春一番
アハハと笑いながら
丘を駆け登り
坂をころげて
みなもを さざめかせ
木々を騒がし 舞い上がり
白い雲と 草原におちたその影を
追い越して全力で 今
どこかを走る はるのかぜ
出たい、出たいっ!
はやる気持ちを抑えて 殻の中
ポンッ! ポンッ!
殻がはじけて若芽が 飛び出す
つぼみがはじけて 花が咲く
はるは こらえきれずにやってくる!
水の音がよみがえり
雪解けのつめたい流れに かげろうがたち
ペンキ缶を携えて はるの風がやってくる
茶色をみどり色に塗り替えて
鮮やかな黄色やピンクを花に塗り
また次の村や町へ吹いていく
あなたの処へも もうすぐ行くよ