テニス上達メモ460.今後、彼女たちはアイスクリームについて、どんなイメージを抱くだろう?
5月14日付、今朝の毎日新聞が、違う意味で面白い。
伊達公子さんによるツアー下部大会新設の話。
この取り組みは、主観的に素晴らしいと思います。
文中で気になったのは、伊達さんが「残念なことがあった」と顔を曇らせたくだり。
10代の選手が試合前にアイスクリームを食べていたところ、上を目指すにあたってゲーム前に脂肪分を取るのは好ましくないと感じたらしい。
頭ごなしに注意するのではなかったとはいえ、「プロとしての姿勢を持つように」と伝えたというのは要するに、形を変えたお説教。
試合前に酒でも飲んでいたというなら看過はできないけれど、こういう価値観の押し付け、禁止令が、やる気を削ぐのではないだろうか。
今後、彼女たちはアイスクリームについて、どんなイメージを抱くだろう?
「アイスは悪」、アイスに限らず「脂肪分は敵」とみなすかもしれない。
禁止されれば、より欲しくなるのは必然。
こういった軽はずみな注意をきっかけに、拒食症や過食症に陥るケースも懸念される。
アスリートの場合。
特に女子の場合。
私の知る限り、マラソンの世界では類例がある。
伝説の天才マラト・サフィンは、現役時代から酒もタバコもやった。
もちろん褒められる行為ではないけれど、それをとがめる指導者がいたら、どうなったろう?
確かに、もっと強くなったかもしれない。
しかし同時に、「あの個性」は死んだに違いない。
アイスの脂肪分が、体の脂肪に置き換わるとする懸念も短絡的すぎる。
だとしたら逆に草食動物の牛は、スリムになるのだろうか?
昔の「運動中は水を飲むな」に近い雰囲気を感じる。
テニスは孤独なスポーツだから仕方がないのかもしれないけれど、こういう「世界を目指そう」的な記事は、ストイックで、どこか悲壮感が漂う。
アイスを食べていただけで、プロ意識の低さが疑われる有り様。
楽しみにしていたアイスを、10代の彼女たちはゴミ箱へ、ポイしたのだろうか?
お小遣いにも限りがある。
何だかやり切れない気持ちになる。
青山学院大学陸上競技部・原晋監督の「ワクワク大作戦」みたいなノリは、テニスでは見習えないのだろうか、といつも思う。
ちなみに反対に「アイスを我慢できたらエラい」などと褒める評価も、禁止令ではないけれど、自己肯定感を低める誘因になる。
なぜならアイスを我慢しない場合の自分はエラくないイメージが同時に形成されるからだ。
子どもの心は、叱っても歪み、褒めても歪む。
評価せず、ありのままを受け入れる全肯定が、自己肯定感を高める。
これが、何よりも(何よりもというのは、センスや才能や努力やテクニックや真面目さなどよりも)、いちばん大事だと思う。
そこまで主体性を奪わなくていい、というか奪ってはいけない。
「食べたいアイスくらい、自由に食べさせたったらええやん!」という本稿の結論でした。
記事の結びは120歳まで生きる伊達さんが、アカデミーのベンチで「お昼寝」。
そんな未来は、確かに平和で、微笑ましい。
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