ビジネス書読んで、仕事ができるようになった?/『ありえない仕事術』
ドキュメンタリーが好きで、割と見る。
おそらく自分の人生と交わることのない人達の、
生きている姿にすごく興味がある。
自分とはかけ離れている人達を見ている中での、「あ、この感覚は自分と一緒だ」という共感だったり、逆に少し似ていると思った人を見て、「全く違う世界を生きているんだな」と気づいたり。
自分の気持ちが揺さぶられる瞬間が、ドキュメンタリーを見ていると沢山あって、それがやめられない。
コロナ禍中に、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』という番組にドハマりした。
世界のギャング、カルト宗教、元少年兵、ゴミ山で生きていく少年、そんな”やばい人たち”は何を食べて生きているのかに迫った作品である。
作品を作った上出遼平さんの著書『ありえない仕事術』が、やっぱり目が覚めるようで痛快だった。
なんというか、ロックだった。
何を書いてもネタバレになってしまうので、本の内容やら構成やらについてもここでは書けない。書きたくない。
けれども、私は今すぐにでも、読んだ人に「どうだった…?」とおそるおそる問いかけ、沢山色々な話がしたい。そんな欲求でむずむずする。
仕事術という聞こえのいい言葉に溺れて、満たされている気持ちになっているのだとしたら、横っ面を張り倒されたかのような感覚になる。
以前勤めていた会社で、社内ブックラウンジの創立を任されたことがあった。「仕事ができる人はちゃんと本を読んでいる。読まない人は意識が低いから、この先成長なんてしない」が上司の口癖。
本を読むからではなくて、自分に必要なもの、やりたいことがあるからこそ、それを動機に知識を得ようとするのではないか…と思ったけれども、黙っていた。本棚に並ぶのは胡散臭い自己啓発本・仕事術の類ばかり。読み慣れている人にはいいかもしれないけれど、本、読んでみようかなという人にとって魅力的とはお世辞にも言い難いラインナップだ。
後任の人がこっそり本棚に、この書籍を並べてくれていたら痛快だなぁと思った。
そうしたら、気まぐれに誰かが借りて、ハッとしてくれるような、目の覚めるような奇跡がもしかしたら起きるかもしれない。
そうだったら嬉しいのに。