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Razorcuts グレゴリー・ウェブスター インタビュー(後編)

この記事はペニーブラックミュージック(英国のオンライン・ミュージック・マガジン)の記事の翻訳です。原文は下記にあります。
Razorcuts - Interview with Gregory Webster Part 2 by Anthony Strutt

C86に影響を与えたバンド、Razorcutsのインタビュー後編では、フロントマンのGregory Websterに、グループの解散のことや、再結成の誘惑に駆られない理由についてAnthony Struttが聞いています。

(オリジナル記事の公開日:2003年6月11日)

前編はこちら


— Razorcutsの活動期間は、記録上では5年です。ちょうどその後にマッドチェスターがやってきたので、バンドにとってその長さは丁度良かったと思いますか?

GW : その長さがベストだったかどうかはわからないね。でも、僕とティムは次に何をやるかについて、ちょっと割り切っていたから、終わらせるには良い時期だったと思うよ。そうだな、2枚目のアルバム制作の時に、僕らにはその瞬間があったと言えるかもしれないね。

— アルバムは何枚作ったのですか?

GW : 当時制作したのは「Storyteller」と「The World Keeps On Turning」の2枚のアルバムだよ。
「Storyteller」はLPとして書かれたものだ。実際にLPにするために曲を入れ込んだんだ。LPのテンプレートから始めて、曲を書いて、良いLPになると思ったものを作ったんだ。
2枚目のLPでは、そういうことはしなかった。ただ、たくさんの曲があって、それを録音してレコードに収めただけなんだ。その結果、1枚目のアルバムほどにはまとまってないし、うまくいっていたオリジナルのテンプレートから離れ始めていたんで、苦戦したんじゃないかな。
Razorcutsの音はとても独特で、何年経ってもみんなに愛されている音なんだ。今でも多くの人たちがこのサウンドを求めてるよね。ちょっと違うこともしてみたかったけど、その必要はなかったよ。自分たちがやっていたことに満足してたし、それが重要だったんだろうね。僕たちは最初から、自分たちが楽器をきちんと演奏できるとは思ってなかったんだ。自分たちが素晴らしいと思う音楽が好きで、それを再現したいと思ってるだけの純粋な人間でさ、他のことができるような音楽性も持っていなかったから、それを最小公倍数で表現しようとしたんだ。
そのうち、違う分野に進出したり、ちょっと変わったことや複雑なことをしようとしてたら、自分たちの音楽性の低さが露呈してただろうね。今でも、僕は自分をミュージシャンとは呼んでないよ。ミュージシャンではないね。何だろうな...

— あなたは音楽を演奏する人、ですよ。

GW:恐ろしいことに、僕は自分のことをミュージシャンではなく、アーティストだと思ってるんだ。

— なぜこのインタビューを企画したかというと、ここPennyBlackMusicで、「R is for Razorcuts」が今でもベストセラーになっているからです。C-86のシーンが当時よりもトレンディで影響力があることに驚きましたか? eBayを訪れて当時のレコードを見てみると、どれもバカ高い値段で売られているんですよ。

GW : それは偏った見方じゃないかな。だって、プレス枚数が少なかったからね。R.E.M.の古いレコードを手に入れるのとは訳が違うんだ。プレス枚数が少ないから、高額で取引されているんだと思うよ。
でも、とても満足してるし、12弦ギターの使い方や、世界一のエフェクトの作り方を知っているアイスラーズ・セット(The Aislers Set)のようなバンドに会うことができたんだ。本当に嬉しいよ。彼らは音楽というものを知っているよね。骨の髄まで染み込んで、そういうことをやっている人がいるのは素晴らしいよ。彼らはRazorcutsのことを聞いたこともないだろうけど、それを見るのは素晴らしいことだよ。奇跡だね。

— あなたとティムは、一回限りのコンサートでもいいから、また一緒にやろうと思わないのですか? 継続的にではなく、単に思い出を振り返るだけでも?

GW:そうだね、僕たちはいつも、新しい曲を作ったり、レコーディングしたりしない限り、再結成はしないと言っていたんだ。そうじゃなければ、ただの失敗に終わってしまうからね。
再結成のことは、何年もの間、話題にのぼっていたよ。ティムの代弁はできないけど、一番大事なのはその背景と時間、そして状況全体だということは、二人とも同意するはずだよ。それらを無視して、ステージ上で40代の男たちが、人々が聴きたがっている曲を演奏するというのは、納得できないからね。放っておくのが一番だよ。観客と文脈がとても重要だから。

— それに、観客も成長しているわけだし...。

GW:そうだね、やらないほうがいいんじゃないかな。Razorcutsにはたくさんの大切な思い出があるし、それを壊したくないんだ。
プライマル・スクリームがちょっとムカつくのは、同じ名前を使いながら、異なるスタイルのブランドを立ち上げていることだよ。いいことだとは思わないね。もし何か違うことをするなら、一つのスタイルの音楽だけが好きな人たちを一緒に引き連れちゃダメだといつも思っているんだ。なぜなら、彼らがそれを好きじゃないかもしれないし、評価しないかもしれないからね。
僕はいつも、レコードの売り上げには貢献しなくても、自分の仕事にはいいことであるような新しいことをやっていく方がいいと感じているんだ。「Razorcutsが好き」「彼が今やっていることが好き」という選択肢を人々に与えられるからね。
あなたの質問に答えようかな。(再結成は)やらないよ。コンセプトがとても重要なんだ。Razorcutsのことを、そのまま覚えていてほしいからね。
つまり、今ソロでレコードを作っているからと言って、Razorcuts時代の曲をもう演奏しないわけじゃなくて、何曲かは演奏するんだけど、それとは違うんだよ。それは、ギターを持った一人の男で、なんか違うんだよね。

— では、なぜRazorcutsは解散し、なぜそれが1991年だったのでしょうか?

GW:二人とも終わりが来るのが見えていたんだね。実際にレコーディングした曲の中で、二人ともビジョンを共有していたし...。

— もしかしたら、誰か他のメンバーと一緒にやるのが嫌になったのでしょうか?

GW:そんなことはないよ。5年の間にメンバーはかなり変わったけど、曲を書いて、音を決めてたのは、いつも僕とティムだったんだ。彼抜きでRazorcuts名義の作品を出すことはないだろうね。それはひどいことだもの。
もしまたライブやレコーディングがあるとしたら、それは間違いなく僕とティムでやるだろうね。彼の許可がなければ何もしないよ。
この回顧盤(Matinéeからリリースされたコンピレーション盤のこと)をまとめられたことは、とても素晴らしかったね。たくさんの楽しい時間を思い出し、当時の思い出の品々を見ることができたよ。僕たちは、相手の承認なしには何もしなかったんだ。
例を挙げようか。セカンドシングルに収録されている「Snowbirds Don't Fly」は、子供たちが本当に気に入っていて、LPに収録してほしかったんだ。さっきはプライマル・スクリームとの違いについて話していたけど、この曲は子供たちがとても気に入ってくれてる上に、僕らとプライマル・スクリームの類似点を示すとても良い例で、僕は本当にこの曲を入れたかったんだ。
元々はリチャード・プレストンと一緒にミキシングしていたんだけど、彼はその後ゴー・ビトゥイーンズと一緒に仕事をするようになった。だから、彼は再びミックスに戻ることができず、最初のバージョンのボーカルは、僕がちゃんと歌えてないし、チューニングに十分な時間をかけなかったんで、ひどい出来だったんだ。僕ら2人でリミックスしたんだけど、ティムもミックスが良くないと認めて、収録することを拒否したんだ。二人の民主主義だね。お互いに何も押し付けない。お互いに提案しあって、合意したんだ。ティムを困らせるようなことはしないんだよ。

— 最後の質問です。Razorcuts以来、あなたが参加したバンドはカルーセル、サターンV、スポルティークなどですね。

GW : The Carouselは僕と、当時僕の彼女だったエリザベス・プライスの2人でやってたんだ。彼女がTalulah Goshを脱退してThe Carouselを結成した。「R is for Razorcuts」を買ってくれている子供たちは、実際に時間をかけてThe Carouselをチェックしてほしいね。僕が今まで作った中でお気に入りのレコードのいくつかはThe Carouselのレコードだよ。
「Sorrow Is The Way To Love」は今までで一番好きな曲の一つなんだ。それを録音できたのは素敵なことだと思う。リズはそこに自分が何を望んでいるのか、というビジョンを持っていたね。ガールズグループとカソリックのイメージと中世のイマジネーションを融合させたような感じだった。それは驚くべきものだし、彼女が得たサウンドを聴くべきだよ。僕はこれらのレコードが本当に大好きなんだ。素晴らしいレコードだね。Sportiqueもいいと思うんだけど...。

— アメリア・フレッチャー(Talulah Gosh等に在籍、現在はSportiqueのフロントメンバー)は、あなたたちは彼女の操り人形だと言っていますよ。

GW:(笑)そうなんだ。うん、そうだね。彼女が全ての曲を書いているんだ。
今まで参加したバンドの中で、The Carouselが一番嬉しかった。なぜなら、あのサウンドはどこからともなくやってきて、とてもうまくいったからだ。今もレコードを作っていたらと思う。正直なところ、Razorcutsの新譜を作るよりもThe Carouselの新譜を作った方がずっと幸せだと思う。
RazorcutsとSportiqueは長い旅のようなものだし、Razorcutsにはプランがなかったんだ。僕らはただ偶然に、本当に重要な存在になれたんだ。この偶然の融合のおかげでね、化学的にうまくいったんだ。

Razorcutsが解散した後、僕はSaturn Vを結成して、流行のテーマやスタイルに反応しようとしたんだ。僕はそういうことは大体うまくできないんだ。バック・カタログをさかのぼって、何かを見つけて「これで遊ぼう」と言うのは得意なんだけど、現代的なものに挑戦するのは得意じゃなかったし、これからも苦手だろうから、それ以降にやった他のことほどうまくはいかなかったね。

逆に言えば、Sportiqueは、自分たちの立場をオープンにしているから、とても強いんだろうな。でも、ある音楽のスタイルをパクって、それを違うコンセプトで表現してるってことは、喜んで認めるよ。それが、RazorcutsとSportiqueとの大きな違いだね。Razorcutsは偶然できたものだけど、Sportiqueでは、意図的にやっているからね。僕たちはもう歳を取っているので、これらのレコードはすべて持っているんだ。僕たちは歳を取って、おそらくはより賢明になってるはずだよ。

— ありがとうございました。



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