「木曜日にはココアを」
こんばんは、今日も1日お疲れ様でした
いよいよ明日から、待ちに待った連休ですね♪
嬉しくって、帰り道にスキップしてみたら、嬉しさがぴょんと増えた気がしました。
今日は、秋の夜長におすすめしたい小説のお話です。
『木曜日にはココアを』 青山美智子
構成自体は、とてもベーシックな物語で微かな繋がりの裏に、奇跡的に展開されるそれぞれの“他人”の物語。でも一人の人の視点から、身近な人へと話が展開する“小さい”物語ではありません。家族、ではないけれど、確かに感じる温かみは、実に夜更けに飲むココアのように心の乾いた部分に染み渡っていきます
「木曜日にはココアを」[Brown/ Tokyo]
表題作に相応しい、このうえなく奇跡で、微かな恋物語。
主人公は、運命のいたずらに自然とながされ行き着いた小さなカフェで、店長をしている。”店長”とはいえ、謎の男“マスター”の気まぐれで譲り受けた役割でもあるので、彼もどこか身軽な佇まいなのが、またこの店にぴったりの主人。
彼自身、今の暮らしが気に入っている。それは自分のカフェに通ってくれるお客さんがいる充実感、だけでなく、半年前から、あるお客さんに恋をしているから。
彼女はいつも、木曜日にココアを飲みにやってきます。
決まった窓側の隅の背気に腰掛け、トルコロール柄の便箋に、美しい筆記体で手紙を綴っています。
彼の目には、そんな彼女と唯一言葉を交わす瞬間がこんなに美しく映ります。
「雨あがりの雫みたいな瞳でぼくを見上げて、肩まで流れる栗色の髪を揺らして。」
英題には、都市の名と物語を象徴する色が添えられていて
お察しの通り、著者の色の表現が絶妙なのです。
この本自体が“色”が共通のキーワードに書かれた「12色の物語」をのせた、パレットのよう。
彼女の話が一つの色に素敵な物語を加えることで、私までその色自体への愛着が増す感覚にさえ陥りました。
カフェに行くことが大好きな私は、いつか近所に行きつけのお店を作ろうと夢に見ています
そしてそのカフェは、心地よい空気が流れていて
顔を出せば、「今日は寒いね」とたわいない日々の話ができる店員がいて、、
そんな風景を思い描いています
だからこのお話に出てくる「マーブルカフェ」は、まさにわたしの理想系
胸に宿る、熱い恋心を隠してしまう彼にも、手紙が好きな彼女にも
自分の姿を重ね合わせ、夢が膨らみます
小説の最後は、この「ココアさん」が飾ってくれます
2人の間に、静かに、ゆっくりと流れる熱い想い
最後は素敵な結末が待っています。
あざとくも、いやらしくもない
小さく暖かな恋のお話
秋の夜長に
熱い湯気に息を吹きかけながら
ココアをじっくり楽しみながら読みたいお話の紹介でした。
好い夜をお過ごしください。
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