読書感想文『医師バイト・外勤 超実践マニュアル: ありそうでなかった! 専門外の診療にも役立つバイト医のバイブル (Cブックス) 』
Amazon で結構評判が良かったので購入しました。
タイトルは長いですが内容は下記の通りです。
まず著者の経歴ですが2016年琉球大学を御卒業され(因みに本書の発行は2022年です)、名古屋一日赤で研修後に釧路の慢性期病院に勤務されておられたようです。その後カナダでビジネスを行っておられ、帰国後ビジネススキルを基に老健の管理者兼医師として勤務し組織の拡大に貢献され、急性期医療を行いながら離島医療にも貢献されておられます。
うーむ、ナイスです。
本書では下記のごとくまとめておられます。
1章検診
2章問診
3章病棟管理
4章訪問診療
5章に外来
6章に外来です。そして他にコラムがあるという形です。
これだけ、広範囲な内容を280ページで整理しておられます(このわずかなページになったことは編集者の意向もあったことと思います)。病棟管理では産婦人科外来・当直をわずか5ページでまとめておられます。すごいです。ここまでいけば人類史の歴史も飯食って戦争して寝たぐらいでまとまりそうな勢いです。
泌尿器科のまとめポイントはもっとナイスです。
『まず本人が何に困っているのかに重きを置く。そして、それに引き続き検査を行い、客観的な根拠をつかみながら気質的疾患を除外していく。疾患の種類はそれほど多くないため、安易に投薬するのではなく、何が必要な病態化を適切に判断した上で、最善の処方をするようにしたい。』
→具体性がないとか言ってはいけません、医師として大切なことは患者さんの訴えをよく聞くことだと思い起こさせてくれます。
また麻酔科や内視鏡バイトも記載があったりで、是非とも(麻酔科なら)標榜医や出来れば専門医をとってからバイトに行かれることをお勧めしたいです。
色々書きましたが本書のような医師バイト外勤マニュアルを書くのであれば、検診や問診 (ハゲ薬や勃起薬を売ったり、献血の問診、インフルエンザ、新型ワクチン接種の問診)に限ったマニュアルで良かったかも知れませんね。その他のマニュアルについては内科レジデントマニュアルなどを参照した方が良いと思いますよ。
100の知識があって、日々臨床の業務においては1しか使わないことも良くあると思います。ただ、100の知識がないと極めてまずい事態が発生することがあるんですよね。そんな場合でも多くの方が研修するような上級医がいる急性期病院では部長含めバックアップがあるんです。バイトは基本的に自分の責任において自己完結が望まれます、そもそもバイト医のケツ持ちを常勤医に頼むのはおかしい話ですから。
下記は更に役にたたない私のマニュアルです
『当直をなるべく疲れず乗り切る方法3リスクマネジメント編version2死亡診断書をどうするかも追加』
https://note.com/110119mail/n/n89d3f8e72b25
本書はポリクリや臨床研修のローテーションでの知識を記載してくれたかと思いますし、医師6年目の著作に厳しすぎるレビューかも知れませんが、今後知識を向上させて続編を出版して欲しいですね。
現状では自科の専門科以外では(特にマイナーで)こっちがおすすめです
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