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【第四回】モータルコンバット(2021)

story.

1617年。まだ乱世と呼ばれていた日本でハサシ・ハンゾウという忍者がいた

 彼には妻子がいる。息子と生まれたばかりの弟がいた。
 しかし平穏は長く続かなかった。
 中国からの刺客によって、ハンゾウの家族は殺された。
 妻子の死体は無惨にも氷漬けにされた。
 ハンゾウは犯人が誰なのか知っている。奇怪な〈氷の忍術〉を使うビ・ハンという男だ。

 ふたりの対決はビ・ハンの勝利で終わる。ハンゾウは殺された。生き残った赤子は、しかし何者かによって連れ去られた。
 赤子の胸には〈竜のアザ〉があった。それが、なによりの誤算だったのだ。

数世紀後の現代

 人類と魔族の闘い──〈モータルコンバット〉は最終決戦までもつれこんでいた。
 魔族は9度勝ち続けた。
 しかし古い予言には「魔族は10戦目の闘いで、人類に敗れる」とある。
 魔界側は仲間に引き込んだビ・ハン・・・今の名は〈サブ・ゼロ〉を人類への刺客とした。
 狙いは〈竜のアザ〉を持つ者達。〈モータルコンバット〉への参加資格をもつ者達だ。

 人間と魔族の最終決戦。
 禁断の死闘〈モータルコンバット〉が始まろうとしていた。

game.

君はモータルコンバットを知っているか?

  海外では「ストリートファイター」と肩を並べるほどの人気格闘ゲームである。
  ゲームとして30年以上の歴史があり、ナンバリングにして11作まで出ている人気シリーズだ。
 だがあまりのグロさ(笑)が反響を呼び、日本のテレビゲーム界で年齢区分(CERO)が用意されるきっかけになったとか、ならなかったとか。そんないわくつきの作品である。
 つまりこのゲームシリーズ、グロすぎて日本では発売されないのだ。
 特に「FATALITY」なるシステムが注目されている。倒した相手を死体蹴りして、目玉を潰したり、脊髄を引っこ抜いたり、内臓爆発四散させたり、やりたい放題な残酷描写がシリーズの目玉だ。(実際は残酷というよりギャグの部類であり、B級映画の景気良い血飛沫と変わらない)
 海外ゲームの「洋ゲーは残酷」「バタ臭いキャラ」といったワードは「モータルコンバット」が理由だと言っても過言ではない(過言)。 


そんなわけで、この問題児が映画化された

 モータルコンバット(2021)爆誕というわけだ。
 なぜ(2021)かというと過去に映画化された(1995)版があるからだ。しかし基本的に内容は別物で、無関係だ。
 映画は原作シリーズを知らずとも楽しめる内容になっている。朗報だね。
 
 映画単体として欠点も多いが、「モータルコンバット」はどの部分がイケてるか、だけで語るべきだろう。
 減点法なら60点程度でも、加点法なら150点にも200点にもなる。


gossip.
「モータルコンバット」には主人公らしきキャラがいる。
 原作ゲームに存在しないオリジナルキャラクターだ。観客に感情移入をさせ、状況を把握させてくれる。分かりやすい人間ドラマを用意し、物語を誘導させるためのキャラだ。
 あくまで原作ゲームに出て来るネームドキャラたちを引き立たせるための、オリジナルキャラクターだ。

 だから映画「モータルコンバット」の主人公はハサシ・ハンゾウこと〈スコーピオン〉だ。誰がなんと言おうと、そうなんだ。

最初に紹介すべきは〈スコーピオン〉だろう

 演じるのは真田広之。今のハリウッドで最も有名な日本人役者だ。
「とりあえず真田広之にジャパニーズソードを持たせておけ」。そんな感じでよく出演している。まぁ正解だ。それでカッコいいんだから。

 宿敵であるサブゼロを演じるのは、ジョー・タスリム。
 最高のアクション映画「ザ・レイド」で隊長役を務め、マッド・ドッグ先生を相手に善戦した彼である。
 〈サブゼロ〉という大役において、見事なアクションをみせてくれた。
「サブゼロ(絶対零度)」という名前にふさわしいパワーで、人間たちを追い詰めていく。まさにB級映画界のターミネーターだ。

 そして上映当時は多くの映画ファンをざわつかせた(大嘘)リュウ・カンも注目だ。
 やたら童顔なのに「脱げばスゴイんです」な肉体美!細マッチョなんてもんじゃなく、本当に筋肉バキバキなんだ。首から上をすげ替えたみたい・・・

映画「モータルコンバット」は原作にリスペクトある作品だ

 少し退屈だが、ほのぼのする修行シーンは格闘ゲームの練習モードを連想させる。
 魔族との闘いでは、ライデン様が1v1のお膳立てをしてくれる。やっぱり格闘ゲームはそういうものだから、いくらか雑でもタイマンはすべきだ。

 ちなみにライデン様。めっちゃ偉そうな感じだけど、魔界側に9連敗中で、大ピンチという体たらくだ。切羽詰まってるのに、やる気ないなら返れとか言っちゃうし。そこらへん、カッコ悪くて笑っちゃいます。

お楽しみの「FATALITY!」

 面白おかしく、斬新な死に方をする敵味方。「なるほど、君はそういう風に死ぬんだね」という具合に、景気よく死んでいく。
 ぶっちゃけ「FATALITY!」さえ良ければ、他が駄作でも構わない。

 私が好きなのはクン・ラオの「FATALITY!」だ。
絶望的にダサい鉄帽子が、素晴らしいオシャレ惨殺アイテムに変身した。クールすぎるので、是非観て欲しい。

「スコーピオン対サブゼロ」

 この映画の目玉である。
 原作ゲームでもお馴染みのマッチアップ。
 ストリートファイターにおける「リュウ対ケン」みたいだが、彼等の間柄はそんな穏やかなものじゃあない。
 
 死したハンゾウが〈スコーピオン〉となって復活。〈サブゼロ〉と400年の因縁に決着をつける。
 物語のクライマックスであり、絶対そうなるでしょという展開なのだが、これが超熱い。分かり切っていても、ドキドキが止まらない。
 王道ってやつは、何度擦られても悪くない。

「鎖をジャラジャラ回すスコーピオン」と「絶対零度を操るサブゼロ」の殺し合い。
 イケイケの殺陣が本当にイイ。特にサブゼロが氷剣を生み出すシーンがたまらない。
 火傷しそうなくらい熱い原作ゲームのテーマソングと、スコーピオンによる「get over here」
 原作を知らずとも、観た者の心は熱くしてくれるだろう。

この世には、どれだけ設定を盛ってもいいものが三つある

・ゾンビ
・サメ
・忍者
の三つだ。
 だから由緒正しき白井流忍者である〈スコーピオン〉も、トンデモ忍術でサブゼロを「FATALITY!」しちまうのさ。


postscript.

  今作。禁断の死闘こと〈モータルコンバット〉を開催する前の話なのだ。
 しかしタイトルを「モータルコンバット」と銘打っておきながら、モータルコンバットが開催されなかった・・・

 次回作はあるみたいで、いろいろ期待するとしよう。
 果たして人間と魔族の決着はどうなるのか。
 スコーピオンはまた出るのか、サブゼロは本当に死んだのか。
 そもそもモータルコンバットは、ちゃんと開催されるのか・・・


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