質問154:集中できないときはどうすればいい? サーブを弾ませるには?
回答
▶集中しようとするから、集中できなくなる
集中できないときは、無理して集中しようとしなくて構いません。
なぜなら、集中しようとすればするほど、集中できなくなる「努力逆転の法則」が働くからです(関連記事「『努力逆転の法則』は脳科学」)。
たとえば、この文章をお読みいただいているときに、「集中しよう!」と意識していたでしょうか?
恐らく、否ですよね。
ですから、読むことに集中できていた。
このとき、周囲の音、たとえば空調や、パソコンならハードディスクの回る音などは、きっと(物理的には耳に入っていたはずなのに)聞こえていなかったと思います(関連記事「『カクテルパーティ効果』で分かること」)。
つまり、文章をお読みいただくことにのみ、強く注意を向けられていたということ。
これが集中。
そのとき興味のある対象にのみ注意を向け続けられていたため、ほかの情報に気を奪われる隙がなかったと説明できます。
▶空調の音を意識して消せるか?
だけどいったん空調の音が気になり出すと、意識して消そうと思っても、なかなか消せはしません。
というか意識すればするほど、消せないし、聞こえてしまうのです。
これも「努力逆転の法則」です。
こう考えるとプレー中に、一般的に指導されているフォームを気にすることが、いかにボールへの集中を妨げるかが分かります。
たとえばこの文章をお読みいただきながら、マウスを持つ手の握り方や、背筋を伸ばすこと、何でも構いませんけれども、それらのフォームを意識するたび、文章の内容からスッスと注意が逸れはしないでしょうか?(関連記事「ボールが『スッスと消える』」)。
フォームを意識するたび、強く意識するほど、読み直しが多くなったり、読む動作が止まったりしやすくなるはず。
文章を読むことと、姿勢を意識することとの間には、直接的な関係は基本的にありませんよね。
「基本的に」と但し書きするのは、姿勢(フォーム)は関係ないといっても、たとえば逆立ちしながらだと読みづらくなるのは当然です(関連記事「では、『逆立ち』しながら打ってもいいのか?」)。
同様に、ボールを上手く打つことと、フォームを意識することとの間には、直接的な関係はないとテニスゼロでは申し上げています。
逆に「フォーム固め」とは言うけれど、オープンスキル系競技のテニスである以上、固めれば固めるほど対応力を損なうともご説明しています(関連記事「『フォーム固め』とは言うけれど……」)。
▶一点集中から無へ入る
集中しづらいときには、ただボールの回転を見る一点に、注意を向け続けてみてください。
これが一点集中。
この文章の例でいえば、姿勢や、空調の音などに気を奪われずに読む一点に、注意を向け続けます。
一点集中状態を保ち続けていると、0に到達するのは、さほど遠くはありません。
すなわち無であり、集中しようとしなくても、集中状態に入るメカニズムです(関連記事「無心に入る『その前』に」)。
▶弾ませるには「落差」を利用する
サーブを弾ませるにはどうすればいいか?
いろいろあるとは思いますけれども、手っ取り早い方法は、「ボールの軌道を高くする」です。
つまり、高いところから落とし込めば、物理的にリバウンドするエネルギーが大きくなるので、そのサーブは否応なく、高く弾み上がります。
だけどこのとき注意しなければならないのは、ボールの軌道を高くするぶん、ボールのスピードは遅くすること。
なぜならそうしないと、弾みを稼ぐために軌道を上げてなお、ボールスピードが速いままだと、オーバーフォールトしてしまいやすいからです。
▶「速いスイング」で「遅いボール」を打つ
とはいえ、ボールスピードを遅くするために、スイングスピードまで遅くしてしまい、なおかつ軌道を上げて山なりに打てば、ただの「入れてけサーブ」ですよね。
そうならないようにするには、スイングスピードは速くしてなお、ボールスピードが遅く出るサーブをイメージし、練習してみてください。
言い換えれば、スイングスピードが速くてなおかつ、ボールスピードが遅い、この「ギャップを作り出す」ことが、「回転をかける」感覚(一般的にはダメだと言われているいわゆる「薄い当たり」)につながります。
▶「順回転のキック力」は弾ませるためのサブ的要素
もちろんスピンサーブを打てば、順回転の力もキックする原動力(弾む力)となりますが、想像してもらえれば分かるとおり、順回転するボールがサーフェスと噛み合うと、そのエネルギーは上というよりもどちらかというと前へ働くと思いますので、跳ねさせる原動力としてはサブ的な要素。
順回転の質と量にもよるけれど、いわゆる「つんのめる」勢いがつくのです。
もっと言えば、同じ入射角ならば、順回転よりも逆回転のほうが物理的には、印象に反して高く弾むことが知られています。
ボールの進行方向に対して逆回転で着弾したほうが、サーフェスとの摩擦が大きくなりますからね。
だけどスライスのバウンドが低く滑るのは、コートサーフェスに対する入射角が浅いからです。
ちなみにどんな球種で打ち出したとしても、バウンドしたその後は、必ず順回転するボールとなります。
▶相手の頭上よりも高く弾ませるには
話が逸れましたけれども、いくらボールに順回転をかけても、スピードが速くて弾道が低すぎたりすると、思うようには弾んでくれません。
ちなみに、軌道を高くすればバウンドを高く弾ませることのできる身近な例は、ロビングですよね。
相手のポジションにもよりますけれども、いとも簡単に、相手の頭上よりも高い高さまで、弾ませることができます。
相手の頭上よりも高く弾ませるショットを順回転のキック力だけに求めるのは、どんなショットも落差はあるとはいえ、あまり現実的ではないのです。
いろいろ方法はあると思いますけれども、先述したとおり「手っ取り早く」できるようになるのがおすすめ。
どんなに効果のある方法論であっても、身につけるのが大変で時間もお金も労力も費やすようだと、結局テニスがハードモード化してしまいます。
その逆を行った関連記事はこちら→「ボールがラケットに吸い込まれる T.T.さん」)。
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