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カフェインで脂肪が燃えるって本当?科学的に解説してみた!
コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどに含まれているカフェインです。
カフェインが脂肪を燃やす効果があるって聞いたことはありますか?
今回紹介する研究「Does Caffeine Increase Fat Metabolism? A Systematic Review and Meta-Analysis」は、カフェインが脂肪代謝(脂肪がエネルギーとして使われること)にどう影響するのかを、過去の研究データをまとめて詳しく調べたものです。
カフェインで脂肪が燃える仕組みって?
この研究では、94本の研究からデータを集めて分析した結果、カフェインを摂ると脂肪代謝が少し増えることが分かりました。
その「増える量」は、効果サイズ(ES)という数字で表され、0.39(95%信頼区間[CI]: 0.30-0.47)でした。
これを簡単に言うと、カフェインを摂ると脂肪を使う体の働きが少し活発になるということです。
脂肪代謝の測り方にはいくつか方法がありますが、血液中の成分(遊離脂肪酸やグリセロールなど)を測ると効果が強く出て(ES = 0.55)、呼吸ガスを測る方法(呼吸交換比など)では少し弱めの効果(ES = 0.26)になることも分かりました。
運動中と休んでいるとき、どっちが効果的?
「運動中にカフェインを摂ると脂肪が燃えやすい」と思っている人もいるかもしれませんが、実は休んでいるときの方が効果が高いんです。
休んでいるときは効果サイズが0.51(95% CI: 0.41-0.62)で、運動中の0.35(95% CI: 0.26-0.44)よりも大きいという結果が出ました。
運動中でも脂肪が燃えやすいのですが、特に運動の強度が上がると、脂肪よりも糖を使う割合が増えるため、脂肪燃焼効果は少し減るようです。
一方、軽い運動や休んでいるときには、カフェインの効果がしっかり感じられるとのこと。
飲む量や性別で違いはあるの?
本研究ではカフェインをどれくらい飲めば効果があるのかについても、検討しています。
この研究によると、1 kgあたり1 mg~15 mgのカフェインを摂る研究がありましたが、量が多いほど効果が高いというわけではありませんでした。
例えば、体重50 kgの人なら、150 mg(コーヒー1~2杯分くらい)で十分に脂肪代謝が活発になるようです。
また、男性も女性もカフェインの効果は同じくらいあることが分かりました(男性の効果サイズ: 0.40、女性の効果サイズ: 0.34)。
どちらも脂肪代謝が増えるので、男女関係なく利用できます。
実生活でどう活かせる?
この研究の結果から、カフェインを上手に使うことで、脂肪を効率よく燃やせるかもしれないことが分かりました。
例えば、ダイエット中に軽い運動をする前にカフェインを摂ると、脂肪代謝が少しアップする可能性があります。
また、コーヒーやお茶で摂るカフェインでも効果があるので、わざわざ特別なサプリを買う必要はありません。
ただし、カフェインの摂りすぎは体に負担がかかることもあるので、適量(1~3 mg/kg程度)を守るのがポイントです。
さらに、前に記事にした通り、カフェインで眠れなくなる可能性もあるので注意が必要です。
まとめ
「カフェインで脂肪代謝が増える」というのは、科学的に見ても正しい可能性が高いです。
特に休んでいるときや軽い運動中に効果が大きく、1~3 mg/kgの少量でも十分だと分かりました。
この研究の結果を日常生活で上手に活用して、健康的な体作りに役立ててみてくださいね。
参考文献
Conger SA, Tuthill LM, Millard-Stafford ML. Does Caffeine Increase Fat Metabolism? A Systematic Review and Meta-Analysis. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2023;33(2):112-120.