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『おまけの人生』 #未来のためにできること

僕の誕生日、母が言う。

お誕生日おめでとう!『おまけの人生』がまた1年始まるね!と。

母は僕がお腹の中にいる時、早産になりかけ2ヶ月程入院した。絶対安静。トイレへ行くことさえも許されない。毎日ウテメリンという名の点滴を24時間休むことなく、輸液ポンプにて1滴ずつ、体内に落としていく。

僕の命は、動かずじっとベッドに留まっていてくれる母、病院の医療スタッフの方々、そして点滴によって護られていた。

母は入院中、病院の消灯時間を過ぎると、必ず陣痛をおこしたそうだ。腰がメリメリと重く、鈍い痛みと共に子宮の収縮が始まる。ナースコールを押し、陣痛が来ました!お願いします!!と毎晩言っていたと聞いた。

妊娠37週目に入り、「もう自然分娩でも大丈夫です」出産の許可が降りた。

点滴を外してもらった母は、病院の廊下を闊歩した。しかしその日を境に、なぜか陣痛が来なくなってしまった。

その間、医師は定期的に母の血液検査をしていた。2週間が過ぎた頃、この検査により、母の肝機能に異常なまでの高い数値が出ていることが分かった。このままでは、母子共に明日まで持ちこせないかもしれない⋯⋯即緊急オペに切り替わった。

日本は優良な医療環境が整っている国である。母は今でも元気だし、僕は『帝王切開』にてこの世界へ無事に産まれることができた。体重は2860gだった。

SDGsでは目標3として「すべての人に健康と福祉を」と掲げている。世界規模で見ると、出産時における乳児や妊産婦の死亡が非常に多いことを知った。

幼い女の子の児童婚は特に深刻な問題であり、妊娠、出産に耐えきれず、母子共に命を落とすことが多い。先に法律を変えなければならないが、その国々の文化がそれを立ち塞ぐ⋯⋯。

母のような『妊娠に関連する合併症』を防ぐためにも、世界中の国の医療設備を整え、妊産婦のために良質な周産期ケアは必須。母体の健康があってこそ、生まれてくる命を救うことができる。

僕のように、本当は産まれてなかったかもしれない、『おまけの人生』というギフトを、世界中の人々が持つことが可能な環境を作っていく。

素晴らしい未来じゃないか!!

しかし現在、僕はただの医学生。なんの医療行為も出来ない無力な学生だ。

だからまず『知ること』から始める。女の子とは何か?僕たちが未来のためにできる『世界の医療の問題点』を、このnoteに綴っていこうと思う。

誰かが読んでくれることを願って。

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