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【医療ゴミ削減プロジェクト】現場視察Vol.1 ~環境開発株式会社~
こんにちは!医療ゴミ削減プロジェクトでは、これまで文献をベースにリサーチを行ってきましたが、リサーチを進める中で廃棄されたゴミがどのような経路を辿って処理されるのか実際の流れを確認したいと思い、現場視察の初回は産業廃棄物処理業者である環境開発株式会社へ伺いました。
視察先で実際に見たこと、聞いたこと、考えたことをまとめていきますのでぜひ最後までお読みください!
視察先の特徴
環境開発株式会社は、一般廃棄物・産業廃棄物の収集運搬、中間処理、最終処分まで一貫して手掛ける県内では数少ない企業です。特に、保冷庫を設置し、県内外の病院から排出される感染性廃棄物にも対応しています。
見学施設
視察では、以下の施設を見学させていただきました:
保管施設
中間処理施設(第9号焼却炉)
リサイクル工場(PRF製造)
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視察のポイント
1.感染性廃棄物について
感染性廃棄物は特定の容器(ミッペール)に入れられて、保管施設の保冷庫に保管されていました。この容器は、病院から廃棄された時点でフタが閉じられており、処理現場の方は中身が何なのか分からない状況であると教えていただきました。また、容器ごと焼却してしまうため仮にリサイクルできるものが入っていたとしても分からないとのことでした。感染性廃棄物は病院だけでなく、大学からも廃棄されており医療系大学の演習で出るゴミなども含まれると教えていただきました。コロナ禍の影響で、感染性廃棄物の量が増加したことも教えていただき、感染対策が強化されることに伴って医療現場から出るゴミの量も増加するのではないかと考えられました。感染性廃棄物に関して、産廃業者として感じる困りごとについて尋ねるといくつかの課題も見えてきました。例えば、運搬中にゴミの詰め込み過ぎで密閉されていない容器から血液が漏れたり、焼却したあとの燃えがらに注射針が残っており刺さってしまうなど従業員の安全が脅かされる事例が時折発生しているとのことでした。
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2.安全や環境に配慮された設備
保管施設や焼却炉には、二重シャッターが設置されており周囲に臭気が漏れないように工夫されていました。また、震度4以上の地震発生時に焼却炉の稼働が自動的に停止する緊急停止システムが導入されており、安全にも配慮されたつくりであると教わりました。私たちが見学した『第9号焼却炉』は平成30年度省エネ大賞 にて、省エネ事例部門 『中小企業庁長官賞』 を受賞されており、焼却炉の廃熱を利用して蒸気発電を行うなど環境に配慮されたつくりであることが分かりました。
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3.ゴミから新しい価値を生み出す取り組み
★リサイクル工場での再資源化
リサイクル工場では、企業から廃棄されるプラスチック、繊維くず、紙類などを破砕、造粒してペレットを製造していました。このペレットは、製鉄所や製紙工場の燃料になり、リサイクル品として出荷されます。
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★熱エネルギーの有効活用
新保処理場の付近にはビニールハウスがあり、地元農家と連携してピーマンやミディトマトの栽培を行っていると教わりました。焼却炉から出る廃熱をハウスに供給し、安定した収穫ができるように挑戦されているそうです。
こちらで育った野菜は実際に販売されているそうで、私もトマトをいただきましたが、とても美味しかったです!
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まとめ
今回、初めて環境開発株式会社へ現場視察にうかがいましたが、職員の方がとても丁寧に案内をしてくださり、どうしたら環境への負担を軽減できるか真剣に考えていらっしゃる想いが伝わってきて大変感銘を受けました。会社のモットーである「より良い環境を次世代に!」を実現すべく様々な取り組みをされており、環境への配慮に加えて地域との連携を重視する姿勢も印象に残りました。視察を通じて、産業廃棄物処理業者が努力しているおかげでゴミは単なるゴミとしてではなく、熱エネルギーを生み出す資源として捉えられることや、リサイクルによって燃料の元に生まれ変わることが分かったので、一概にゴミを減らすことが環境への配慮に繋がるわけではないと学ぶことができました。また、感染性廃棄物に関しては捨てられてしまってからだと介入の余地がないと考えられたため、実際にゴミが捨てられる医療現場での視察を行い、また違った視点から課題を見つけたいと思いました。
最後まで読んでくださりありがとうございました!
のまちアクセラレター・プログラム
ユース・イノベーター 寺田 絢咲
視察協力:環境開発株式会社
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