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トップパティシエは庶民的だった


先日、旦那の誕生日ケーキを買いに行った。
最初に言っておくけど、ケーキの写真は撮り忘れてしまいました💦

旦那にどこのケーキにする?と聞くと、海老名市にある『タダシヤナギ』がいい!との事。

私も大好きなケーキ屋さん。

店舗は海老名駅の丸井の中にあるが、駅から少し離れた所に本店ができたので、そこに行ってみることになった。

本店とは、どんなお店か興味深々。


タダシヤナギ』を知ったのは15年程前。
たまたま行った海老名駅で店舗を見つけ、買ってみたらものすごく美味しかった。
単純な味ではなくて、いろんな味が複雑に絡み合っていて感動した事を覚えている。

以来、誕生日というと『タダシヤナギ』である。

知っている方も多いと思われるが、『タダシヤナギ』の柳正司さんは有名なパティシエである。

ケーキの美味しさからファンになり、ご自身を紹介していたTV番組はいくつか見た事がある。
その中で、柳正司さんのふるさとの群馬県片品村の花豆を使用した抹茶のパウンドケーキを紹介しており、商品名もお父様のお名前を使っているとおっしゃっていた。

『ル・キイチ』(商品名)

後日、そのパウンドケーキを買ってみたら、花豆がごろっと入っていてものすごく美味しかった。

柳正司さんは、ワールドカップに出場するなど、数々の賞を受賞している。

ワールドカップはBSで放送されていたので見た。
柳正司さんをはじめ日本のパティシエは素晴らしかった。
繊細な細工で華美な装飾でなくて、綺麗で美味しそうで食べてみたいと思えるスイーツだった。

日本には、抹茶色や山葵色、柿色のような中間色がある。
日頃からそんな色を見ているからか、他国で使っていた原色は美味しく見えなかった。

日本すごい、とか、日本人を讃えるような表現は嫌いだが、器用な人は多い気がする。
いや、日本人に限らず器用な人は器用だよね。
余談だが、新宿にある平和祈念展示資料館へ行った時、シベリア抑留者の方が抑留中に作った手作りのスプーンが展示されていた。
何もない生活の中でとても綺麗に作られていた。


いざ、本店へ。

お店の中に入ると、優しい笑顔の女性が迎えてくれた。
しかし、生ケーキがない。
焼き菓子が中心である。
誕生日なので、海老名駅の店の方に変更しようかと一瞬頭をよぎったが、かつて見た事がないような焼き菓子が並んでいてウキウキしてきた。
ホール状の焼き菓子も色んな種類があった。

すると、奥にいる男性が見えた。
私達をチラッと見て、麦茶を運んできてくれた。

なんと!
本物!
タダシヤナギ!
柳正司さん!

いらっしゃいませと、ニコニコしながら麦茶を私達に差し出した。

ウ、ウソでしょ!

クープ ドュ モンド (ワールドカップ)で総合2位、その後国際審査委員兼日本チーム団長として優勝に導いた、柳正司さん。


『ここにあるお菓子は私が一人で作ってます』と。
並んでいる焼き菓子について、作る工程や何が入っているかなどを自ら説明してくれた。タルトの裏の焼き具合も見せてくれた。
おすすめも教えてくれた。

やはり、どれも色々なものが入っていて、かなり手が混んでいる。
素人の私でも工程を聞くと、追求をしてたどり着いたものなんだなぁとわかる。

残念ながら、りんごパイは売り切れだった。

柳正司さんの本がお店に置いてあり、見ていると写真のケーキの説明をしてくれた。
どれも、目を見張るものばかりでうっとりする。
おまけに説明が御本人である。

商品を受け取り、柳正司さんと女性の方はお店の外まで出てきて『お気をつけてお帰り下さい』と挨拶してくれた。

車に乗って、窓を開けて挨拶をした私達。

車が走り出して、本物だー!と叫んだ。
家に着くまで、私は興奮して喋り続けた。

さっそく、買ってきた焼き菓子を食べてみる。

もう、旦那の誕生日はどこえやら。

甘いと思って食べたら甘くなくて、でも食事系とも違ってベリーの味がしっかりしている焼き菓子やら、小麦は使わずにアーモンドの粉だけの焼き菓子はしっとりで水分も感じる。
買ってきた焼き菓子達は皆別物って感じ。
ウ〜ン上手く表現ができない。
どれも何が入っているのかわからない複雑な味、今まで食べた事がない味。

やはり、想像を覆す複雑な味で、どれも美味しくて幸せな時間だった。

トップに登り詰めたパティシエ、柳正司さん。
とても庶民的で驚いた。

有名になったりトップになると、商品の値段がものすごく上がってお金持ちの人が対象になったり、又は値段は据え置きでも粗悪な商品になって大量生産になったり、その人自身の態度も変わったりする事があるけど、柳正司さんは全く違った。

焼き菓子の説明をしている時、焼き菓子への愛情がこちらに伝わってきた。
作り上げるお菓子達に自信と誇りを感じたので、購入する私達も気持ちよくなるし食べたいと思える。

柳正司さんに職人を感じた。

様々な経験を自分の糧として、自分の軸を見つけた人は人に優しい。
そういう人は、頑張って成功した努力を人に押し付けたりしない。
努力のレベルは人によって違うし十人十色。
それに努力はできる時とできない時がある。
できないからと、自分を責めてはいけないんだな。

せっかく様々な経験をしても、それらを考えないですーっと流してしまう人がいる。
HSPの私は考えすぎるので、そんな人を羨ましかった。
ちょっと前までは。
だけど、そんな人の経験談は聞いても深みがなく心を揺さぶられないという事がわかった。

考えて追求していくのは疲れるかもしれないが、きっと追求した事は自分の人生を豊かにするだろう。
追求の対象は、仕事でも、趣味でも、自分の体や健康でも。

せっかく更年期障害から脱出して元気になってきたのに、ここのところ、又萎縮性膣炎になり腰痛に悩まされ、またか〜とやる気がなくなっている。
更年期以来、体調が良くないとやる気がなくなってしまう。

でも、柳正司さんに出会えた事は、燻っていた私にいい刺激になった。

物を作ったり、物を売ったり、人に何かを伝えたり、小さい事でも自分に自信を持って誇りを待って生きていきたいなと思わせてくれた焼き菓子達と『タダシヤナギ』でした。

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