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映画:シュヴァリエ

 映画、シュヴァリエ(Chevalier)を観たので紹介しまーす。


メインキャラクター

 フランスのヴァイオリニスト、作曲家のジョセフ・ブローニュ・シュヴァリエ・ド・サン=ジュルジュの半生をフィクションで描くドラマ。
 ジョセフは実在した人物で、アフリカ系初の、クラシックミュージックのコンポーザーとして知られている。
 黒いモーツァルトと呼ばれることもある。

あらすじ

 ジョセフ(ケルヴィン・ハリソン・ジュニア)はグアデロープ島で、農園主と奴隷の子供として生まれた。
 彼の音楽的才能に気付いた父親は、7歳になった彼を母親から引き離し、フランスの全寮制の学校へ入学させる。
 白人社会でハラスメントを受けながらも、彼はヴァイオリン、作曲、そしてフェンシングで頭角を現していく。
 ある日、フェンシングの技に感銘を受けたマリー・アントワネットは、彼にシュヴァリエ(Chevalier)の勲章を与える。
 黒い肌を持ちながらも、マリー・アントワネットに可愛がられ、フランス社交界で、頂点に登りつめていく。
 そんな彼の、次の目標、野望は、パリのオペラを監督することだ。
 このポジションを手に入れられる人は、パリでただひとり。 
 マリー・アントワネットにその野望を告げた彼は、委員会に認めてもらうために、オペラ演出にとりかかる。

 同じ頃、父親が亡くなり、奴隷から解放された母親と再会する。
 母親は、白人社会に溶け込む彼を見て、息子は黒人であること、自分自身を拒絶していると感じる。
 そしてジョセフは、そんな母を疎ましく思う。

 彼が作ったオペラは素晴らしかった。けれども、監督職を得ることはできなかった。
 時代は、フランス革命直前、マリー・アントワネットは自分の地位が低下していることを察し、オペラを掌握している白人委員会を支持する。
 「白人種以外は、オペラ座の監督職を求めることは認められない」
 とジョセフに言い渡し、彼らの友情は崩壊する。
 さらに、彼のオペラで主役を演じたマリー・ジョセフィン(サマラ・ウィーヴィング)と恋愛関係にあった事実が、彼女の夫、マルク・ルネにバレてしまう。
 マルク・ルネは権力者で、狂気的な男だ。
 警察官を率いたマルクが、ジョセフの前に現れ、二度とヴァイオリンを演奏できなくなるよう、彼のすべての指を折れと命じる。
 マリーはジョセフと彼の才能を守るために、彼の前から去る。

 目標、愛する人を失ったジョセフを支えたのはママだ。
 母との関係が修復され、同じスキンカラーの人々と、時間を共有するようになる。 

 マリーはジョセフと別れた後、子供を出産する。
 生まれた子供はダークスキンだった。
 自分の子供だと信じていたマルクは、激高し、その子供を殺してしまう。 
 ジョセフは、自分が黒人であること、自分が何者かを認識する。

 フランス革命が始まると、ジョセフは革命家を支援するために、コンサートを開く。
 そのニュースを聞いたマリー・アントワネットは、彼を訪問し、コンサートを開催したら、シュヴァリエのタイトルを剥奪し、逮捕すると脅す。
 けれどもジョセフの意思は固かった。
 これは彼の選択だ。
 ステージで演奏するジョセフの前に、警察官を率いたマルク・ルネが現れ、銃口を向ける。
 彼を救ったのは観客だ。
 彼ら観客は、自由(Liberté)を叫びながら、警察官に立ち向かう。  

お気に入り場面

♬♬♬
 目標を失い、愛する人を失い、部屋に閉じこもって酒を飲んでいるジョセフを見たママが言う。

「自分を哀れむのもいい加減にしなさい。
 町の人々はあなたの音楽を待ってるよ。
 お金持ちの白人は、あなたを軟弱な男にしてしまったようね。
 とっとと起きて、一緒に来なさい」

 黒人のママは、強いのだ。

♬♬♬
 子供を殺されたジョセフがママに言う。

 「俺はママを奪われた。
 俺の子供も奪われた。
 俺にチョイスはなかった。
 なんで白人にはチョイスがあって、俺たちにはないの?」

 ママの答えはこうだ。

 「世の中は我々に苦しみを与えるようにできてるんだよ。
 邪悪でいっぱい。嘘でいっぱい。社会はそういう風につくられたんだ。
 あなたを連れ去られた日から毎日、私は逃げ出してあなたを見つけ出そうとした。
 逃亡を邪魔する人間全員と命をかけて戦った。
 私は、あなたを取り戻すために戦うことを選んだ。
 悪魔は私たちには選択がないと納得させるのよ。
 でも、私は今、あなたと一緒にいる。
 どんな状況でもチョイスはある。
 戦うというチョイスがね。
 人間からチョイスを奪うことはできないのよ」

 黒人はいつも戦ってきた。
 それが彼らに残された唯一のチョイスだ。

♬♬♬
 マリー・アントワネットに脅されたにも関わらず、ジョセフは、ステージに立つことを選ぶ。
 この時、彼はかつらを被らずに、ママが編んでくれたコーンロウの姿で、自然な姿でステージに立つ。
 彼は自分の自然な姿を受け入れ、自分が何者であるかを理解し、戦うことを選んだ!

かつらを脱ぎ、自然な姿で戦いに挑むジョセフ

この映画は・・・

 フィクションですが、1776年初頭、パリのオペラは財政的にも芸術的にも苦難の状態にあり、事実、ジョセフは次監督に推薦されています。
 実在する人物がモデルになっているので、興味深いです。
 最初から最後まで退屈することなく観れました。
 観て良かった!
 でも、2回は観ないかな。

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るるゆみこ
最後まで読んでくださってありがとうございます!頂いたサポートで、本を読みまくり、新たな情報を発信していきまーす!