私とウィザードリィ
「ウィザードリィ」という単語をいつ知ったかなと、ふと考えてみた。
思えば、私が物心ついた頃から既に「ウィザードリィ」は身近なところにあったと思う。
私の父が元々熱心なWizユーザーで、私が幼稚園に通っていた頃もテレビでウィザードリィを遊んでいた。
確か…PS1のニューエイジオブリルガミンとかだったと思う。
当時の私の印象は、「洞窟に入って何かしてる」くらいのイメージしかなかった。元々幼稚園の頃はゲームは大人のものと教えられていたのもあって、ゲーム自体触らせてもらえなかったのもある。
小学校に入学した辺りから、父に時々ではあるがゲームをやらせてもらうようになり、ゲームというものに強い感心を持つようになった。
その頃父がプレイしていた、PS2の「BUSIN WizardryAlternative」という作品が、後の私のゲーム人生に大きな影響をもたらした。
最初は父がプレイしているところを観ていただけだった。ただ、作中で登場するオークのイベントでゲラゲラ笑ってたのは覚えている。
「爆炎のヴァーゴ」というキャラの名前を「ばぁこ」と間違えるわ、フォントは常に震えてるわ、「オダ」という一人称や「○○だよ」といった独特な訛りが妙にツボに入ってしまった。
父がテキストを飛ばさず、私が一生懸命テキストを読みながら爆笑していた。
そこから「B1F以外行かないこと」「友好的な敵は見逃すこと」(父は善・中立パーティを好む)を条件に私もプレイさせてもらった。
「BUSIN」という派生作品とはいえ、私が初めて「ウィザードリィ」を遊んで思った感想は「おもしろい」と「かっこいい」の2つだった気がする。
「BUSIN」には連携技「アレイド・アクション」というものがあるが、これが本当にかっこよかった。
あまりにも好きすぎて、兄や弟との「ごっこ遊び」でも「Wスラッシュ!」だの「スタンスマッシュ!」だのやってたのを今でも覚えている。
元々ラスボスを倒したデータなので、B1Fなら全滅の心配もないし敵とエンカウントしてはアレイドで無双する、みたいなことをずっとしていた。
後に父が続編となる「BUSIN0」を同じような条件でやらせてくれた際も、「あぁ…BUSINって面白いなぁ」と感じていた。
それからしばらくはBUSIN以外のウィザードリィ作品に触れることなく(父が「ウィザードリィエンパイア3」や「ウィザードリィエクス」といった作品をやっていたのは観てたのだが、そこまで感心はなかった)、時が過ぎていった。
そして中学校に入ってから、ふとこんなことを思った。
「あっ…BUSINがしたい…」と。
どうしてもBUSINがしたくてたまらなかったが、当時はPS2は父のものだったのでやらせてもらえず、仕方なく家にあった1本のGBカセットを手に取り遊び始めた。
これが、私と「ウィザードリィ」の第2の出会いだった。
「BUSINの代替品」としてGBAで遊び始めたソフトは「ウィザードリィ外伝1 女王の受難」
ゲームを起動させて思った感想は「なにこれ?」だった。
私にとってのウィザードリィがBUSINだったのもあって、システムが全くわからない。
当時は家でネットの類いは使えなかったので、色々触ってやっとキャラメイクを行った。
なんとか自前で6人揃えて、酒場でパーティーを組み、いざ迷宮へ。
「………めちゃくちゃ死ぬんですけどぉ!?」
そう、死ぬ(笑)
めちゃくちゃ死ぬ。
ちょっとでも連戦しようものなら、すぐに全滅する。
全滅してからリセットしてみると、このゲームが俗に言う「オートセーブ」機能が備わっていたことを知ったときは絶句した。
「なんじゃこりゃ!?え!?全滅したら寺院で復活させるとかないの!?酒場から消えたんだけど!っていうか、迷宮にいるってどういうこと!?わかんない!なんもわかんない!
初めての本格的なウィザードリィは衝撃だらけで、正直混乱した。
システムの説明もない、魔法の説明もない、全滅したら迷宮に取り残される、別パーティーを組んで回収しなければならない。
とりあえず、キャラを一度消して作り直してから、もう一度迷宮に向かった。
そこで、私はいわゆる「玄室」の存在に気づいた。
私は「一度玄室で戦ったら帰って宿屋に行く」というのを徹底した。
すると、キャラはどんどん強くなっていき、全滅のリスクも減っていった。
キャラが強くなる…。私は無意識に「キャラ育成の楽しさ」に目覚めはじめていた。
楽しくて仕方がない。迷宮に潜り、玄室でモンスターを倒し、宝箱を開けてアイテムを拾って、帰る。この繰り返し。
何故だかわからないけど楽しくて仕方なかった。
だんだんとウィザードリィの魅力に気付きはじめた私は、心に余裕が生まれはじめてBGMやモンスターグラフィックを見るようになった。
これがまぁかっこいい!BGMは凄くいいしモンスターの絵も本当にかっこいい。
そして、元々頭の中で妄想ストーリー等を作るのが透きだった私は、ゲーム内のキャラ(当時はBUSINの名前にしていた)にもキャラ付けをして遊んでいたので、頭の中でキャラ達が喋り、かっこよく戦っている姿を想像するのも楽しかった。
私の友人がみんなPSPで某狩りゲーに勤しんでいた頃、私は一人GBAでウィザードリィを遊んでいた。
一度ハマるともう止められない。GBAを片手にずっと迷宮探索とキャラ育成、アイテム収集に勤しんでいた。正直、クリアなんかそっちのけだったと思う。
初めての本格的なウィザードリィは、凄く楽しかった。おもしろかった。
しかし、私の周りでウィザードリィの存在を知っている友人は皆無だったので、話せる場所がどこにもない。
語りたい、この面白いゲームを知ってる人と話してみたい…。
何年かした後にツイッターをはじめて、そこで少しずつではあるがウィザードリィが好きな人たちと出会いはじめた。
私自身もその後に様々なウィザードリィ作品に触れ、「ウィザードリィ愛好会」を通して様々なWiz好きな人と触れあうこともできた。
何より、一番嬉しかったのは父と同じゲームが好きになり、父とウィザードリィについて語れるのが凄く楽しい。
今まで教えてくれなかった父とウィザードリィの出会いや当時の思い出、好きな作品やプレイスタイル。
父が本当に嬉しそうに語る姿を観て、私も嬉しくなる。
ウィザードリィという作品に出会って、そこから昔のゲームやRPGの魅力に目覚め、父やインターネットを通じてウィザードリィが好きな人と会えるようになって、本当にウィザードリィと出会ってよかったなぁと心から思う。
何でもスマートフォンで新しいウィザードリィが出るとかいう話も聞いた。
遊んでみたいなぁ…
私にとってウィザードリィは、ただのゲームじゃない。私という人間を作り上げてくれた存在だと思う。
あー、書いてたらWizしたくなってきた…。
よし、ちょっと迷宮潜ってこよう。