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テニス上達メモ148.「振り切りましょう」では振り切れない理由


▶振り切るストロークになってる?

 
「最後まで振り切りましょう!」というのは、ストロークの定番アドバイスではないでしょうか。
 
振り切ればスピードが出る。
 
振り切ればスピンがかかってショットが安定する。
 
そういうふうに教えられている人も少なくないと思います。
 
さて、どうでしたか?
 
振り切るスイングを意識したら、スパッと振り切れましたか?
 
実は「そうでもない」という人が、非常に多いと思います
 
アドバイスどおりに何とか振り切ろうとするのだけれど、何だか「気持ちの悪い」振り方になる。
 
「強引な感じ」のスイングになる。
 
「取ってつけた」感じになる(関連記事「打ったあとに『ヨイショ』する人。『取ってつけたような』スイングの正体とは?」)。
 
「やってるつもりなのにできない」というのは、つまりはこういうことです
 
ただ振り切るだけです。
 
なぜ、これができないのでしょうか?
 

▶「振り切れてしまう」が正解

 
振り切れない理由があるから、結果としてボールスピードが出なかったり、ショットが安定しなかったりしています。
 
その理由というのが、「打球タイミングのズレ」
 
打球タイミングが合っていなければ、頑張って振り切ろうとしても、力まないように脱力しても、左手でシャフトをキャッチするフォロースルーを意識しても、要は何をしても、なめらかに振り切れてくれません。
 
だけど、打球タイミングがピッタリ合えば、意識しなくても自然に振り切れるのです。
 
ですからテニス上級者は「振り切ろう」とは、意識していません。
 
なぜなら、自然に「振り切れてしまう」からです。
 

▶原因と結果の法則

 
打球タイミングがピッタリ合うと、ラケットが背中までスパッと振り抜かれるフォロースルーに、自然となります。
 
「背中に振り抜きましょう」と言いたいわけではなくて、リバースフォアハンドのように、結果として頭上へ振り抜かれるフォームになる場合もあります(ですからリバースフォアハンドは、スピンをかけるための「原因」ではなくて、スピンをかけたスイングが行われた「結果」です)。 

https://www.youtube.com/watch?v=B97RcXWeENY
 

ですが打球タイミングというのは、合わせようとしても合うものではないというのが、テニスを難しく感じる原因でもあるから厄介です。
 

▶素振りでは振り切れるのに……

 
素振りでは、振り切れていると思います。
 
それは、打球タイミングが「ない」から。
 
「ない」から、合わせる必要もないので振り切れます。
 
ところが実際のヒッティングでは、打球タイミングがあります。
 
打球タイミングが合わないと、打点の位置が後ろになったり前すぎたり、近すぎたり遠すぎたりして、窮屈だったり伸びきったりする打ち方を強いられるから、気持ちよくスパッと振り切れません
 

▶タイミングが合わない原因その1


ではなぜ、打球タイミングが合わずにズレるのか?
 
ここを解決すると、スパッと振り抜くストロークが打てそうです
 
いつも申し上げている現実に対するイメージのズレ」があると、必ず打球タイミングはズレます
 
私も最近、浴用イスの高さのイメージがズレていたせいで、着座タイミングを誤ったという話はこちらでしました(関連記事「私に起こった『現実に対するイメージのズレ』問題」)。
 
このとき、反射的に踏ん張ったりする力が生じて、体はブレーキをかけようとするでしょう。
 
あるいは尻もちをついたりしてフォームが乱れるのも、タイミングのズレのせいだと説明できます。

▶タイミングが合わない原因その2


また現実どおりにイメージが合っていても、集中していないとき。
 
集中していないときとは、言い換えれば、多くは打ち方やフォームなどについて、頭の中で何か「考え事をしているとき」
 
つまりなんと、冒頭の「最後まで振り切りましょう!」という打ち方に関するアドバイスについてプレー中に考えているとき、打球タイミングが合わなくなって、窮屈だったり伸び切ったりする打ち方を強いられるせいで「振り切れなくなる」のです。
 
振り切れたとしても、気持ち悪かったり、強引だったり、取ってつけた感じになったりします。
 
また自分が「今!」と感じる瞬間と打球タイミングが合わないから、打ち応え(抵抗感)が強くなって気持ちよく振り抜けません(関連記事「ナイスショットは『打ち応えがない』」)。

▶振り切ろうと意識しなければ振り切れる!


では、どうすればいいのでしょうか?
 
もちろん、「最後まで振り切ろう」とは、考えたり意識したりしないこと
 
すると、フォロースルーは自動車でいう制動距離のようなものですから、無理やり止めようとしない限り、自然に振り切られてしまいます。
 
振り切ろうと意識すると、力みが生じるから、先に取り上げた動画にあるリバースフォアハンドのような、腕が勢いで振り切られる「結果」が現れないのです。
 
ちなみにブロックリターンなどで、「止める」ようなアドバイスもよくありますが、意識してそうするのはあまりおすすめではありません。
 
対戦相手のボールが速いため、ブロックする打ち方になる結果、フォロースルーが「止まる」のです。

▶最後まで走り抜けて!

 
フォロースルーは、ナイスショットが打てる「原因」というよりも、振り切ろうとも、止めようとも意識しないスイングが行われて現れる「結果」
 
勢いよくゴールテープを切ったら、思わず「走り抜けてしまう」のに似ています。
 
そんなイメージがあると、最後まで振り切れるストロークになります。
 

▶おまけ・原因と結果の法則に関する「履き違え」


もちろん、わざと止まろうとすると記録が落ちるから、そういう意味では走り抜ける・振り抜くのはよい「結果」を出すための「原因」と言えますが、本稿ではわざと止まったり止めたりする特殊なケースは扱っていません
 
それはこちらでも取り上げました、フォームは関係ないというと、「では仮に、逆立ちしながら打ち返すようなメチャクチャなフォームでもいいのか?」という反論が成り立たないのと同じです。
 
そのようなムチャクチャなフォームは、あえて「意識」しないと、そうはならないからです。

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(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero