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映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観て呟き
『リップヴァンウィンクルの花嫁』2016年3月公開
監督・脚本:岩井俊二
原作:岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』
出演:黒木華、綾野剛、Cocco 他
2024/11/13(水)鑑賞
2024/11/14(木)執筆
NETFLIXでの配信期限が迫っていたため視聴。
最初の待ち合わせ場所池袋のサンシャイン通り?なぜあの辺で一番人通りが多いところで待ち合わせたんだろう。いけふくろうとかあるよー。と言いつつおすすめの待ち合わせ場所として紹介するサイトが多く、いつも人でごった返しているためかえって分かりにくいかもしれない。それこそマッチングアプリ利用者っぽい人たくさんいるし。
式直前の「幸せになりましょ」なんか、なんか、、虚しい。
する予定ないけど結婚式への忌避感が強まった。子役とか使うの?
披露宴の余興とか本当に、、恐ろしかった。あえて痛々しい風に演出していると信じたい。
目玉焼きの黄身がっつり皿に溢してるの割と嫌かも。白身と牛乳を残すな!そして妻のいってらっしゃいには答えてあげて……。
浮気調査の持ちかけの場面、安室なかなか面白い前髪をしてはる。シンプルな格好だけにスタイルの良さが際立つ。足長。靴のシルエット好き。
カムパネルラの由来聞いてる時の興味なさそうな声。QRコード交換した後に何か操作してたのは名前変更とかかな。職業柄いろいろな人と交換してそうだしユーザー名だと分からなくなっちゃいそう。
この場面の安室ずっと皆川のこと見据えるような目をしててちょっと不気味に感じた。目の奥が笑ってない感じ。
堕ちる堕ちないの話してからいつそういう展開になるかずっとハラハラしてた。相手に興味ない装いの飄々とした男と浮気されて傷心中の女のラブストーリー始まる?って思うじゃん。今思うとミスリードだったんだな。
ホテルでの画角が隠しカメラすぎる。嫌な予感しかしない。
緊迫した場面なのにアムロいきまーすスタンプで吹き出しちゃった。何とも言えない顔だしなんなんあれ。
初見時気付かなかったけど、アイコンもスタンプもコスプレしてるしほんまに何あれ。かなりツボ。
うわ、決め手となるシャワー指示してるの安室じゃん。
別れさせ屋役も気持ち悪くて大変良い。変容後も可愛くて好き。
安室がランバラル!?こっわ。ランバラルの友達ってこと強調してたのは変わり者なのかと思ってたけど、ここでちゃんと理解させるための布石だったんだな~。
一回目聞き取れなかったけど別れさせ屋に帰る時に「極悪人」って言われてたのか。余計怖い。
いや、何事も無かったかのようにピンチを救ってくれる人流石に惚れちゃうでしょ。着替えと落ち着く時間を考慮して外で待ってくれる優しさも感じられる。ひえ~。
歩き果ててマップも見ずに混乱してるところで、黒木華のすごさを痛感した。声が小さくて気が弱い性格とか傍から見ればイライラしてしまうかもしれない役を演じるのってとても難しいことだと思ってて。おバカキャラとかじゃない主要人物を馬鹿な人間だと一度でも感じちゃうと冷めて集中できなくなるんだけど、皆川は動機が意味不明な箇所がほとんどなく存在に違和感がないから最後まで没頭して観れた。自然な演技をする良い女優さんだなと思った。
脚本の出来の良さも大いにあると思う。
銭湯で待ち構えた安室の恰好好きすぎるかも。うっすいフード被って。あれだと真横の皆川のことほぼ見えてなさそう。
てっきり別れさせ屋は安室が一からすべて仕組んだことだと思ってたけど、部屋にピアスを転がせたりアルバムをすり替えたりもあるし母親に話を持ち掛けて加担させたのかな。母親が別れさせ屋に依頼したというのは半分事実で半分間違いみたいな。
でも、葬式からの母親から皆川への軽蔑する視線や夫との最後の電話を聞く母親の表情から、仕組んだというより本当に不倫を疑ってたようにも思えてしまう。やっぱり後ろめたさの表情だったのかあれは。分からない。
今更荒ぶって怒れずにやるせなさからの弱々しい暴言とか、笑っちゃって頭を抱えるしかない動きとか、すごい自然なんだよ。可哀想。横の首謀者どういう気持ちなのこれ。ここ一回も皆川に目をやろうとしてないし罪悪感みたいなのも多少はあったのだろうか。
打ち上げ行く道中の姉の皆川をちらっと見る目が怖くて、安室の刺客かと思ってずっと疑ってたな。なんだかんだ最後まで。
里中と話してる皆川なんか可愛くね。
里中歌上手!と思ったらCoccoさんシンガーソングライターなのね。演技上手すぎて本業が女優の方だとばかり。
東京、「この中から一人や二人いなくなったって誰も気付きやしないね」←本当にね。常々感じる。
安室が皆川に何かを持ち掛けるとき、つまり大元の依頼を達成するために駒を進める時、目の奥全然笑ってないな。
ホテルのバイト辞めさせる時に出した一万円札が全部ピン札だったの、最初からこの方法で辞めさせる気満々で下ろしてきたんだろうな。
屋敷入ってからの二人のやり取り何気に好き。
「もう一人メイドいるっつたのに……、使えないなあ!」←好き
大量の衣装ってもしかして里中の撮影用だったりする?セーラー服とかメイド服とかチャイナ服とか、言われればコスプレ用とも捉えられる。
衣装拒否するときの皆川可愛い。手振るのが優雅なんだよな。指を閉じて掌をちょっと丸める感じ。黒木さんの元々の癖かな。
安室なんか語尾に感情がこもってないというか、今まで見てきた綾野剛の演技では初めての感じがして新鮮。そして乾いた笑い多い。
真白さん好きになっちゃう。猫の声真似しながら枕持って寝床に来たところで堕ちた。流石にあざといが過ぎる。
やっぱ里中といる時の皆川可愛いな!声がきゅるっとしてる。
クラシックの入れ方上手い。ここで?みたいなところで入るのに流れてても違和感ない。
メイド服褒めたりしてやっぱり安室狙ってる?と思ってたのがすでに懐かしい。皆川が席離した隙に紅茶に何か仕込まないか不安だった。
急に現れて再会したと思ったら、距離は近いし親しげだし爛漫にはしゃいでるし好きになっちゃうな。里中の性格からあまりそう感じなかったけど、考えればギャルゲーの余命幾許もないメインヒロインだこれ。
里中のマネージャー良いキャラしてる。この人も自然な演技するなー。
確かに撮影スタジオって聞くと玄関のセット感すごい。その後の部屋とか庭とかも同様で、それまではまだギリ豪邸で納得する部屋とかパーティ会場とかしか見てなかったから、映す順番が上手。
クラゲ見てるところで露わになってる足や手首の細さがすごくて筋が出てる。
死がすぐ側にあるとクラゲとか神秘的な物に惹かれるのだろうか。悠々自適に揺蕩うクラゲをぼーっと見て時々羨ましく思ったりするのだろうか。
クラゲ部屋のシーン良い。本当に良い。里中の影と皆川の優しさが寄り添って世界に二人しかいないような感覚に息が止まっちゃう。ギャルゲーか?
二人でウェディングドレスの店入ったところでようやくこの映画の題名を理解した。
ドレッサー前に純白のドレスに身を包んだ二人が並んだシーン、じーんときた(二回目視聴時)。
カメラマンさん、「モデルかな?どっかで見たことあるな」は洒落にならないからやめて。何も悪くないけど。
チャペルで二人が向かい合うシーンの美しさたるや。花嫁が並ぶとこんなに神聖な風になるんだな。マーメイドの里中とプリンセスの皆川、バランスも良い。皆川のドレス、里中が見繕ったのかな。最初の結婚式で着てたものよりも抜群に似合ってる。パーマがかったふわふわの髪質と白くてやわらかそうな肌に、フリルと花がたっぷりのドレスが本当に可愛かった。
二つの結婚式を比べたときの皆川の表情の違いがもう後者の幸せを物語ってる。里中も、良かった。
二人が楽しそうに幸せそうに食事したり踊ったりピアノ弾いたりしてるところで号泣しちゃった。ずっと続いてくれ;;
里中優しい人なんだなあ。日常から他者の優しさを感じ取り、勝手に耐えきれなくなる。不器用。優しさを素直に受け取れない人って自己肯定感が低い人が多い気がしてて里中もそうだと思う。
ドレスの背中に余裕あるの見ると本当に細いことを実感する。皆川の手を見つめたり絡ませたりしてるの、初対面のカラオケバーでもそうだった。自分の細くて少し骨ばった指に比べてやわらかくて好きだったのかな。
一緒に死んでくれる人で連れてこられたのが皆川じゃなかったら、里中は道連れにしたのか分からないけど、なんとなく誰が相手でもしなかったんじゃないかと思う。優しいから。
順番は逆だけど結果的に愛する人を金で買ったことになるのかー。自分は優しさを無償で受け入れられないとは言いつつ、その事実に苦しくなってたんじゃないのかな。
ベッドシーン(語弊大アリ)の最後好きだなあ。囁くような「愛してる」。
そういえば別れた夫との間には愛の言葉を交わすシーンなかったな。それもそうか。
そして、ここでやっと安室が噛ませというかミスリードの可能性に気付いた。
言われれば皆川、安室に惚れてない。
安室役者だな、おい。よろけたのは素っぽいけど焦りが見えて良い。
皆川の慟哭が辛い。まるで幸せな夢から覚めてしまったかのような絶望。
安室はいつ皆川に目をつけたんだろう。
「里中真白は自分しかいない」と安室が初対面時に言ってた「役者にとって名前なんてのはなんでもいいんですよ」が対比されてるのかなとぼんやり思った。最期まで里中真白であり続けた里中と、かたや出会ってから最後まで本名も素性も明かしていない安室。
安室と皆川がソファに並んで座ってる姿も浮気調査開始時と葬式とでは全然見え方が違う。
実家に子どもが描いた絵が残ってる時点で。
安室まさかあの場面で笑い始めたのかと思ったよ。
あれは脱いだ母親に居た堪れない気持ちにさせずその場を収めるための演技なのか、安室の本当の感情が垣間見えたのか。安室のことはずっと掴めない。
映画観るとかなりの確率で綾野剛の裸体を見てる気がする。今回は完全に尻見せられるとは。
安室が脱ぎ始めた辺りからBGMも大きくなったことでカオスになってちょっと笑っちゃたの別に不謹慎じゃないよね。
皆川にとって悲しみにずっと浸るよりもあの場で笑った方が良かったように思う。あれで結構吹っ切れたんじゃないか。
自分の記憶違いでなければ家を追い出されて無心で歩いたシーンと母親が脱ぎだすシーンに同じ曲が流れていたのだけど、理由を考えている。
お魚さんは二匹とも新居に連れてこれたんだ。二匹に皆川と里中を見てしまう。
中盤に安室がそれぞれグラスに入っていた魚を一方に移そうとしていたのは、皆川を里中と一緒にするという表現だったのかな。
生徒に「東京ってどんな所?」って聞かれてあの夜のリップヴァンウィンクルの発言を引用せずにはぐらかしたのは、里中がいなくなったことを誰も気付かないなんて嘘でも言いたくなかったからなのかな。
結局最後までオンラインでの個人指導の仕事は続けてたのか。皆川は怒涛の展開で様々な場所や境遇を転々としていていわば居場所が定まらず浮いていたとも言えそうだけど、最初の時から関わり続けていた一人の生徒が現実に引き留めていた綱だったのかなと。ここに「リップヴァンウィンクル」をほのかに感じた。
安室を見送る時、大声出せたね。成長。
新居の雰囲気良いなー。不揃いの椅子、片方に里中が座ってる姿想像できる。いや、そんなに大人しくないかもしれない、皆川にひっついてそう。
最後に架空の指輪を眺めるところ、正真正銘彼女はリップヴァンウィンクルの花嫁だ。
なんだけど、囚われてる感じは全くしなくて、前を向いて一人で生きていけるような覚悟と晴れやかさを感じることができた。これも成長。
総評
かなーり好きな映画だった。ここ最近観た中で一番かもしれない。
安室のミスリードに始まる全編に漂う緊張感が集中の良い材料になっていたと思う。
また、出演する役者さんがみんなお上手で役が自然に存在してたから全く冷めずに観れた。
原作と映画ともに取りまとめている岩井監督が、黒木華をイメージして書いたのがこの作品だそうでだからあんなにも演技や雰囲気がしっくり来たのかと納得した。
https://x.com/BrideRvw/status/729578416354140160
https://x.com/BrideRvw/status/729269748974821376
公式Twitterを公開当時まで遡ると良い写真がアップされていて感傷に浸れる。