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組織との関係、妻のキャリア支援!育児座談会開催レポート(後編)
プロティアン・キャリア協会、育児ラボです。
私たちは育児中の方や組織に対して、現代版プロティアン・キャリア理論を活用し、個人と組織の成長を支援し、より良い未来を創る活動を行っています。
今回は、1月6日に開催した、プロティアン・キャリア協会CGO栗原和也さんと育児ラボ庄司さんとの座談会の様子をご紹介します。後編は組織との関係、妻のキャリア支援についてのお話です。
登壇者のご紹介
栗原和也さん プロティアン・キャリア協会 CGO 最高事業成長責任者
組織と個人がシナジーを生み、誰もが自分らしいキャリアを築ける世の中を目指す。2024年4 月生まれの娘のパパ。
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庄司和行さん プロティアン・キャリア協会 育児ラボ2期リーダー
理学療法士というリハビリテーションの専門職に従事。娘2人のパパ。
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前編では、育児中に蓄積したスキルや新たなアイデンティティの確立のお話がありました。
後編では、育児中の方と組織との関係や、パートナーとの関係について深堀りしてお聞きしています。
いつ、何をするのかを言語化して行動につなげる
-育児中の方は多様な経験を積んでいます。企業における人材活用についてどう考えますか?
栗原:育児中の方には、育児中特有の“ながら作業”ができると思います。
例えば、子供を抱っこしているときに、手持無沙汰な時間もありました。抱っこしながらでも音楽を聞いたり、オーディオブックを聞く等、育児中の方同士で何ができるかの情報シェアができるといいのではないでしょうか。
また、企業においては育休取得中の方向けと、育休中ではないが育児中の方向けの2種類の施策が必要だと思います。
前者は職場に戻れるかの不安が大きいため、定期的にサマリーされた会社に関する情報や、復帰までの準備に関する情報があるといいのではないでしょうか。
現在、企業が公表している人的資本開示の項目にも育児関連は含まれています。昭和時代のように、「男性は子供ができてもそれまでと同様に働き続けるものだ」「女性は育休に入るのでマミートラックに入るだろう」という姿勢では、労働者から選ばれなくなると思います。
参加者からの質問:地域にてパパ支援をしています。パパ同士は集まってもなかなか話が進まず、キャリアコンサルタントが入ることで話が弾みます。また、パパは我慢する傾向があるように感じています。栗原さんはどう思われますか?
栗原:パパとしては育児が妻よりも下手なことが悔しいし、仕事の影響で、うまく育児に関われないことも悔しい。もどかしさがあります。我が家の場合は、「何かあった時は話し合おう」という姿勢ですが、周囲の男性達にこの話をすると「うちは無理だよ。話にならないよ。」という声が多いです。
お互いがお互いの景色を知ると良いのですが、知る前に自分の要求をしてしまう方が多いのではないでしょうか。例えば、ママの立場では「子育てに休みはない」。パパの立場では「月~金働いて、夜中と土日育児に関わると、全く休みがない」。それらを知ったうえで話ができるといいですね。
キャリア開発の研修でも、社外の社会関係資本の形成(人脈、つながりの形成)が難しいと声が多くあります。私が、最初に連絡を取ったのは学生時代の友人です。SNSで子育てに関する発信すると反応がありました。まず学生時代の友人から始めるといいのではないでしょうか。また、ママたちがパパ会のセッティングをしたというコメントもありましたが、外から場をつくるのもいいと思います。
妻のキャリア支援のためにできること
-男性が妻のキャリアを後押しすることをどう考えますか?
庄司:私は育児にも時間を費やしていますが、妻のキャリアに対する支援が難しいと感じることがあります。想いはあるが、行動しようとすると遠慮して進みにくいようです。男性が妻のキャリアを後押しすることに対して、どう考えますか?
栗原:まずは、どうしようかなと想いがある状態で、庄司さんが支えようとしている姿が素晴らしと思います。今は、奥様は葛藤する時期、庄司さんは話を聴く時期、なのではないでしょうか。
企業研修で効果があったことで一例を挙げると「いつ」、「どこで」、「何をやるのか」を決める取り組みです。例えば、Googleカレンダーに予定が入っていればやりますよね。来週までにやろう、3か月後までにやろうでは進みませんが、〇日の11時~12時、近所の喫茶店●●にいって、■■に関する情報を検索する、まで言語化します。庄司さんが、「今日の11時から喫茶店に行く時間だよ」と声をかけると動きやすいのではないでしょうか。
庄司:確かにそうですね。声をかけると妻も動きやすくなりますね。
参加者からの質問:自分時間について、ご夫婦で話し合っていることはありますか?
栗原:夫婦ともに相手に尽くすタイプです。子供が泣いている時は自分が対応するので、その間ゆっくりしたらと声をかけることがあります。私の場合、相手がダラダラしているのを見るのも幸せに感じます。自分が作った時間でゆっくりしてくれていると思えるからです。私は仕事も好きですが、ゲームをしたり漫画を読んだりすることも好きなので、そういう姿を見て妻から「リラックスしてくれて嬉しい」と言われます。お互いがゆっくり過ごしたいと思っているので実現するための行動をしています。また、ほぼ毎日30分以上は対話しています。何が大変だったか、どんなことができるか。妻の内省する力が強いので対話も進みます。
あとは、妻は割り切ることも上手だと感じます。私が子供を連れて友人との食事会に連れて行くことがあるのですが、その間は一人の時間を楽しんでくれました。妻側は遠慮してしまったり、育児に頑張りすぎてしまったりということが多いと思うので、旦那の方から「休んで」と、時には妻の時間を作るのも大切だと考えています。
庄司:私自身も妻の一人時間を確保するために、オンライン研修時に自分の近くに室内用テントに設置し、その中に子供を入れて遊ばせていたりしていますよ。
連帯と共創!
―今後のキャリアビジョンについて聞かせてください。
庄司:ワークライフバランスを大切にしながら、自分の仕事、学術発表をいかに進めていくかを考えています。自分も自己研鑽していきたいし、妻とも切磋琢磨していきたい。また、自己啓発の時に妻に家のことを任せてしまう家庭依存型キャリアにならないように、お互いに育児も自己研鑽も共存していきたいと思っています。
栗原:連帯と共創です。約400名いらっしゃる認定者の皆さんと大連隊を組みたいと考えています。横のつながりは、本人同士が作りづらい点もあると思います。皆さん同士が交流する場づくりを沢山していきたいですね。育児もそうですが、認定者の皆様がキャリアについて一人で悩まないようにしていきたいと考えています。
また、料理ができるようになりたいです。ここだけは今までやってこなかったので妻に頼っている状態です。この機会に、おやじ飯をつくれるようになりたいと思います。
栗原さん、庄司さん、貴重なお話をありがとうございました。
今回のコラムはいかがでしたか?次回もどうぞお楽しみに!!