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言葉は魔法、そして心のお守り

幼いころは、「今」の自分の気持ちにぴったり当てはまる言葉が見つけられず、どちらかという無口な子供でした。

伝えたい気持ちはあるのに、伝え方がわからないもどかしさ。言葉を選ばずに言うと、絶望していたのかもしれません。

でも、そんな子供時代の私の救いは、本。

授業が終わって部活がはじまる、そのほんのわずかな時間に図書室に向かい、たくさんの本に触れあいました。ジャンルは本当にさまざま。

それらの本の中には、今まで私が言葉にしたくてもどうしてもできなかった、きめ細やかな気持ちの表現がたくさん詰まっていました。

胸につっかえていたもどかしさがスーッと消えて癒されるような、そんな経験でした。

「ああいう気持ちはこうやって表現したらいいんだ!」
あれは一種のアハ体験だったのでしょうか。

私はそんな本の力を借りて、すこしづつ言葉を発するようになった気がします。

それでもまだまだ未熟な子供。そして、まわりにいるのも多感な思春期の仲間たち。勇気を出して言葉で表現してみても、想定外の受け取り方をされてしまい、口を開くことが怖くなった時期もあります。

それでもずっと、私は言葉の力を信じていました。

社会人になっても、言葉の操り方はまったくうまくならず、世間話というものがとても苦手でした。私は社会に適用できない人間なのかもしれないと、相当落ち込んだ時期もあります。

そんな時代を超えて、今、リモートでお仕事ができる環境にいます。

なんだかんだで歳も重ねて、日本語を使い始めてから40年以上が経過。
ふだんの仕事ではテキストでのやりとりが多いのだけど、今、仲間との会話がとても楽しいです。

歳を重ねるのもいいものだなぁと、心の底から思います。

それなりの経験をして、それらの体験について日本語で考え、日本語で悩み、今の場所に辿り着きました。

まだまだ未熟ではあるけれど、今、言葉を使えることに心から感謝しています。

そして、もっともっと表現の解像度を上げて、ピントの合った言葉を大切な人たちに手渡していけたら。それが今の私の最大の望みであり、目標です。

幼かった私にとって、本は魔法でした。
そこで出会った言葉たちも魔法。

その後の人生の中でも、大切な人たちから受け取った忘れられない言葉たちがたくさんあります。
それは私にとって、『心のお守り』です。

ありがとう。
そして、これからもよろしくお願いします。

今までに出会ったすべての人たちへ、
感謝の気持ちをを込めて。

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