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テニス上達メモ005.ボリス・ベッカーも「そんなの関係ねえ⁉」
▶だからプレーは萎縮する
常識的なテニス指導は、「ああして」「こうしなさい」の押しつけ・決めつけが多く、プレーヤーも「ああしなきゃ」「こうしなきゃ」「こうあるべきだ」といった技術指導によるしばりに、がんじがらめになっているように思えます。
たとえば「トスを正確に上げることが大切」とは言うけれど、あまり囚われすぎると、少しズレたら、もう打てません。
トスばかりではありません。
ありとあらゆる矯正を促すアドバイスが、プレーに関する慎重な姿勢を強めます。
それによって逆にプレーが萎縮しているように見受けられます。
▶ボリス・ベッカーは「30センチのズレなら打った」
大会史上最年少の「17歳7ヶ月」でウインブルドン男子シングルスを制したボリス・ベッカーは、トスが「30センチのズレなら打った」そうです。
トスが多少ずれても、まるで「そんなの関係ねえ!」といわんばかりに、開き直って打つ。
ストロークでも、バランスを崩して軸が傾いたとしても、まるで「そんなの関係ねえ!」と言わんばかりに、打ち切る。
こわごわと打つ萎縮したプレーは鳴りを潜め、ダイナミックなスイングに改まります。
タイミングは瞬間だから、恐るおそるではなく、思い切って合わせにいったほうが、合う。
それによって、ボールがコートに入るようになります。
▶慎重だと、歴史が変わったかもしれない
「ブンブンサーブ」と形容された豪快なサーブでした。
もちろん理由はこれだけではないのでしょうけれども、正確なトスを上げることに慎重になりすぎては、あのダイナミックなサーブはなかったろうと顧みます。
つまり「17歳7ヶ月」という、未だ破られていないウインブルドン男子シングルスの大会最年少記録も、歴史上なかったかもしれません。
▶意識しないから、新たな能力が開花する
またトスがズレたりする、そういう「イレギュラーに対応する試み」をきっかけとして、新たな能力が開花する可能性が高まります。
たとえば図らずも、頭の後ろ側に上がったトスを打ちにいったら、自然とスピンサーブが打てるようになった、など。
意識して、頭の後ろ側にトスを上げて、意識して、スピンサーブを打とうとするよりも、体による自然な(意図的ではない)反射反応が現れやすいから、というのがその理由です。
▶意識しないから、運動神経が伸びる
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