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エンジニアという異質な職業について

ソフトウェアエンジニアとして働いて数年経つが、改めてエンジニアは異質な職業だと感じる。異質な点はたくさんあるのだが、一番は仕事相手だろうか。
他の職種で言うと、営業ならお客さん、人事なら社員や就活生を相手に仕事をしている。それに対してエンジニアは、一日中パソコンを相手に仕事をしている。朝から晩までずっとだ。下手したら人間と一言も会話をせずに業務を終える日だってある。
もちろんチームメンバーと会話したり、会議したりすることはあるのだが、だいたいパソコンが間に入っている。私たちエンジニアは面と向かって話すのが照れくさいので、パソコンを間に挟まないとまともに会話できないのだ。

そんな照れ屋なエンジニアは普段何をしているのか?
大抵エンジニアは、パソコンに書かれたプログラムを読んでは唸ってを一日中繰り返している。プログラムというのは、システムを動かすために書かれた命令文のことだ。機械と人間の間を取り持つ言語だと思ってもらえればいい。
ただ、日本語のように分かりやすい言語ではない。文脈なんて無いし、大抵はとっ散らかっているので、読むだけで一苦労だ。順々に読んでいても急に別のところに飛ぶこともあるし、最後まで読んでも「結局何がしたかったんだ?」と理解できないこともざらにある。高校の現代文でよく「作者の気持ちを答えなさい」という問いがあるが、それに似ている。エンジニアは常に「このプログラムを書いた作者の意図を答えなさい」という問いを考え続けているようなものだ。

結局のところ、エンジニアの主な仕事は「パソコン君のご機嫌取り」なのだと最近気がついた。パソコン君は命令したことを何でもやってくれるので一見賢そうに見えるが、少しでもルールに違反したプログラムを書くと、エラーを出してギャアギャアと喚き出す。どうしようもない赤ん坊なのだ。パソコン君が泣き出すと、エンジニアたちは慌ててパソコン君のご機嫌取りに向かう。ミルクやおもちゃを与えてご機嫌取りに従事するが、パソコン君は何を考えているのか分からないので、中々泣くのを止めてくれない。下手したら数日間ご機嫌取りに時間を費やすこともある。なんとか寝かしつけても、数ヶ月後全てを忘れたかのように再び喚き出すこともあるので大変だ。



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