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初期人類は類い稀な持久力で生き残った?
クリストファー・マクドゥーガル著「BORN TO RUN」を読んでいたら、面白い事が書いてあった。
人類は、2足歩行を始めてから200万年の間、弓や槍も持たずに、ただ獲物を追い詰める事で食料を手に入れていた???
そんな馬鹿な・・・と思うかもしれないが、レイヨウなどの草食動物は、初速こそ速いが、呼吸系と熱伝導率の問題で、数時間で走れなくなるらしい。
ところが人類は、速さこそ大したことは無いが、持久力にかけては右に出るモノがないと言う。
様々な研究から、身体構造的に人類は、持久走に特化している証拠が200箇所以上見つかっているらしい。
そのひとつが「アキレス腱」で、これは猿や類人猿には無いという。
そして、この「アキレス腱」は、長距離を走るために必須な緩衝材なのだとか。
また、頭蓋骨の後ろを支える筋も、人類だけに発達したモノで、長く走っても重たい頭を安定して支える仕組みなのだそうな。
さらに4足動物は、身体の構造上、1回の跳躍に対して1回の呼吸しか出来ないが、2足歩行の人類は、好きなだけ呼吸が出来る事から、血中酸素を取り入れるにも適しているらしい。
俊足のチーターやライオン、トラ、犬、猫などは、短距離走に特化した身体構造で、長距離走には向かない。
だからこそ、体毛もなく爪や牙などの武器も持たない人類が、これらの肉食獣に比して、生き残る事が出来たのではないかと考えられている。
体毛に関しても、人類以外の動物は、皮膚から発汗によって熱を逃す事が出来ないため、長距離を走ると体温が上昇して熱中症になるのだと言う。
なんとなく、進化のピースがカチっ、カチっと嵌っていくような気がしないだろうか?
初期人類は、道具を作って武器にする知恵を持ってなかったのに、過酷な生存競争に生き残った。
しかも、その間に脳を大きく発達させている。
これは、良質なタンパク質や脂肪を摂取していたからこそ、成し得たと言う。
つまり、頻繁に狩をしていたのだ。
そして、その狩は、走って獲物を追跡するだけだったのだ。
おそらく家族や仲間が一団となって獲物を追いながら暮らし、獲物が走れなくなって倒れた時、それを食糧として分配したのではないだろうか?
現代でも、ブッシュマンの一部には、この追跡狩猟を行う人々がいると言う。
そして、驚いたことに、その追跡時間や追跡距離は、だいたいフルマラソンするのと同じ程度なのだそうだ。つまり、3時間程度を走るわけだ。
追跡狩猟を忘れてしまった人類が、フルマラソンに興じるのは、もしかしたら太古の記憶を懐かしんでいるのかもしれない。
自分は、これまでずっと、樹上から草原に降り立ち、2足歩行する弱々しい人類が、どうして自然界で生き残る事が出来たのか疑問に思っていた。
その答えが、もしかすると、人類に備わった持久力=長距離走の力だとしたらどうだろう?
謎の一つが解けた気がするのだが・・・。