日本最大の円墳

富雄丸山古墳(奈良県)における盾形銅鏡と蛇行剣の出土が大きなニュースとなりましたが,ここが最大の円墳とされているのを聞いて「あれ」と思いました。丸墓山古墳(埼玉県)に登ったとき,ここが最大の円墳と表示されていたような記憶がありました。調べたところ埼玉古墳群を訪れたのは2010年で,その後,2017年に富雄丸山古墳で空中からのレーザー測量が行われ,その規模が従来の直径86mから110mに修正され,日本最大の円墳の王座は移動していたのです。現在は住宅地やスポーツ施設に囲まれ,円墳という感じがしない富雄丸山古墳に関しては,直径105mと大差ない丸墓山古墳をもとに想像すればスケールがつかめます。

丸墓山古墳

平坦部分の規模から富雄丸山古墳の被葬者の地位は天皇に匹敵するということですが,同時期(4世紀後半)の天皇陵の形式が前方後円墳であること,それとは別種の円墳から前例のない金属器が出土したこと,古墳の所在地が「日本書紀」等に登場する饒速日命の近畿征服に抵抗した地元の豪族・長髄彦の支配地域であること,饒速日命は長髄彦の妹を妃とし,生まれた子が物部氏の祖となりその子孫には鉄との関わりを示す文字が名前に含まれること…等を踏まえると,今回の発見は5世紀より前の邪馬台国に至るまで闇となっている歴史の一端を明らかにする可能性があるのではないかと興奮しています。邪馬台国が九州に存在したという出発点,畿内に存在したという出発点のどちらをとれば筋道が通るだろう…まだ自分の頭の中では時期の整合性がとれませんが懸命に考えをめぐらせているところです。

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