相対比較は不要親子
昨日の昼のこと。
テレビをつけたら大谷翔平選手の試合を中継していた。
夜のスポーツニュースで知ったのだけれど、日米通算50勝がかかっていたそうな。
「なぜ昼間から大リーグやってるの?」と思ってしまうほど、野球には疎いのだけれど、しばらく見入っていた。
彼は本当に凄いと思う。野球のポテンシャルはもちろん、体格、爽やかな顔立ち。メンタル面もきっと爽やかなんだろうなと想像させる。
立場上、どんなお母さんなんだろう?今どんな気持ちだろうと興味がそっちへ行く。まるで、キリストを生んだマリア様みたいに、大谷選手を産んだお母さんは、自分のお腹から世界を動かすような子どもが出てきたことに、びっくりぽんなのでは、とお茶の間から、失礼なことを妄想していた。
***
いや、私だって、、
私だって、子育てには少し自信がある。よく林修さんが「何か一つの教科に得意意識を持って、それを伸ばせばいい」と言ってらっしゃるけど、私のそれは間違いなく子ども育てだ。
パートの仕事を探した時も、“〇〇教室の講師の仕事“というのには複数受かった。100人以上の応募者の中から5人に残ったこともある。
なのに紳士服の店員はあっさり落ちた。お肉屋さんに至っては、「あの、チラシを見てきたんですけど、、」とお肉を量っているおじさんに声をかけた時点で、サラッと横目で私の全体をスキャンして「あっそうー。ごめん、今間に合ってるわ。」と、帰りの交通費1000円を握らされ帰された。
間違いない、私の得意教科は『子ども育て=教育』だ。他の教科は切り捨てても問題ないだろう。
***
で、私は二人の子を産んで育てた。
34歳の長男と、31歳の長女。
やはり第一子の子育ては全てが手探りだった。
成長した長男には、きっと今でも、その音を聞くだけで気分がざわつくという四文字熟語が二つある。
『全室掃除』
『親子劇場』
***
まず、私が子育てで大事にしていたことは、どんどん手伝いをさせること。進んでできる子になって欲しかった。実際二人ともよく手伝ってくれて、娘に至っては、保育園の時に、イワシの手開きができた。
息子も、自分がやりたいことを始める前に、必ず「お母さん、何かやることある?」と聞いてくれた。ただそう聞いてくれるくせに『全室掃除』のワードだけはやめてくれ!と願っていたらしい。1階だけならまだしも、全室に掃除機をかけた後の、母のダメ出しがきつかったらしい。
***
次に、私が子育てでこだわっていたことの一つが、読書習慣だった。
2週間毎に、20冊、子ども達と一緒に図書館から本を借りて帰った。
図書館通いをすると、何かと耳寄り情報が入る。人形劇、落語、読み聞かせ、お芝居、、、ありとあらゆる子どもが興味を持ちそうな文化的集いがあると知ると、バス、電車を乗り継いで見知らぬ土地へも出かけた。
そのうちに『おやこ劇場』という組織の存在にも出会えた。
※私の中の当時の記憶によるざっくりとした説明で申し訳ないけれど
生協のように会員制で、毎月、会が提供してくれるプロのお芝居などを観劇することができる。ただ、営利目的ではないので、会員によって運営されており、何かしら運営に協力することになっていた。
もちろん、子ども達も、毎月の観劇は楽しみにしていたと思う。
息子のざわつくワードは、この会のイベントの一つ、『子どもキャンプ』だった。
大学生の指導のもと、子ども達だけで、企画運営されるキャンプだった。
小学校4年生の頃の息子に、是非参加してらっしゃいと勧めた。
息子の内心は、“アメリカのホームコメディで、サマーキャンプに行かされるのが苦痛でたまらないメガネの男の子“の心境だったらしい。
年上の男の子達とノリが合わず、孤独だったそうだ。
具体的に何と愚痴っていたわけではないけど、一つ私のイメージに残っているのは、“TMレボリューション「HOT LIMIT」“だ。
真夏のある日、キャンプの買い出しの為、その先輩達の後についてスーパーへ行った時のことだ。
自動ドアが開いた途端、店内にタイミングバッチリに「YO!SAY,夏が胸を刺激する、、、」と流れ出すと、リーダーがいきなり立ち止まり、全く躊躇なく反射的に両手の拳をかかげて踊り出したそうな。
苦手だったのが、そのノリかどうかは、今でもわからない。
***
子ども育てが得意と言っても、根が引きこもりで、めんどくさがりの私が、あんなにアクティブに2人を連れて歩くパワーがどこから出てきたのか不思議でしょうがない。なんの魔法にかけられていたのだろうか。
だから、今何も悔いがない。私なりに全力を注いだ。
それが、全て彼らのためになっているとは決して思っていないし、勝手な思いも多々あったろう。
でも、二人とも素敵な大人に成長した。
大谷翔平にも負けてないぞ。
いや、こんな言い方をすると、息子に注意を受けるな。
誰かと比べる必要はないって。オンリーワンだって。
以前、息子家族の仲良し写真をラインで送ってもらった時のこと、
「『日本一の仲良し親子』だね」という私のコメントに
「『相対比較は不要親子』だよ」と息子が返してきた。