エラー動作について
エラー動作とは、簡単な言葉で言い換えると"損をする動作”と言えるのではにでしょうか。
動作
動作そのものというのは、大小問わず人が何か目的を達成するために手段として行うその動きのことになります。例えば、自身の後方にあるコップを取るために手を伸ばす動作や振り返ってコップを取る動作などがあります。どちらもコップを取るという目的を達成するために動作をします。
ではエラー動作とは何か?
エラー動作
目的を達成すればどのような動作でもコップを取るという結果は同じかもしれませんが、身体に負担を少なく効率的に行う動作というのは単にコップを取ることではなく、身体機能的に正い動作と言われる動きによって行うことで身体的に負担を少なく効率よく行うことができます。
人は無意識に動作をすることが多いですが、仮にコップが5kgだったときに後方に手を伸ばすだけで取ることができるでしょうか?
無理をすれば取ることができるかもしれませんが、それと同時に手首、肘、肩や腰を痛めるリスクが隠れているのです。
冒頭にも書きましたが、エラー動作とは目的を達成することができないわけではなく、損をする動作であるということです。
日常やスポーツの中で外傷以外のケガや痛みを出すような障害は、このエラー動作の積み重ねで起こることが多いです。
野球の動作
前置きが長くなりましたが、野球におけるエラー動作とはどのようなものなのか?
動作の特徴を見たときに、野球の投打の動きというのはゴルフやテニスと同じ回旋スポーツと言われることがあります。また、道具を使ってプレーをするのでそれ自体をうまくコントロールすることを求められる特徴があります。
野球の打撃にはパワーやコンタクト能力、変化に対応できる効率性を求められ、投球に関してはスピードやコントロール、変化、さらには怪我しにくい動作が求められます。
それを目的として行う動作にエラー、すなわち損している動作がないかを見ることができます。
エラー動作が出ていてもプレーはできます。損をしていて、ケガのリスクも潜んでいるということ。できれば無くしたほうが良いが、エラー動作を知り、理解することでうまく付き合っていくことも長くプレーを続けるには必要な能力になります。
一度身についた動作を変えることは困難ですが、そもそもの動作というのは身体的制限により制御されていることがあり、自身が持っているフィジカルの中でしか表現することができません。
例えば股関節が90度まで屈曲できない投手が、あの選手みたいなりたいと思い、脚を高く上げようと無理をすると脚を上げることが目的になってしまい、体を反らし傾けることで上がっているように見せかけることに努力してしまいます。結果的にエラー動作を反復することにより腰を痛めたりする原因となってしまうのです。
エラー動作は動作をスローモーションで見ることで見つけることができます。身体的制限はフィジカルスクリーンテストで見つけることができます。理想を持つことは大事ですが、まずは自分自身がどうなのか知ること、物理的にエラー動作を知ること、その理解を深めながら筋力をつけたりスキルを身につけていくことで自身のスタイルが出来上がってくるでしょう。
除脂肪体重とスイングスピードの相関関係は出ているみたいなので、そこに当てはまらない選手は動作の質が影響していると思われます。
うまくなって欲しいけど、ケガはして欲しくない。