忘れられない朝ドラの話
未来のことを考える時に、いつも思い出す朝ドラの話を書きます。
覚えていますか? 『凛々と』
『凛々と』という朝ドラをご存知だろうか。こんな感じの朝ドラである。
「テレビジョン」を開発した男性の話だ。富山の出身だった。
今は亡き(亡くなった時は本当に切なかった)田中実が主演。今は亡き松山英太郎が「鼠小僧次郎吉」ではなく渋い学者として登場していた。
もうあらすじも覚えていないが、1つだけよく覚えている場面がある。
田中実演じる主人公、畠山幸吉が「テレビジョン」を作りたいというのに対し、同僚(?)がこんな内容のことを言う。
「もう科学は発展するだけ発展して、今が1番最高の時代だ。ラジオというすばらしいものがある。『テレビジョン』なんて夢みたいなもの、できるわけがない」
そんなことない。科学はまだまだ発展するんだよ。ラジオが最高到達じゃない。「テレビジョン」は夢じゃない。
テレビを見ている視聴者としては、そう突っ込みたくなるセリフだった。
さあ、このセリフ覚えておいてください。
ワープロはこれ以上進化しない
私の大学時代はワープロの時代だった。新しいワープロを買おうとしていた私に、ある先輩がこう言った。
「ワープロは、もう行き着くところまで進化したよ。この後つける機能なんて余計なやつだけだろ。今、最高の機種を買っておけば、ずっと使えるはず」
なーるほど。そのとおりだ。
そう思った私は、いそいそと(財布と相談はしたけど)最新機種の「書院」を買った。とっても優秀なワープロだった。ずっと使えるはず。
ここに付け加える機能なんかあるわけがない。
数年後、私は就職した。
確かにワープロに付け加える機能はなかった。私の「書院」は本当に優秀だった。
しかし、就職先ではパソコンが使われていた。
ワープロ機能だけでは仕事はできなかった。表計算(ロータス123)を覚えた。
私用のノートパソコンを買った。ワープロよりもいろんな仕事ができた。
愛用ワープロは処分した。
「ずっと使えるはず」だったワープロは、あっというまに使えなくなってしまった。
「夢のようなこと」でも実現するかもしれない
『凛々と』を思い出す。
「夢のようなことを言うな」と笑われながら、「テレビジョン」を開発していた畠山幸吉を思い出す。
いろいろなニュースを聞きながら
「そんなことできるわけがない」
「夢みたいなことを言って」
「そんなものがなくても、今の◯◯で十分。余計な機能はいらない」
と思ってしまうことがある。
でも、できるかもしれない。テレビジョンは開発できたのだから。
ワープロはあっというまに消えてパソコンの時代が来たのだから。
そう思って、仕事をしていたほうがよいと思う。