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『猫のゆりかご』読了

わたしがこれから語ろうとするさまざまな真実の事柄は、みんなまっ赤な嘘である。

ブロンテからヴォネガットはさすがに温度差で風邪引きそうだった。自分の節操の無さに我ながらびっくりしちゃう。
まあ、きっかけはメトロンズなんだけども。
第0回公演『KASAMATSU』の劇中で、冒頭に挙げた引用部分(ボコノン教典の冒頭部)をKAZMA(=殺人犯モモカワ)とだまさん(=ペンション「ボコノン」のオーナー)が唱和する場面があった。

ヴォネガットの作品は、壮大な嘘で全てを優しく肯定してくれる。「世界なんて、そんなもんだ。」

『KASAMATSU』より

幅広く言えば、宗教も演劇も文学作品も一種の「嘘」であるわけで、でも時には、それらからどうしようもない「真実」を受け取ることもあるという皮肉。一見滑稽なんだけど、同時に儚さや虚しさも感じられて。セツナオカシイ。
元樹さん(=メトロンズの脚本・演出担当)の愛読書という贔屓目を抜いても、楽しかった。SFとしても、〈カラース〉〈アイス・ナイン〉といった言いたくなるミームが盛りだくさんで上出来。いい小説は、読んだ後に作者に電話したくなる作品のことだってサリンジャーが書いてたけど(@ライ麦畑)、これは誰かと一緒に読んで、知ってる者同士でミームで遊びたくなる系だわ。出版当時、アメリカの大学生たちにウケたというのも納得。
ヴォネガットもっと読んでみたい。
次は『スローターハウス5』と『タイタンの妖女』、どっちにしようかなあ…?

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