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『人間の免疫細胞の働き』~体内の「キラー」~リテラ探究学習研究レポート
私たちが当たり前のように呼吸をし、往来に繰り出すことができるのも、免疫があるおかげ。
その免疫の担い手、「免疫細胞」と呼ばれる彼らは、それぞれどのような仕事をしているのでしょうか。
この研究をしたのは、新中学3年生のF・Iさんです。
■リテラの先生からのコメント
研究では、私達の健康を支える免疫細胞の役割をわかりやすく伝えるため、最後まで工夫していましたね。
今年は受験生ですが、好きなことを好きであり続けることが、未来へつながるはずです。
がんばってください!
■テキスト資料
みなさんは、『はたらく細胞』というアニメを見たことがありますか?
私は、去年、このアニメを見て、細胞のはたらきについて知りました。
私が特に好きな免疫細胞のキャラクターは、白血球です。
ナイフで敵を倒すのがかっこいいと思います。
今回私は、私達の体を守る免疫細胞について、研究しました。
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人は、免疫によっていろいろな病原体から体を守っています。
もし免疫がなかったら、身の周りにいる病原体にすぐに感染してしまい、健康が損なわれてしまいます。
私達が健康でいられるのは、免疫のはたらきのおかげといえます。
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免疫は、自然免疫と獲得免疫の2つに分けられます。
ウイルスなどの病原体が体に侵入したときに、一番初めに病原体のところへ行くのが自然免疫です。
一方、体に侵入した病原体がどんな種類かしっかり見極め、準備してから慎重に対応するのが獲得免疫です。
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先に動き出す自然免疫の中でも、体内をすり抜けて病原体のもとへ行く白血球は、病原体を食べて分解し、人の健康を保ってくれます。
白血球には、いくつか種類があります。
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好中球は、病原体がいたらすぐに対応する自然免疫です。
食べる力が強く、白血球の50~60%を占めます。
普段は血液の中にいて血管の中を流れています。
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これは、好中球がカビの胞子を食べている様子です。
血液の中では約10時間しか生きられません。
血管の内側にはりつき、転がりながら血管の壁の隙間を探して、外へ出て、病原体の元へ素早く行くことができます。
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マクロファージは、大食い細胞とも呼ばれ、病原体を食べます。
他の免疫細胞に比べて体が大きく、直径0.02ミリから00.5ミリで、好中球がソフトボールだとするなら、マクロファージはサッカーボールくらいになります。
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病原体の侵入がない時は、体の中の不要なものを食べて分解する、掃除係の役割を果たしています。
病原体を食べながら、他の免疫細胞に病原体の侵入を知らせる働きもします。
これは、体をのばして捕食しようとしているマクロファージです。
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ナチュラルキラー細胞は、NK細胞とも呼ばれ、人がリラックスするとよく働きます。
毎日3,000~5,000個生まれるがん細胞を壊します。
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好中球やマクロファージと違い、ウィルスが侵入した細胞ごと壊します。
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しかし、自然免疫だけでは防ぎきれないとき、体に侵入した病原体がどんな種類かを見極めて準備をしてから対応するのが獲得免疫です。
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樹状細胞が病原体を取り込み、その病原体の情報をリンパ球に伝えます。
樹状細胞には、木の枝のような、突き出た部分がたくさんあります。
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人の体のいたるところに分布していますが、外と接触しやすい皮膚・鼻孔・胃・腸・肺に多くあります。
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リンパ球には、ヘルパーT細胞・B細胞・キラーT細胞・抑制T細胞があります。
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ヘルパーT細胞は、体中をめぐっています。
免疫細胞を指揮する司令官としてはたらきます。
他の免疫細胞に指示を出し、活性化させ、サポートします。
ヘルパーT細胞は、樹状細胞やマクロファージから得た病原体の情報から、B細胞に抗体をつくるよう指令を出します。
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B細胞は、ヘルパーT細胞と力を合わせ、ウィルスなどを倒す抗体を、相手に合わせて作り分けます。
抗体は、B細胞から発射される弾丸のようなものです。
初めて出会う相手に合わせた抗体をつくるには、1週間ほどかかります。
時間はかかりますが、強い攻撃力を持っています。
これまでに戦った病原体なら、数日で素早く抗体をつくることができます。
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キラーT細胞は、NK細胞と同じように、ウィルスに感染した細胞ごと壊します。
樹状細胞からの活性化によって、病原体を破壊する物質を放出し、NK細胞が壊せなかった細胞も、壊すことができます。
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抑制T細胞は、キラーT細胞が、正常な細胞や体に役立つ細胞まで攻撃する、免疫異常が起きないようにする役割を持ちます。
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私は、たくさんの細胞が、それぞれの役割を果たして私達の体を守っていることに、面白さを感じます。
みなさんにも、その面白さが伝われば嬉しいです。
これから、免疫だけでなく、体のさまざまな仕組みについて知っていきたいです。
これで発表を終わります。
聞いてくださって、ありがとうございました。
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この研究をした生徒さん
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