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$多羅尾伴内シリーズ 片目の魔王(前編)

$多羅尾伴内シリーズ 片目の魔王(前編)

$多羅尾 伴内(たらお ばんない)は、比佐芳武原作・脚本のミステリ映画シリーズ、および同シリーズの主人公である架空の探偵の名前。「七つの顔の男」シリーズまたは「藤村大造(ふじむらたいぞう)」シリーズと呼ばれることもある。

片岡千恵蔵主演で、1946年昭和21年)から1948年(昭和23年)に大映が4作品を、1953年(昭和28年)から1960年(昭和35年)に東映が7作品を製作し、興行的に大成功を収めた。千恵蔵が七変化の活躍をするという痛快無比な面白さが大評判となり、とくにクライマックスの名ゼリフ「ある時は○○、またある時は××、しかしてその実体は……!(ここで名乗りを上げる)」は多くのファンによって模倣された。

昭和42年(1967年)には『七つの顔の男』の題名でテレビシリーズ化される。制作はNET(現・テレビ朝日)、比佐芳武の原作、高城丈二が主演した。

昭和53年(1978年)には、伴内ファン世代の小池一夫作・石森章太郎画による劇画『七つの顔を持つ男 多羅尾伴内』(講談社)が発刊。同年には、東映が小林旭主演でリメイク映画を製作して2代目シリーズ化をめざしたが、2作目が興行的に成功せず、シリーズは打ち切られた。

片岡千恵蔵が演じた多羅尾伴内を林家木久扇が頻繁に真似をしている。また、漫画家のバロン吉元も熱心な伴内ファンの一人であり、2005年に出版された『多羅尾伴内―七つの顔の男』(関貞三【著】/林家 木久扇【編】、ワイズ出版)>

https://www.amazon.co.jp/%E5%A4%9A%E7%BE%85%E5%B0%BE%E4%BC%B4%E5%86%85%E2%80%95%E4%B8%83%E3%81%A4%E3%81%AE%E9%A1%94%E3%81%AE%E7%94%B7-%E9%96%A2-%E8%B2%9E%E4%B8%89/dp/4898301835

>には林家木久扇と共にイラストを寄せている。書中には著者の関貞三を加えた3人での鼎談もおさめられている。 音楽家の大瀧詠一は変名として使用した。
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関 貞三

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ストーリーの定型

多羅尾伴内シリーズは、それぞれ1作品で話が完結している。初期の大映時代にはストーリーにも試行錯誤の変化が見られるが、東映時代の後期になるにつれて定型パターン化してゆく。千恵蔵版の定型ストーリーは以下のようなものである。

多羅尾伴内は「多羅尾探偵事務所」を開設する飄々ととぼけた感じで風采の上がらない私立探偵である。いつもユーモラスにひょこひょこと歩く。怪事件が発生すると警察を訪れて情報交換をしながら調査を開始する。変装の趣味があるのか、多羅尾伴内は調査に当たって次から次へとちがう謎の人物に変装してゆく。彼が変装するのは、多羅尾自身や「片目の運転手」「せむしの男」のような冴えない人物か、「手品好きのキザな紳士」「奇術師」「インドの魔術師」あるいは「中国の大富豪」のような風変わりな人物が多い。映画の観客から見れば同一人物であることは一目瞭然なのだが、なぜか他の登場人物たちには少しも気づかれる様子がない。多羅尾および彼が変装した5人の人物の調査・工作によって事件はかき回され、解決するどころかかえって事態は複雑化して、それに巻き込まれてしまった人物が死にいたることすらしばしばある。こうして伴内は、事件に関連する人物群を網羅的に掌握し、彼らが大団円の舞台へ集まるように誘導工作をする。

伴内による工作の効果によって、犯罪一味や被害者たちが大団円の舞台へと集まる。伴内が化けた謎の男を前にして、犯罪一味のボスが問う。

  • ボス 「貴様は誰だ!?」

  • 謎の男 「七つの顔の男じゃよ。ある時は競馬師、ある時は私立探偵(多羅尾伴内)、ある時は画家、またある時は片目の運転手、ある時はインドの魔術師、またある時は老警官。しかしてその実体は……正義と真実の使徒(=使者)、藤村大造だ!」(使徒をと聞き違える人多し)
    (このやりとりは、もちろん変装によって変わる。言葉づかいも多少変化する)

こういうや否や、謎の男は自身の扮装を剥ぎ取って真の姿・藤村大造となり、事件の真相を解説した後で、二挺拳銃で犯罪一味と銃撃戦になる。多羅尾(藤村)あるいは被害者などから通報を受けた警察がパトカーで駆けつけるころには、藤村大造が勝利を収めている。

ラストシーン。犯罪一味が警察に捕縛されている間に、藤村は悠々と(いつのまに準備したのか)オープンカーで去ってゆく。救出された被害者が藤村に礼を言おうと追いかけると、車はすでに遠ざかり、後には藤村が詩を書き残した紙片が木や塀に貼り付けられていて、被害者は感銘を受けて物語が終わる。






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