症状あるのに、アレルギー検査陰性って!?
えー!!
検査陰性なのーーって、皆さん残念そうに検査結果を見て仰る!
でもそうだ。患者さんは、自分が花粉症やなんらかのアレルギーだろうと思って、わざわざ痛い思いをして採血までしたのに、結果は残念ながら陰性
本当は残念じゃなく、嬉しいことなのに・・・
患者さん自身も、この季節に鼻がこんだけむずむずして、くしゃみも止まらないし、目も痒い。。これは100%花粉症だろう!!と思って検査を受ける。しかし、陰性!!!
なんか裏切られた感覚になるのだろうなと!!
それではこの現象をどう解釈すれば良いのか
これは局所のみでアレルギー反応が起きている状態と理解すれば良いのだ。
最近では、この鼻炎の分類をLocal Allergic Rhinitis(LAR)と表現している。
LARは、アレルギーの採血や皮膚検査を行っても陰性となるが、症状はほぼアレルギー性鼻炎(花粉症を含む)である。医師としても患者さんとしても上のような検査結果の偽陰性であった裏切り行為にびっくりさせられる。
採血では、IgE抗体というアレルギー反応(I型アレルギー)の結果生じる物質を血液中から検出するが、これは全身に感作といってアレルギーになりましたよーっていう証明がなされないと生じない。つまりスギに対するIgEは、スギ花粉症ですよという証明書である。しかし、LARでは、この証明書がまだ全身に行き渡っておらず、鼻の粘膜のみでしか、証明書が発行されていない状態なのだ。
実際に、一部のLARの患者さんは将来的にアレルギー性鼻炎(花粉症)への進展や、類似した機序で発症するアレルギー疾患の1つである気管支喘息の合併を起こすと報告されている。
つまり、LARだからって、放置してよいわけではなく、普通に検査が陽性であった患者さんと同様の治療を行ってあげる必要があるのだ!
簡単に言ってしまえば、
『鼻炎で困っているなら、検査で陽性だろうが陰性だろうが、治療をしてあげよう!!』
ということなのだ!
もちろん採血検査で陰性だけど、実際に症状がある患者さんはLAR以外にもたくさんある。詳細は今回は書きませんが、鑑別される疾患を羅列する。
血管運動性鼻炎
好酸球増多性鼻炎
味覚性鼻炎
冷気吸入性鼻炎
老人性鼻炎
薬剤性鼻炎
妊娠性鼻炎
風邪
実は副鼻腔炎だった(好酸球性副鼻腔炎など)
LARはアレルギー性鼻炎の一歩手前の段階の鼻炎と考えて、アレルギー性というのはわかっています。しかし、鼻炎とは、あくまで鼻粘膜が敏感になって反応しやすい状態を言うので、その原因がアレルギーの機序であればアレルギー性鼻炎やLARですが、外界から飛んでくるものに神経が強く反応することが原因だったりすると、何でも鼻炎を引き起こします。