士の部屋(文章添削士協会)

文章添削のプロ「文章添削士」が、日々の学びや趣味などについてつづるブログです。

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マガジン

最近の記事

言葉を繋ぐために必要なこととは?

「いいひざの日」は、「いい(11)ひざ(13)」と読む語呂合わせから来ています。寒さが増してひざが痛み出す時期に、ひざ関節痛の治療や予防を広く呼びかけるための日として、「コンドロイチンZS錠」などの関節痛の薬を開発しているゼリア新薬工業株式会社が制定した日とされています。 言葉や文節を構成する要素の中で、接続詞や助詞はまさに膝のような役割を果たしています。膝が身体の動きを支え、スムーズにする役割を担うように、接続詞や助詞は文章や会話の流れを支え、自分が伝えたいことをスムーズ

    • 文章は書き続けることで成長する

      伊達公子さんは元プロテニス選手で、アジア出身の女子テニス選手として史上初めてシングルス世界ランキングトップ10にも入りました。また、相手の打ったボールが自分のコートでバウンドした直後の上がり端を打ち返す「ライジング・ショット」の名手として、世界的に有名な選手でもありました。 テニスの技術を高めるためには日々練習を繰り返して行うことが重要であるのと同様に、文章を書く技術を高めるためにも、日々の練習と積み重ねが必要です。 練習を継続することは、時に精神的な困難を伴います。 し

      • 文章添削士が「推し本」を紹介する「秋の推薦図書」企画。 昨日公開した、恩田陸『蜜蜂と遠雷』の紹介記事をもって、この企画は一区切りとなります。 記事を通して、文章添削士の見識や人となりが多少なりとも伝わっていれば嬉しいです。 今後とも「文章添削士の部屋」をよろしくお願いいたします。

        • 葛藤のその先にあるもの -恩田陸『蜜蜂と遠雷』

          文章添削士がおすすめの本を紹介する「文章添削士が推す! 秋の推薦図書」シリーズ。 今回は、茅根康義さんによる、恩田陸『蜜蜂と遠雷』の紹介記事をお届けします。 と主人公が言う。 音楽の場合は「楽譜」がある。 そこには作曲者がその曲に込めた「想い」が詰まっている。 そして、ピアノ奏者は作曲者の「想い」を想像し、自分の解釈という「色」を加えて演奏する。同じ楽曲でも、奏者によって違いが鮮明になる。 この小説は、3年に1度開催されるピアノコンクールを舞台に、予選から本選を通して

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        • 文章添削士が推す!秋の推薦図書
          12本
        • 日本の冠婚葬祭
          0本

        記事

          【日本の冠婚葬祭~婚礼・番外編~】

          このブログでは、日本の儀式を見直し、少しでも後世に継承していきたいという想いで様々な行事や儀式をご紹介しています。これまで全3回にわたり『婚礼』についてのご紹介をさせていただきました。今回はその番外編です。  前回のブログはコチラ 私は以前、20数年ほど結婚式場でウエディングプランナーをしていました。入社したのは1989年(平成元年)でしたが、この平成の幕開けとともに、結婚式はその形式も意味合いも非常に速いスピードで変化していきました。今回の番外編では、その時の様子を少し

          【日本の冠婚葬祭~婚礼・番外編~】

          思い込みからの脱却-ハンス・ロスリング(他2名)『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』

          文章添削士がおすすめの本を紹介する「文章添削士が推す! 秋の推薦図書」シリーズ。 今回は、小山透さんによるハンス・ロスリング『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』の紹介記事をお届けします。 この本の著者からの質問。「世界の人口のうち極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったか」 A.約2倍。B.あまり変わっていない。C.半分になった。答えはC.である。 あなたは正解できただろうか。世界の正解率は平均で7%であった。「世界の貧困は増えている」というのは誤解

          思い込みからの脱却-ハンス・ロスリング(他2名)『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』

          努力は一生、チャンスは一瞬

          新庄剛志さんは、福岡県にある西日本短期大学付属高校から阪神タイガースや日本ハムファイターズで活躍し、さらにはMLBでも活躍しました。また、監督としても下位に低迷していた日本ハムファイターズの監督として3年間で最下位から2位に躍進させるといった活躍をしています。 現役時代は、敬遠しようとホームベースから離れた位置に来たボールを打ってヒットにしたり、奇抜な行動をしたりと、何かと注目を浴びていましたが、実はコツコツと努力を積み重ねて、今の地位を築いてきた人なのです。 文章を書く

          なぜ私はこんなにもこの作品にひかれるのか -モーパッサン 青柳瑞穂訳 『脂肪の塊・テリエ館』

          文章添削士がおすすめの本を紹介する「文章添削士が推す! 秋の推薦図書」シリーズ。 今回は、矢野多恵さんによるモーパッサン 青柳瑞穂訳 『脂肪の塊・テリエ館』の紹介記事をお届けします。 『脂肪の塊』は、間違いなく私が繰り返し読む本のBEST5に入っています。 しかし、どうしてそんなにひかれるのか、その理由は自分でもうまく言葉にできないでいました。 そもそも『脂肪の塊』とは 読んだことがなくても、この珍妙なタイトルを聞いたことがあるという方は多いと思います。   『脂肪の塊

          なぜ私はこんなにもこの作品にひかれるのか -モーパッサン 青柳瑞穂訳 『脂肪の塊・テリエ館』

          コミュニケーションの前提は「わかりあえないことから」!? -平田オリザ『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』

          文章添削士がおすすめの本を紹介する「文章添削士が推す! 秋の推薦図書」シリーズ。 今回は、藤間香奈さんによる平田オリザ『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』の紹介記事をお届けします。 初めてこの本を読んだのは少し古く、今から8年も前です。仕事で講義をする機会があり、話の組み立てを考えていました。手に取った理由は、記憶に定かではないのですが、恐らく、著者がいわゆるコミュニケーション講師ではなく劇作家というところに、私の“少し視点を変えたい”センサーが反応し

          コミュニケーションの前提は「わかりあえないことから」!? -平田オリザ『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』

          二つの名前 ―佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』

          文章添削士がおすすめの本を紹介する、「文章添削士が推す! 秋の推薦図書」シリーズ。 今回は、茅根康義さんによる記事をお届けします。 ビタースイートサンバという曲をご存じだろうか? タイトルだけを聞くと「???」と思う方は多いだろう。 しかし、実際に流れている曲を聞くと「あぁ、オールナイトニッポンのテーマ曲ね」と理解できる方も結構いる(はず)。 ラジオと言うと世間では「ネクラ」と言われ、あまり良いイメージを持たない方が多いかもしれない。しかし、定期試験や受験前に深夜勉強を

          二つの名前 ―佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』

          先入観は可能を不可能にする

          佐々木洋さんは、花巻東高校野球部監督を務めていて、菊池雄星投手や大谷翔平選手の恩師として知られています。 特に大谷翔平選手は、日本ハムファイターズに所属していた頃から投手と野手の両方をこなす「二刀流」として実績を上げ、さらにMLBでアメリカに渡ってからも進化を続けています。そして、今年はロサンゼルス・ドジャースでも活躍し、現在プレーオフを戦っています。その活躍ぶりはみなさんもよくご存じのことと思います。 大谷選手が二刀流で活躍するきっかけになったのは、花巻東高校時代に野球

          知るべきだが戻ってはならないところ -桶谷秀昭『昭和精神史』

          文章添削士がおすすめの本を紹介する、「文章添削士が推す! 秋の推薦図書」シリーズ。 今回は、雨宮幸一さんによる、桶谷秀昭『昭和精神史』の紹介記事をお届けします。 本作の著者桶谷秀昭は、昭和7年生まれの文芸評論家で、夏目漱石や伊藤整などの文学作品を通した評論や書籍を多く残している。本作は平成4年に出版され、いったんは絶版となったが、新装版として令和2年に復刻し長きに渡って読み継がれているという。タイトルは『昭和精神史』だが、本作では昭和改元から太平洋戦争敗戦1年後までの、日本

          知るべきだが戻ってはならないところ -桶谷秀昭『昭和精神史』

          自分の立場が見えてくる―斎藤美奈子『学校が教えないほんとうの政治の話』

          文章添削士がおすすめの本を紹介する「文章添削士が推す! 秋の推薦図書」シリーズ。 今回は、岩渕あずみさんによる斎藤美奈子『学校が教えないほんとうの政治の話』の紹介記事をお届けします。 2024年は世界各国で様々な選挙が行われ、「選挙イヤー」と言われています。日本でも自民党総裁選、立憲民主党代表選の行方に対し、注目が集まっています(この記事が掲載される頃には結果が出ているかもしれません)。私が推薦するのは、まさにそんな「選挙」や「政治」に関わる本です。「リアルな政治」を理解す

          自分の立場が見えてくる―斎藤美奈子『学校が教えないほんとうの政治の話』

          アフターAI時代の必須能力-鳥潟幸志『AIが答えを出せない問いの設定力』

          文章添削士がおすすめの本を紹介する「文章添削士が推す! 秋の推薦図書」シリーズ。 今回は、小山透さんによる鳥潟幸志『AIが答えを出せない問いの設定力』の紹介記事をお届けします。 「AIに仕事を奪われるのではないか」という心配がある。メディアは、しばしばAIの進化やその影響をセンセーショナルに報道する。AIが単純作業や定型業務を自動化することで、これらの仕事が減少する可能性があるため、仕事が奪われると感じることもあるだろう。 しかし、そんな心配は必要ない。AIが得意としない

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          先入観を持たずに読者に伝えるコツとは?

          先入観は、私たちが書く文章に大きな影響を与えることがあります。例えば、あるテーマに対して持っている先入観が、文体や内容の選び方に反映されることがあります。これにより、偏った視点を提供してしまう可能性が発生します。 では、どのようにすれば先入観を持たずに文章を書くことができるでしょうか? 先入観を避けるための一つの方法は、できるだけ客観的な視点を持つことです。データや事実に基づいて文章を書くことで、主観的な意見を排除し、より中立的な内容にすることができます。また、複数の情報

          先入観を持たずに読者に伝えるコツとは?

          筋トレしても鍛えられない、弱いところ。それは、誰にもある。―森沢明夫『大事なことほど小声でささやく』

          文章添削士がおすすめの本を紹介する「文章添削士が推す! 秋の推薦図書」シリーズ。 今回は、宮本かぐらさんによる森沢明夫『大事なことほど小声でささやく』の紹介記事をお届けします。 まずはタイトルから気になるこの小説。クスっと笑えて、思わず涙して、前向きで温かい気持ちになれる人情小説です。登場人物の誰かのどこかに共感や共鳴ができ、何よりゴンママの魅力のとりこになること請け合い! 映画化もされており、女優の遠藤久美子が良い演技をしているのでそれはそれで良いのですが、ぜひ原作の小説

          筋トレしても鍛えられない、弱いところ。それは、誰にもある。―森沢明夫『大事なことほど小声でささやく』