質問081:その理由はこの動画で確信しました
回答
▶スイング分析はすべて「後づけ」
スイングに関する分析は、お伝えいただきました認識で間違いありません。
まさにそのとおりです。
ただ、いいか悪いかは別として、こういった細部に渡る分析はすべて「後づけ」である、という理解は必要かと思われます。
つまり、肩を旋回させるからキックサーブを打てるのではなくて、キックサーブの弾道や、速さ、弾み方等のイメージに基づき、身体動作として肩の旋回が、無意識的に起こっているということです。
ですから、グリップや関節可動域の違い等々により、肩をあまり旋回させずに、キックサーブを打つ人もいれば、肩を大きく旋回させて、フラットサーブを打つ人もいます。
グリップひとつとっても、厚い薄いばかりではなく、ピストルかハンマーか、長く持つか余して持つかなどによっても、関節の可動域は変わり、無限のバリエーションがあると言えるでしょう。
▶そういうスイングに「なる」
どちらが正解というわけではなくて、その人が保有しているショットのイメージに基づいて運動が行われた結果、必然的にそういうスイングに「なる」のです。
上級者は、「意識して体を動かすのが上手い人」ではないのです。
ロジャー・フェデラーやノバク・ジョコビッチ、ラファエル・ナダルであっても、決して意識して、体を動かしているわけではありません。
フェデラーが保有しているショットのイメージに基づいて動作を遂行しようとした結果、体がオートマチックで、そのスイングを表現しているにすぎないということです。
▶意識しにくい動作もこれでイッパツ!
「肩を旋回させて、キックサーブを打つ」のではなく、「キックサーブを打とうとした結果、肩が旋回する」のです。
意識しやすい肩や腕や足だから、そのような誤解を招きます。
たとえば意識しにくい眼球を動かす機能を司る「眼筋」。
眼筋を動かすことを意識しながら、「寄り目」を作れますか?
うーん、やりづらいですよね。
だけど「鼻を見よ!」ならイッパツです!
眼筋を内側に動かすことを意識「する」のではなく、鼻を見る動作を遂行しようとした結果、寄り目に「なる」。
むしろ「鼻を見よ!」で、眼筋を内側に動かすなんて、全然意識しないはずです。
▶「言っておきたいのは変えたのではなく、変わった」byイチロー
フォームに関して、元プロ野球選手のイチローは『月刊スラッガー』(日本スポーツ企画出版社刊)2001年4月号の誌面上にて、次のように語っています。
「言っておきたいのはフォームを変えたのではなく、変わったのだということです。変えるのと変わるのでは全然違うと思います」
「変える」のではなく「変わった」。
つまり「する」のではなく「なった」。
そのさまを見た第三者が端から見て、「バットを寝かせて構えている」とか「右足を内側に絞るようになった」とか解析をするのだけれど、イチロー自身は意識して動作を変えたわけではありません。
むしろ「全然違う」と言い切ります。
寄り目をした表情を見た第三者が端から見て、「内直筋を収縮させている」などと解説しているようなものなのですけれども、そんなの意識してないですよね?
「肩を回旋させる」と「肩が回旋する」。
両者は同じようなことを言っているようですが、得られる成果は雲泥の差となりますことを、ご承知おきください。
▶「印象操作」に騙されないで!
1分8秒のところに関して付言しますと、こういう解説は「ラインの入れ方」や「タイミングの切り取り方」などによっていくらでも「盛れる」ものですからから、言い方は悪いですが、うっかり「騙されない」ように注意しなければなりません。
ダイエット商品のビフォーアフターや、高血圧を定義する数値、内閣支持率や新型コロナウイルスの感染者数を示すグラフ、吹き替えの声色による印象操作など、製作者側の意図によっていくらでもできてしまいますゆえ。
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