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『ラストエンペラー』感想。

清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀(アイシンカクラフギ)の物語。『ラストエンペラー』。

紫禁城のゴージャスな映像美。見終わっても脳内で流れ続ける、耳触りのいいメロディー。だいぶ前に見たやつですが、面白いです。

あらすじ

清朝最後の皇帝のストーリーです。

西太后に皇帝として指名された溥儀。紫禁城で、不自由ない生活を過ごします。

その中で、城外には別の皇帝が存在する事を、弟の溥傑に告げられるのです。

次第にデモは激化し、北京政変を機に溥儀は城を追い出されます。

日本の庇護を受けた溥儀は、満洲の家系だとして、満州国の皇帝となったんですね。

でも、それは傀儡。日本の操り人形の如く、自分の知らないところで、溥儀の名義のもと、人体実験なども行われていました。

戦争で日本は敗れ、溥儀は亡命しようとするもソ連軍に捕縛されます。

収容所を出所したのち、一般市民として生活していくことになります。

感想

溥儀の人生、波瀾万丈です。外部の情報から遮断され、城を追い出され、傀儡として言いなりになり、終戦後は収監される。出所後は、一般市民に成り下がって、強烈な環境から解き放たれたことで、むしろ、安堵してたんじゃないかと思います。

ふつうに見ると、なんだかかわいそうな人生だなって感じがしますね。

さて、何気に印象に残ったことは、溥儀は受容性が高かったってところです。イギリスの家庭教師、ジョンストンがやってきて、異国人を受け入れ、西洋的な文化を吸収していったわけです。

周りは人間は、過渡の西洋化は、反対してたんですね。それまでに洋務運動やらで、西洋化の兆しは十分にあったはずで、それなのに、なぜ反対派が多かったのかは気になるところです。皇帝としてのアイデンティティは最低限保てってことなのか。

とにかく、溥儀は、外部の情報が遮断されていたわけなので、知的好奇心が凄まじく刺激されたわけですね。だから、受容性が半端なかった。未知の世界に触れ、外の世界が見たいと強く思うようになっていきました。ジョンストン氏も溥儀は勉学に熱心だったと言っています。

性格の面では、汚職に走った多くの宦官を追放してます。正義感が強いのか。

他にも、物語の初っ端、溥儀の自殺未遂から始まったり、青年期には過激な性生活にも触れる場面があります(このあたりは創作)。

また、映画にはありませんが、戦後には、極東裁判でソ連側の証人として、自分を擁護する発言が見られます。でものちに後悔してることから、事実を隠蔽する内容も多分に含まれていたんですね。弱い一面もあるわけです。

どれだけ、えらい人であろうが、結局はひとりの人間なんですね。

皇帝としての格式と一人間としての落差が面白く、やっぱり国家は虚構の産物なんだなー、て感じた映画でした。

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