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映画『怒り』鑑賞
『怒り』2016年9月公開
監督・脚本:李相日(『流浪の月』など)
原作:吉田修一『怒り』
出演:渡辺謙、宮崎あおい、松山ケンイチ、森山未來、広瀬すず、妻夫木聡、綾野剛 他
2024/10/20(日)鑑賞
2024/10/20(日)執筆
愛子多分知能障がい持ってるよね。娘を一人で守らなきゃいけないお父さんの気持ち。歌舞伎町?の風俗で働いて頭が足りないからどんなプレイも拒否しなくて自分を守れなくて、お父さんが見てきたのはそれだけじゃなくて、だからどこか諦めてるというかこんな娘は「普通」の子と同じように生活できない、幸せになれないって思ってたところがあったんだと思う。そこに田代が現れて、いつの間にか親しくなってて、そこにはお父さんとして娘の恋路を複雑に思う父心があった一方、ずっとバイトで素性も本心もよく分からない男を不審に思う気持ちもあって。やっぱり頼りない、ろくでもない男に惹かれてしまうんだなと娘を憂いていたんだろうか。
でも、愛子は彼女なりに考えて決断して二人で幸せになろうとしたんだと思う。寄る辺のない田代は無垢な愛子に向き合えてたのかな。お父さんの心配と従姉妹との話から指名手配のことが頭に入ってきて、写真を見て何を感じたんだろう。好きになった男が指名手配犯なわけないって信じる気持ちとそれでも葛藤して通報したのは障がいの有無とか関係なく、一人の人間が自分の頭で考えた末の者だと感じた。田代は責任を感じて帰ってこないのを、自分が疑ったから捨てられたのだと思った愛子の慟哭は辛かった。子どもの癇癪と女の悲痛が混じった泣き声だと思った。それを抱きしめるお父さんは自分の内心とそれによって愛子と彼女が愛した田代を信じてやれなかった悔しさを身に受けていたように感じた。田代は田代で愛子を愛していたからこそ迷惑をかけそうになったから身を引こうとしていたんだろうし、それでも愛子とお父さんが呼び止めたのに素直に従えてよかった。
一回目見てすべてを読み取れたとは全く思っていなくて、題名の「怒り」を感じたのが沖縄組しかないというのもそう思う理由。いや、対三人において愛子と優馬は信じられなかった自分への怒り、辰也は信じてしまった自分への怒りを感じていたのか。そういえば三人の似た顔でドッペルゲンガーの話を思い出したりもした。陳腐な思考。
田代と直人に比べて無害そうに見えた田中が一番激情を持っていたというのは予想できたとはいえ、本当の顔とのギャップに驚いた。田中がなぜ八王子で事件を起こしたのか、ちょっと理解できず終わっちゃったな。思っていることを全て文字にして記す彼が、「怒」を書いたのは彼の心がその感情で満たされていたからだと思うけど、何にそんなに怒っていたの。彼も自分では分かってなかったのかな、思考が論理的ではないように感じた。まあ人間の思考は必ず論理があるほどそんなに大層なものじゃないと思うけど。
辰也は人生狂わされたね。誰に?田中かな。田中と那覇で会ってなければ酒飲んでなかったもんね。殺人もしなかった。でも、泉になんであんなに惹かれてたんだろう。好きな人がレイプされて何もできなかったやるせなさと後悔に苛まれ続けていたところを馬鹿にされるような発言されて刺すほどだったのか。あでも、見知らぬ大人にいつても味方だと言われ男の友情ができたと思った相手に裏切られてもいるのか。
泉は悲惨。レイプされて誰にも言わず泣き寝入り。挙句の果てには自分のせいで好きになられた人が殺人。男に壊され、男を壊した自分を恨むのだろうか。
優馬が出てきたときはちゃらんぽらんに生きる東京の人だなあと思った。あと今まで恋人いなかったんじゃなかろうか。恋人っていうのは心を通わせた、愛しいと思える人。直人との出会いはそれこそ体の関係で、でも何か惹かれるものがあったからその後の関係も続けたし同棲も許したんだろう。親にも会わせたんだろう。母が亡くなって直人も知らずのうちに死んでて、かわいそうだなあ。どっちも彼にとって大事な人だった。お墓に一緒に入れないけど隣だったらいいなって言われたとき愛しかったんじゃないかな。あのとき二人は心を通わせてたと思う。直人の使ってたものとか服とかすべて処分してるから物を見て思い出に浸ることできないね。
直人。なんで新宿にいたの。自分を大事にできてなかったからどうでもいいと思ってたからあそこで蹲ってたのかな。顔を暴かれたときの辛そうな顔。優馬の前にもう既に何回かやったあとだったのかな。いきなりなんか部屋にあげてくれる男が現れて、親にも会わせて自由にさせてくれて、嬉しかったと思う。施設育ちとか経歴とか言ってないのに気にしないようなふりしてくれて信じてくれて。だから病気のことも言わずに優馬の前から、この世からいなくなるのは寂しい。感情の激しい発露が見られなかったように一人で抱え込んだんだろうな。荒ぶったりしなかったのは心臓が強くなかったのもあるだろうけど。なんか頷きとか返事に覇気を感じないの見ててぎゅっとなった。儚い。ちょっと活舌が甘いのも庇護欲を感じさせる(これは俳優の元々の特性ではある)。
綾野剛、すごい。幸薄い顔をできるのが。役によってあんなに天真爛漫だったり馬鹿だったりガラ悪かったりするのに、目の奥を悲しみとか冷たい色にできるのがすごい。横顔美しい。体薄い。デコルテが綺麗。最初の行為のシーン、シーツに唾液が垂れてたの生唾を飲み込んでしまった。
【#映画怒り × #絶賛コメント 】
— 映画『怒り』(4.12BD&DVD発売) (@IkariMovie) August 24, 2016
作品全体からにじみ出る不安感に引き込まれた。
信じた人を信じられなくなった。
感情を重厚に引き出したストーリーに大きな衝撃を受けた。
くまざわ書店 大手町店 鈴木圭一郎 pic.twitter.com/x0Dg6ewKEa
【#映画怒り × #絶賛コメント 】
— 映画『怒り』(4.12BD&DVD発売) (@IkariMovie) July 21, 2016
メインの7人全員が主役に見える監督の演出力に鳥肌が立った。
(全員が主役に見えてしまう演技力に興奮した。)
ここ1年観た映画を忘れてしまった。
株式会社OFFICE ITO 代表取締役 伊藤麻子 pic.twitter.com/oXnsuPhssA
【#映画怒り × #絶賛コメント 】
— 映画『怒り』(4.12BD&DVD発売) (@IkariMovie) September 2, 2016
信じる事は簡単ではないけど、信じなきゃいけない人は信じたい。
三省堂書店 経堂店 小川亜未 pic.twitter.com/IHSKlUgLFa
【#映画怒り × #絶賛コメント 】
— 映画『怒り』(4.12BD&DVD発売) (@IkariMovie) July 28, 2016
今の社会が生み出した人格が常軌を逸した凶悪事件を引き起す不信感が織り成す状況に人はどの様にして生きて行けば良いのか考えさせられました。
塚口サンサン劇場 支配人 高尾博 pic.twitter.com/V3mtkUXERU
公式Twitterの絶賛コメント読むの楽しすぎる。