テニス上達メモ023.テニスは「自適スイングスピード」でプレーする
▶スイングスピードは速ければ速いほどいい?
スイングスピードは、速ければ速いほどいい球が打てると考えられがちではないでしょうか?
とはいえ自分の全速力を越えた120パーセントの力で打とうとすると、やはりミスは出やすくなると思います。
テニスは短距離走などと違って、速さを競う競技ではありません。
速いボールを打ったら2ポイントもらえるルールではないのです。
ラファエル・ナダルはスイングスピードが速いから、スピンがかかって安定するといっても、アマチュアプレーヤーがいたずらに真似てビュンビュン振り回せば、むしろ不安定になりかねません。
▶自転車で細い一本橋を渡るとき
かといって、スイングスピードをセーブすればするほどよいかというと、そうとも限りません。
50パーセントにすればより安定するのかというと、そういう単純計算では図れません。
そこまでセーブしてしまうと、今度はボールがガットに乗らなくなるなど今までとのギャップも生じ、また違った打ち方の感覚が必要となるでしょう(打ち方は同じですが、感覚が違うという意味です)。
自転車で細い1本橋の上を渡るとき、全速力でペダルをこぐとバランスを崩しますが、こがなすぎても、やっぱり安定しないイメージです。
▶スイングスピードは意識して「加減速しない」
そうして意識してスイングスピードを上げよう、(または下げよう)とすると、テニスのプレーは上手くいかなくなるのです。
その時々の状況に応じた、ナダルならナダルなりの、ご自身ならご自身なりの自分にとっての最適な、いわば自分に適した「自適スイングスピード」でプレーすると、テニスは上手くいきます。
その「自適スイングスピード」は、意識で調整しようとすると、狂います。
先の自転車で細い一本橋の上を渡るとき、最初はふらつきながらゆっくり走り出すとしても、バランスが整うと、走行スピードは自然と上がるかもしれません。
しかしそれ以上に意識して上げようとすると、またバランスを崩しかねません。
バランスを崩しかけたその時、体はペダリングを減速するかもしれないけれど、それはその時々のふらつき具合や、ご自身に備わる筋力、バランス感覚の中から、最もふさわしい最適な「自適スピード」が選ばれます。
それと同じようにテニスのスイングスピードも、自分で加減速しようと、「意識しない」。
▶「セルフトス」のボールは全速力で打っても速くない
ボールに集中していれば、その時々で最もふさわしいフォームが選ばれるのと同様に、スイングスピードもその時々で最適な自分に適する「自適スピード」が現れます。
仮にスイングスピードは緩やかでも、打球タイミングがぴったり合っていれば、エネルギー保存則にしたがいスイングエネルギーが余すことなくボールに伝わります。
また打球タイミングがぴったり合っているとラケット面のど真ん中(スイートスポット)で捕えられるため、フェイスフレームとストリングの反発性を最大に活用することもできます。
相手ボールの勢いもプラスに作用し、余すことなく返球エネルギーとして賄われます。
地面にセルフトスして跳ね上がってきたボールを、全速力のスイングでかっ飛ばしたとしても、なかなかボールスピードは上がりません。
▶高速ラリーの醍醐味は「相手の協力」あってこそ
ですからプロによる高速ラリーの醍醐味は、自分一人のパフォーマンスだけでは不十分で、お互いが打ち合うボールエネルギーの交換により実現していると言えるのです。
「ゆっくりスイングしているように見えて、飛び出すボールはそれよりも速い」プロやコーチ、テニス上級者のショットは、そのようにして現れています。
ですからテニスにおいて対戦相手は敵ではなく、協力者と言えるのです。
▶「余裕」「余白」「余力」を積極的に設ける
スイングスピードは意識してセーブするわけではないけれど、むしろゆっくり振っているようでいて飛び出すボールは速いというほうが、ショットは安定するし、プレーにも精神的にも、余裕が生まれるでしょう。
「余裕」「余白」「余力」を残す。
「いつも全力!」というのは、聞こえはいいかもしれませんが、一方で、不器用です。
恋人に全力で愛を伝えると、重たがられます。
パワーバランスの熱量に差がある恋愛は、成就しにくいのです。
空間にも「余白」があると、対応力が上がります。
収納スペースがギチギチでは、もう新しいモノを収めるスペースがないですし、出したり入れたりするのにも時間と手間を費やして、対応力・対応スピードを著しく損ないます。
モノを取り出すのに、手前にあるものをよけてから、奥のモノを取り出すなど。
余白スペースがあれば、探しモノもすぐ見つかります。
いえ、探す必要すらなくなります。
▶心に「遊び」「バッファ」を
スケジュールにも「余白」があると、安心できます。
「予定がギチギチ」というのは、ビジネスパーソンにとって聞こえはいいかもしれないけれど、やはり対応力・対応スピードを損ないかねません。
車のハンドルでいう「遊び」、衝撃を和らげる「バッファ」がないのです。
危険ですらあり、トラブルやアクシデントへの準備・対応ができません。
たまたま用事がないから暇を持て余すのではなくて、あえて予定を入れない日をスケジュールに組み入れれば、人生のイニシアチブを掌握できます。
「何もない日」。
心身のリセットがかない、結果的に全速力で頑張らなくても(いえ頑張ってはいけない)、さらに高いパフォーマンスが発揮されます。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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